動物愛護センターの殺処分ゼロに向けた取り組みとは?

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動物愛護センターの殺処分ゼロに向けた取り組みとは?

犬や猫は多くの家庭で飼われており、人のパートナーとして飼養されています。
一方で飼い主により捨てられ、行政機関に引き取られるといったことも起きています。

その犬や猫は引き取り手がいなかった場合、殺処分という形で命を奪われてしまうのです。
そうならないために、行政機関などでは殺処分ゼロに向けた取り組みが行われています。

この記事では、殺処分ゼロへの取り組みや具体例を紹介します。

動物愛護センターとは?活動内容や犬猫の譲渡方法などを紹介

また、動物愛護、なかでも犬を守る活動へ少しでも貢献したいという思いのある方は、殺処分ゼロに取り組む団体を応援してみませんか?

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動物愛護センターの犬猫の殺処分の現状

動物愛護センターの犬猫の殺処分の現状
人のパートナーとして古くから飼われることが多い犬、そして猫はブームもあり、近年飼われることが増えてきました。
1頭であれ多頭であれ、同じ飼い主によって世話をしてもらえれば良いのですが、現実には世話をしきれず捨てられ、保健所・動物愛護センターなどに引き取られる犬や猫もいます。

行政機関に引き取られた数は、2018年で犬が3万5,535匹、猫は5万6,404匹にもなりました。
2017年には犬が3万8,511匹、猫が6万2,137匹であったため、減っていることが分かります。
また15年前の2004年には犬が18万1,167匹、猫が23万7,246匹であったことを考えれば、大幅に減少したと言えるでしょう。

そして殺処分件数は、2018年では犬が7,687匹、猫が3万767匹となりました。
引き取り件数から考えれば犬は多くが返還か新しい飼い主への譲渡が行われ、殺処分が抑えられていることが分かります。
殺処分件数は年々減少しており、15年前に比べれば大幅に減少していますが、半数以上が殺処分となっていることも事実です。

未だにゼロになることはなく、これだけの命が人の手によって奪われているのです。
そんな現状を改善するために国や都道府県などの行政機関では、いくつもの取り組みを進め、殺処分ゼロを目指した活動を進めています。

  • 行政機関に引き取られた数は、2018年で犬が3万5,535匹、猫は5万6,404匹
  • 殺処分件数は、2018年では犬が7,687匹、猫が3万767匹
  • 国や都道府県などの行政機関では、いくつもの取り組みを進め、殺処分ゼロを目指した活動を進めている
  • (出典:環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」,2018)

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    動物愛護センターなどの殺処分ゼロに向けた取り組み

    動物愛護センターなどの殺処分ゼロに向けた取り組み
    犬猫の殺処分ゼロに向けた取り組みが本格的に始まったのは2013年11月です。
    環境省自然環境局にある動物愛護管理室に「人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト」が立ち上げられました。

    このプロジェクトでは、以下を目的としています。

    犬猫の殺処分がなくなることを目指すための具体的対策について検討を行い、命を大切にし、優しさのあふれる、人と動物の共生する社会の実現を目指す。

    (引用:環境省「人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト ご挨拶」)

    それまでは都道府県や市区町村にある保健所や動物愛護センターの各々の取り組みのみでしたが、環境省主導の取り組みとして、全国的な調査や現状の分析、課題の整理などを行い、その課題解決のための具体的対策の検討や、効果的な周知を行うための広報が行われています。

    プロジェクトが主となって行政機関だけが殺処分ゼロを目指すのではなく、飼い主や事業者、ボランティアなどが一丸となって行う取り組みの展開と推進を進めています。

    (出典:環境省「人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト ご挨拶」)

    殺処分を減らすための3つのポイント

    人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクトでは、殺処分ゼロを達成するために、取り組みを行う上での3つのポイントを定めています。

    1つ目のポイントとして「飼い主や国民の意識の向上」が挙げられています。
    動物を飼うということは命に対して責任を負わなければならず、適正な飼養や管理を行う必要があります。
    また現行の動物愛護管理法では殺傷や虐待、遺棄は犯罪であり処罰の対象となることなど、飼い主となる上で知らなければいけないことがあまり普及していないことこそ殺処分がゼロにならない原因の一つとして考えられています。

    そのため取り組みの一つとして、効果的な広報や普及啓発、教育の場における展開が行われているほか、9月には動物愛護週間での「どうぶつ愛護フェスティバル」などのイベントを行い、講演やディスカッション、体験を通した周知も行われています。

    2つ目のポイントとしては「引き取り数の削減」を挙げています。飼い主の責任には適正な飼養や管理があり、最後まで世話をすることが求められています。
    しかし実際には無責任な飼い主による遺棄で、多くの野良犬や野良猫が生まれる、あるいは動物愛護センターなどに引き取ってもらう現状があります。

    不妊去勢手術が行われていなければ、繁殖によりさらに飼い主がいない犬猫が増え、殺処分へとつながる可能性が高くなります。
    そうならないためにも、不妊去勢措置の徹底や猫の室内飼育、幼齢な犬猫の適正な取扱の推進などが行われています。

    加えて3つ目のポイントとして、引き取った犬猫の所有者への「返還と適正譲渡の推進」も進められています。
    この3つのポイントを進めることで、飼い主や国民の意識が高まり、無責任な飼養が減って引き取り数が大幅に削減できること、そして引き取った犬猫の返還・譲渡を進めることで、最終的な殺処分を行わなければいけない犬猫をゼロにすることを目指しています。

    (出典:環境省「人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト アクションプラン」)

    殺処分ゼロに向けた具体的な取り組み:奈良市の例

    奈良市では2018年に犬猫殺処分数が1件にまで減少した実績を持っています。
    人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクトが推進するポイントを元に、奈良市独自の取り組みを進めていった結果として、ほぼゼロに近づけることができています。

    奈良市はプロジェクト発足以前から殺処分ゼロに向けた取り組みが行われていましたが、2008年から2018年までの10年間で663件あった殺処分数が1件にまで減ったのは大きな成果と言えるでしょう。
    取り組みとしてはいくつかありますが、その中の一つにミルクボランティア制度があります。
    ボランティアによって生後2ヶ月まで保護された幼齢猫の、ミルク給餌や排泄の世話が行われます。このときのミルクは支給されるほか、ヒーターの貸し出しなども行われますが、2018年までに延べ58匹の幼齢猫が預けられました。

    幼齢猫の世話は難しく、所有者不明の猫の中には幼齢猫が多くを占めているため引き取り手を見つけるためにも世話をする人が必要となりますが、それをボランティアにお願いしようという制度です。
    そのような猫を含め、引き取られた犬猫に関して譲渡と相談を行う会が年6回開催されました。来場者は約60組おり、申し込み相談数は26匹にもなっています。

    さらに遺棄を防ぐために、2018年6月から犬猫パートナーシップ店をスタートして、認定店での販売では終生飼育への誓約や、マイクロチップを装着した犬猫を販売する取り組みが行われました。
    また不妊去勢措置のために、飼い主がいない猫への繁殖制限手術補助金も出されており、メスが44匹、オスは22匹の計66匹分が実施されました。

    他県でも行われている同様の取り組みもありますが、このような取り組みを進めていくことで、奈良市では犬猫殺処分ゼロに限りなく近づく結果が出たのです。

    (出典:奈良市「犬猫殺処分ゼロへの取り組みについて」,2019)

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    殺処分ゼロに向けた具体的な取り組み:名古屋市の例

    名古屋市では犬猫殺処分ゼロを目指す取り組みの一つとして、犬猫サポート寄附金を設置しています。
    2016年からスタートしたこの寄付金や譲渡ボランティア活動により、2019年までに犬の殺処分ゼロを継続しています。猫については未だに殺処分が行われている現状ですが、それでも目標に近づいていることは確かです。

    この寄付金はふるさと納税を通じて行えるサポートであり、動物愛護センターなどが引き取り、譲渡先が見つかるまで預かっている犬猫の餌やペットシーツ、薬品、子猫のミルクの購入費、譲渡ボランティアの支援物資に充てられています。
    これは動物愛護センターや譲渡ボランティアが粘り強く新しい飼い主を見つけるための活動に活かされています。

    どうしても世話にはお金がかかるため、このような寄付金による支援は必要不可欠です。
    この寄付金のおかげで犬猫はすぐに殺処分されることなく、飼い主が見つかるまで世話をしてもらえます。

    たとえ新しい飼い主になれなくても、何かしら支援を行いたいということであれば、私たちにできるのはこのような寄付に協力することも一つです。
    名古屋市では寄付以外にもクラウドファウンディングも始めていますが、自分が住む地域にも同じような取り組みがあれば、参加してみると良いでしょう。

    (出典:名古屋市「目指せ殺処分ゼロ!犬猫サポート寄附金について」,2020)

  • 人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクトでは、「飼い主や国民の意識の向上」「引き取り数の削減」「返還と適正譲渡の推進」の3つのポイントを定めている
  • 奈良県では、プロジェクト発足以前から殺処分ゼロに組み10年間で663件あった殺処分数が1件に減少した
  • 名古屋では、2016年から犬猫サポート寄附金を設置し、2019年までに犬の殺処分ゼロを継続している
  • 動物愛護センターの殺処分ゼロのために協力しよう

    動物愛護センターの殺処分ゼロのために協力しよう
    殺処分ゼロに向けた取り組みは環境省を中心として、各都道府県の保健所や動物愛護センターなどが実施しています。
    しかし行政だけに任せていては、殺処分ゼロは難しい取り組みです。目標達成のため、そして犬猫の命を守るためには、私たちもできることをする必要があります。

    私たちが今すぐできることの1つに「殺処分ゼロ」を目指し活動する団体への寄付があります。

    ピースワンコ・ジャパンでは「犬の殺処分ゼロ」の実現を目指し、犬の保護・譲渡活動を行っています(ピースワンコ・ジャパンは特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパンが運営しているプロジェクトです)。

    ピースワンコ・ジャパンの活動拠点である広島県では、かつて犬の殺処分数が全国で最多でした。しかし、ピースワンコ・ジャパンの活動の成果が実を結び、2,496日間、犬の殺処分機(※)が稼働していません
    ※ガス室による殺処分

    ピースワンコ・ジャパンでは毎月継続的に寄付をするプログラムを用意しています。実現までに時間がかかる「犬の殺処分ゼロ」を目指す活動を、長期的に支援できる仕組みです。

    ピースワンコ・プロジェクトの寄付プログラムについては以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ、ご一読ください。
    >>【怪しい?】ピースワンコ・ジャパンの口コミ評判は?専門家に詳しく聞いてみた

    もしこれから飼い主になろうという考えがあるのであれば、動物愛護センターに相談してみるのも良いでしょう。
    相談に乗ってもらうことで、適正かどうか知ることができ、相性が良い犬猫と引き合わせてもらえるかもしれません。

    あるいは今犬猫を飼っている人も含め、飼い主になるということの責任を再認識し、最後まで世話をすることを守ることも取り組みの一つとなります。
    動物を飼うということをしっかりと理解し、自分たちにできることから始めていきましょう。

    動画はこちら
    この記事を書いた人
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