動物は私たちにとって大切な存在であり、接していく上で一つの命であることを自覚しなければいけません。
しかし実際には殺傷や虐待、遺棄などがされ、動物だけでなくその周りにいる人にも被害が及んでいます。
そのような事態を解消するためには、動物の適正な飼養や保管など様々な知識が必要であり、普及啓発のために設けられているのが動物愛護週間です。
この記事では、動物愛護週間について実際に行われている内容などを紹介します。
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法律で定められている動物愛護週間
一般的な家庭で飼われている犬や猫などの動物をはじめとして、畜産や展示用の産業動物、実験で用いられる実験動物など、私たちの身の回りにはパートナーとして共生する動物が存在します。
一方でそれら動物を殺傷や虐待、遺棄する事件が社会問題化し、政府では2000年に本格的な法整備を行い、改正を重ねることで適正な飼養や保管が行われるように進めてきました。
その法律は動物愛護管理法と言い、以下のように基本原則として定められています。
すべての人が「動物は命あるもの」であることを認識し、みだりに動物を虐待することのないようにするのみでなく、人間と動物が共に生きていける社会を目指し、動物の習性をよく知ったうえで適正に取り扱うよう定めています。
(引用:環境省「動物愛護管理法の概要」)
言葉を介さない動物にも命があり、それを守るのは飼い主であることが明らかにされています。その一環として動物愛護週間というものが法律の内容の中に明記されています。
※2020年12月時点
(出典:環境省「動物愛護管理法の概要」)
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動物愛護週間とは
動物愛護週間とは、動物愛護管理法に基づき、国民に動物の愛護や適正な飼育について広く理解・関心を深めてもらうために毎年行われているものです。
期間は9月20日から26日までの1週間としており、動物愛護週間行事や動物愛護管理功労者表彰などが行われます。
行事については国や地方自治体、関係団体が協力して行っているものであり、動物の愛護と管理に関する普及啓発のための各種内容が取り揃えられています。
また表彰は、動物の愛護とその適正な管理の推進に関して、顕著な功績があった者、あるいは団体を讃えて行われます。
では実際にどのようなことが行われるのか、2018年から2020年に行われた動物愛護週間について見てみましょう。
2018年の動物愛護週間
2018年の動物愛護週間では、「知っていますか?動物愛護管理法」をテーマに中央行事が行われました。東京都台東区で屋内行事が、上野で屋外行事がそれぞれ催されています。
屋内イベントでは、動物愛護に関する表彰式が行われ、先述した動物愛護において顕著な功績に対する表彰だけでなく、動物愛護ポスターのデザインや、日本動物児童文学賞、動物愛護に関する標語、ペット写真コンテスト、動物愛護キャッチコピーなど様々な分野での表彰が行われました。
また「人と動物が共生する社会の実現に向けて」というテーマで講演とパネルディスカッションも実施されており、参加者が聞くだけでなく考える場面も用意されています。
屋外イベントでも講演だけでなく、〇×クイズ大会や芸能人によるトークショー、芸術大学生によるコンサートや、犬のしつけ方教室といった実践的な教室も用意されました。
動物愛護週間の行事は各都道府県や市区町村でも開催されており、その規模に違いはありますが、何かしらの普及啓発を行えるイベントが催されています。
(出典:環境省「平成30年度動物愛護週間概要」,2018)
2019年の動物愛護週間
2019年の動物愛護週間は「共に生きる~シニアペットとシルバー世代~」をテーマとして中央行事などが催されました。
2018年同様にどうぶつ愛護フェスティバルとして、同じ会場で実施されています。
表彰や講演、パネルディスカッション、犬のしつけ方教室などを中心に行事が屋内外で行われましたが、テーマにもあるように高齢化社会に焦点をあて、そのパートナーとなるペットとの共生、あるいはペットそのものがシニアである想定とした内容を中心としています。
(出典:環境省「令和元年度動物愛護週間概要」,2019)
2020年の動物愛護週間
2020年の動物愛護週間では「人も動物も幸せに~考えよう、共にくらす社会~」をテーマとした中央行事を行っていますが、例年とは違ったどうぶつ愛護シンポジウムを開催しています。
これは新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、屋内外問わず密集を避けるため、例年同様のイベントは行えないと判断され、オンライン中継によるイベントとなったためです。
通常屋内で行っていた表彰や講演、パネルディスカッションを中心に実施しています。
地方での行事についても、感染拡大を防ぐために中止にする市区町村や、展示会のみにするなど規模を縮小する町も相次ぎました。
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(出典:環境省「令和2年度動物愛護週間概要」,2020)
動物愛護週間は動物との共生に必要
動物愛護管理法、そしてそこに定められた動物愛護週間は、ペットを飼っている人、あるいはこれから飼おうとする人の責任と適正な飼養や保管の方法などに広く理解や関心を持ってもらい、遵守してもらうために必要です。
犬や猫は特にペットとして飼われることが多いですが、その反面、野良犬や野良猫の増加や保健所への引き取り、保護件数が問題となっていました。
環境省による保健所での引き取りおよび処分の状況をまとめた資料によると、2004年の引き取り数は犬猫合わせて41万8,413匹であり、そのうち返還や譲渡されたのは2万9,323匹、残りの39万4,799匹は殺処分となっています。
一方で2023年は引き取り数が4万4,576匹であり、返還・譲渡数は1万9,3522匹、殺処分数は9,017匹であり、大幅に変化が見られることが分かります。
動物に対しての意識が変わったことで、手放す人が減り、また保健所で里親となって引き取っていく例が増えているということです。
ただそれでも未だに1万匹近い犬猫が命を奪われているという現状があります。
そもそも動物愛護管理法は、動物への殺傷や虐待、遺棄が大きな社会問題として取り上げられたことで、3度も改正されています。
人が動物と共生する上で、個の命として扱い、殺傷や虐待から動物を守ること、そして適正な飼養や保管をすることで、動物から人を守るという、どちらも保護するための法律として制定されました。
この法律を遵守しなければいけないのは動物取扱業者だけでなく、ペットなどとして動物を飼う人すべてであり、その責任があります。
ペットを飼い始めたは良いものの、扱いきれず手放す人や虐待をする人、あるいは無責任に繁殖させ手に負えなくなって捨てたという例もあります。
そのような事例の被害にあうのは、無責任に飼われた動物たちや近所に住む人々です。
動物愛護管理法はこれらを規制するための法律であるため、殺傷や虐待をしたり、捨てることはすべて犯罪となり、懲役や罰金といった刑が課せられます。
しかしそのような意識が低く、定着していないことから今も法律を守れず、メディアなどで取り上げられるような事件が起こっているのです。
動物愛護週間は、動物愛護管理法の内容や動物を飼うことの責任、適切な方法などを知ってもうためには必要なことであり、社会問題を解決するための手立ての一つとして法律に定められています。
(出典:環境省「統計資料 「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」」,2023)
(出典:政府広報オンライン「飼う前も、飼ってからも考えよう 飼い主の「責任」とは?」」,2018)
おすすめの動物保護団体3選
保護された犬猫たちを救う活動をしているのが、動物保護団体です。これらの団体を寄付というかたちで支援することも、犬猫たちを守ることにつながります。
ここではおすすめの動物保護団体を3つ紹介します。NPOの専門家やgooddoマガジン編集部の注目ポイントも参考にしてみてください。

ピースワンコ・ジャパン(認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン):支援者とのコミュニケーションを大切にしながら「犬の殺処分ゼロ」の実現を目指す
ピースワンコ・ジャパンは、「犬の殺処分ゼロ」の実現を目指し、犬の保護・譲渡活動を行っています。自然災害や紛争の被災地支援活動を行う、特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパンが運営しているプロジェクトです。
災害救助犬やセラピー犬の育成、正しい飼い方や動物福祉の考え方の啓発活動などにも取り組んでいます。
ピースワンコ・ジャパンは、今まで8,000頭以上の犬の命を救ってきました(2024年1月末時点)。
プロジェクトの運営母体であるピースウィンズ・ジャパンは、広島県より認定NPOの認証を受けています。また、優れたソーシャルビジネスの取り組みを表彰する、日経ソーシャルイニシアチブの受賞歴もあります。
ピースワンコ・ジャパンは「犬と人がひとつになり、豊かな未来をつくろう」というメッセージを発信しながら、活動に取り組んでいます。
- 活動報告や今後の方針などのメールがこまめに配信されたり、YouTubeを始めとしたSNSでの発信も頻繁に行われている。団体とのつながりを感じながら支援できる
- 「日本での犬の殺処分ゼロ」を目指し、まずは広島県内で殺処分機を2016年4月から現在まで止めている。日本という大きな枠でのミッション実現に向け、まずは1つの県で達成できているのは大きな成果。
- ピースワンコ・ジャパンの毎月の継続寄付の会員「ワンだふるサポーター」は63,000人。多くの共感を呼ぶプロジェクトをしている、という実感が持てる。
ネットの口コミ評判を知りたい方はこちら
>>【怪しい?】ピースワンコ・ジャパンの口コミ評判は?専門家に詳しく聞いてみた
ピースニャンコ(認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン):医療支援をもとに保護猫ボランティアをサポート
ピースニャンコは、保護猫ボランティアを医療面からサポートする活動を行っています。
自然災害や紛争の被災地支援活動を行う、特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパンが運営しているプロジェクトです。保護犬を支援するプロジェクトにはピースワンコがあり、既に蓄積されたノウハウがあります。
ピースニャンコでは、動物病院での診療費支援や不妊・去勢手術の費用援助を実施。ピースワンコの譲渡センターを活用した医療支援を通じて、保護猫の健康管理をサポートしています。
保護猫ボランティアの負担軽減を図りながら譲渡促進にも取り組み、1匹でも多くの保護猫が新しい家庭で幸せに暮らせる未来を目指しています。
- 不妊・去勢手術の費用や治療費の支援で、猫の殺処分を減らしている
- 災害時の緊急保護や医療支援にも対応し、猫の命を守る体制づくりに取り組んでいる
- 保護猫ボランティアと連携しながら、現場の声を反映した支援の仕組みを広げている
公益財団法人どうぶつ基金:保護・避妊・啓発を通じて殺処分される猫を減らす
公益財団法人どうぶつ基金は、野良猫の繁殖を抑制するための無料不妊手術事業「さくらねこ活動」を中心に活動しています。また、多頭飼育崩壊の救済支援や保護猫の里親マッチング、動物愛護に関する普及啓発活動を通じて、人と動物が共生できる社会を目指しています。
35年以上の長い歴史があり、活動報告書や会計報告書を詳細に公開していることから、信頼性の高い活動実績を持つ団体です。殺処分ゼロを目指し、多様なボランティアが協力して取り組む点が大きな特徴です。
- 無料不妊手術(TNR)という方法で殺処分をなくし、動物が人や自然と自由に幸せに共生することができる世の中をめざしている
- 広報とロビー活動を積極的に行い課題を発信している
- 行政や他団体、獣医師、ボランティアとの連携・協働により活動を広げている
どうぶつ基金の口コミが知りたい方はこちら
>>どうぶつ基金は怪しい?活動実態や口コミ評判を調べてみた
動物愛護週間に参加してみよう
動物愛護週間は毎年行われる普及啓発活動です。中央行事だけでなく、各都道府県でも様々なイベントが行われています。
またイベント前から動物愛護週間ポスターのデザイン募集なども全国で行われており、当日のイベントだけでなく、そのような作品応募による参加もできます。
動物を飼うということはどういうことなのか、共生していくためにはどうすべきなのか、一つの命を学び、付き合い方を知っていくためにもとても大切な期間・イベントです。
2020年から新しい生活様式になり、これまでのような参加は難しいかもしれませんが、できる方法で自分の知識を深めるとともに、周りにも広めていけるよう動物愛護週間に参加してみてはいかがでしょうか。
▼おすすめの動物愛護団体
団体名 | 寄付アドバイザー・gooddoマガジンの注目ポイント |
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ピースワンコ | ・活動報告や今後の方針などのメールがこまめに配信されたり、YouTubeを始めとしたSNSでの発信も頻繁に行われている。団体とのつながりを感じながら支援できる ・「日本での犬の殺処分ゼロ」を目指し、まずは広島県内で殺処分機を2016年4月から現在まで止めている。日本という大きな枠でのミッション実現に向け、まずは1つの県で達成できているのは大きな成果 ピースワンコ・ジャパンの毎月の継続寄付の会員「ワンだふるサポーター」は63,000人。多くの共感を呼ぶプロジェクトをしている、という実感が持てる |
ピースニャンコ | ・避妊去勢や治療費の支援で、保護猫の命を守り、殺処分を減らしている ・災害時の緊急保護や医療支援にも対応し、猫の命を守る体制づくりに取り組んでいる ・保護猫ボランティアと連携しながら、現場の声を反映した支援の仕組みを広げている |
どうぶつ基金 | ・無料不妊手術(TNR)で殺処分をなくし、動物が人や自然と自由に幸せに共生することができる世の中をめざしている ・広報とロビー活動を積極的に行い課題を発信している ・行政や他団体、獣医師、ボランティアとの連携・協働により活動を広げている |
寄付先の選び方ガイド:河合将生(まさお)さん
NPO組織基盤強化コンサルタント office musubime代表/日本ファンドレイジング協会・認定講師・関西チャプター共同代表・准認定ファンドレイザー
大学卒業後、国際協力分野のNGOにボランティアスタッフとして参加。その後、国際交流・協力分野の中間支援組織へのインターンシップ、職員を経て、office musubime (オフィス ムスビメ)を2011年7月に設立。
寄り添って伴走する第三者として、身近な相談相手や多様な人・団体をつなぐ役割を通し、組織診断・組織基盤強化、ファンドレイジング支援など、各団体の支援に取り組む。
国際協力や子ども/子育て支援、まちづくり分野、コミュニティ財団などの役員、大学の非常勤講師としてNPO論やボランティア論などの担当も。
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