私たちが住むこの世界には、多くの生物が存在しています。
人間も陸に住む生物として共存していたはずですが、今多くの生物が絶滅の危機に瀕しています。
このままでは私たちにもその影響が出る可能性があります。
この記事では、絶滅危惧種はどうして増えてしまったのか、陸の絶滅危惧種に絞り、その原因や対策について解説します。
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絶滅危惧種の分類とは?
この世界には今、多くの絶滅危惧種が存在しています。いくつかの要因によりもともと生息していた個体数は減少していき、このままでは種が存続できず、この地球上から姿を消す危機があるところまで来ています。
かつてこの地球上には多種多様な恐竜が生息していましたが、自然環境に淘汰され絶滅していきました。
しかしそれでも恐竜が一気に絶滅する原因となった出来事を除けば、生物の絶滅は非常に緩やかであり、現代ほど加速度的なスピードで生物が絶滅していくことはありませんでした。
それほどまでに今、絶滅危惧種の増加は危機的な状況にあります。
そのような絶滅危惧種を把握し保護するために、「レッドリスト」というものが存在しています。
日本国内では環境省や地方公共団体、NGOなどによってまとめられており、環境省では1993年に初めて「環境省版レッドリスト」を作成しました。
概ね5年程度の単位で更新されていき、現在は2020年に発表された第4次レッドリスト改訂版第5版では、日本において絶滅危惧種と評価された生物は合計で3,716種とされています。
この絶滅危惧種はカテゴリー分けされており、それぞれの評価基準に基づいて分類分けされています。そのカテゴリーと判定基準が以下の通りです。
分類 | 判定 |
---|---|
絶滅(EX) | 既に絶滅したと考えられる種 |
野生絶滅(EW) | 飼育・栽培下あるいは自然分布域の明らかに外側で野生化した状態でのみ存続している種 |
絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN) | 絶滅の危機に瀕している種 |
絶滅危惧ⅠA類(CR) | ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの |
絶滅危惧ⅠB類(EN) | ⅠA類ほどではないが、近い将来における野性での絶滅の危険性が高いもの |
絶滅危惧Ⅱ類(VU) | 絶滅の危険が増大している種 |
準絶滅危惧(NT) | 現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種 |
情報不足(DD) | 評価するだけの情報が不足している種 |
絶滅のおそれのある地域個体群(LP) | 地域的に孤立している個体群で、絶滅のおそれが高いもの |
レッドリストとは
レッドリストとは「絶滅のおそれのある野生生物をまとめたリスト」です。
IUCN(国際自然保護連合)という組織が国際的に調査しまとめたものが始まりであり、現在は各国や各地域で独自のものも作られています。
(出典:環境省「日本の絶滅危惧種と生息域外保全」)
(出典:環境省「レッドリスト」,2020)
(出典:環境省「レッドリストのカテゴリー(ランク)」)
陸の絶滅危惧種と種類、その数は?
絶滅危惧種は陸にも海にも存在しますが、特に陸は多くの哺乳類や鳥類、爬虫類、両生類、昆虫、植物が存在しています。また河川も含めれば魚類も一部含まれます。
これだけ多くの生物が生息している陸では絶滅危惧種として評価されているものが多数存在しています。
絶滅危惧種が増加する原因については後述しますが、その要因を大きく受けるのは陸に住む生物です。
絶滅危惧種が増えれば、生物多様性が失われるなど、さらに個体数を減らしてしまうという負の連鎖を引き起こしやすいため、危惧されるべき状況にあります。
日本で登録されている陸の絶滅危惧種
日本における動物や鳥の絶滅危惧種はかなりの品種が存在します。
全体では3,716種が環境省のレッドリストに登録されていますが、そのなかでも鳥類の絶滅危惧種が他の生物と比べても多いとされています。
具体的な品種を挙げるとコウノトリやシマフクロウ、ヤンバルクイナは絶滅危惧ⅠA類、イヌワシやクマタカは絶滅危惧ⅠB類、アホウドリやライチョウ、タンチョウは絶滅危惧種ⅠI類に分類されています。
またトキはすでに野生絶滅と評価されており、野性のものとしては存在していないとされていました。
しかし現在は人工下での繁殖などの取り組みが成功し、個体数を増やしており、佐渡島などに野生で繁殖したものが生息していることから評価の見直しがされています。
世界に見る絶滅危惧種
IUCNのレッドリストには3万1,000種以上の生物が絶滅危惧種に指定されていますが、そのうち哺乳類は25%、両生類は41%と高い割合で絶滅危惧種が存在し、鳥類も14%を占めています。
野生動物が多く生息するスマトラ島のマーブルキャット(Pardofelis marmorata)やスマトラサイ(Dicerorhinus sumatrensis)、ガラパゴス諸島に生息するガラパゴス・ゾウガメ(Chelonoides niger species complex)やガラパゴスリクイグアナ(Conolophus subcristatus)など多くの生物が絶滅危惧種に指定されています。
鳥類では先述した沖縄の固有種であるヤンバルクイナ(Gallirallus okinawae)や北海道にのみ生息するシマフクロウ(Ketupa blakistoni)が絶滅危惧IB類と評価されています。
また日本発祥ウズラ(Coturnix japonica)はかつて絶滅危惧II類でしたが、現在は準絶滅危惧種となりました。
日本やロシア、中国、韓国に渡って生息するコウノトリ(Ciconia boyciana)も絶滅危惧IB類に分類されます。
世界に目を向けるとムナグロワタアシハチドリ(Eriocnemis nigrivestis)やフィリピンの固有種であるミンドロヒムネバト(Gallicolumba platenae)は絶滅危惧ⅠA類と評価されています。
(出典:環境省「環境省レッドリスト2020掲載種数表」,2019)
(出典:IUCN「RED LIST」)
なぜ陸の絶滅危惧種が増えるのか原因について考えよう
絶滅危惧種が加速度的に増加している原因は私たち人間の生産活動にあります。
私たちは生きていく上で様々な活動をしていますが、そのなかでも陸にいる動植物へ影響を与えています。
その一つが開発による環境の変化です。森林は生物多様性を構築する上では必須とも言える環境であり、動植物が森林を住処として種をつないでいます。
しかし人間が生息域の拡大やレジャーの開発など、様々な理由で開発を進めることで、森林伐採などが行われています。
また、農作物を生産する上で農薬や化学物質を使うことも要因の一つです。
現在は健康に配慮し、農薬などの使用は控えられていることもありますが、これらはその土地に住む生物にとっては毒であり、土地や水質を汚染することで多くの生物が死ぬ、あるいは弱ってしまうなどの被害を受けています。
乱獲や商取引も絶滅危惧種が増えた一因です。
生物のなかにはペットや剥製、園芸、毛皮製品や漢方などに使われたり、高額で売買されることもあることから乱獲や密猟などが行われ、個体数を劇的に減らしてしまった種がいます。
ペットとして取引されたもののなかには本来の土地ではない地域に持ち込まれ、その土地で野生化し、天敵がいないことから大繁殖を行い、その地域の固有種や在来種に壊滅的な被害をもたらすことがあります。
私たちの生活にも大きな影響を与えている地球温暖化による気温の上昇や、気候変動も原因となっています。
気温の上昇により暑さに弱い生物は生息域変えざるを得ず、気候変動による豪雨や二次災害となる洪水、土砂崩れも人間だけでなく、動植物が生きる場所も奪うのです。
さらに異常少雨や干ばつが起これば生きるための水を得ることができず、植物は枯れ、動物は衰弱する、あるいは死んでしまうことがあります。
里地や里山と言った場所にも動植物は生息していますが、そのような場所が手入れされないままになると、環境が変化してしまい生物が住めなくなってしまいます。
(出典:環境省「生物多様性のために」)
(出典:京都府「レッドデータブック for KIDS」)
(出典:札幌市「知っていますか?生物多様性のこと」,2019)
陸の絶滅危惧種のために行われている対策とは
絶滅危惧種が増加し、自然環境や生態系が失われてしまえば、私たちの生活にも大きな影響を与えます。
そのため現在世界では様々な取り組みが行われています。
国ごとに行われている取り組みは多種多様ですが、生物によっては国境を越えることもあることから、国際的に条約を締結して行われている取り組みもあります。
もちろん日本国内でも多くの生物を保護するための取り組みが行われていますが、それだけでは絶滅危惧種を守ることはできません。
原因からも分かるように、私たち一人ひとりが意識して行動することが大きな意味を持ちます。
国際的な条約
国際的に主な取り決めとしては3つの条約が結ばれており、その中の2つは取引に関する規制を行う条約です。
1つ目が輸出国と輸入国が協力して規制を実施し、絶滅危惧種の保護を図ることを目的としたワシントン条約、2つ目が渡り鳥が行き来する国々で締結し、絶滅のおそれがある鳥類を相互に通報し、輸出入規制などを行う二国間渡り鳥等保護条約になります。
3つ目が3つの基盤を規定し、湿地とそこに生息・生育する動植物の保全を促進および賢明な利用促進のために締結国が取るべき措置などを規定したラムサール条約です。
もちろんこれ以外にも条約はありますが、絶滅危惧種を守る条約として大きく機能しているのはこの3つになります。
日本国内で行われている取り組み
日本国内では3つの条約に加え、1993年に「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」を施行して、野生生物の種の保存を行っています。
この法律では国内希少動植物種における販売や頒布目的の陳列・広告、譲渡、捕獲・採取、殺傷・損傷、輸出などを原則禁止にするという個体の取り扱い規制が行われています。
また生息地の保護として、生息・生育環境にある場所を「生息等保護地区」と指定し、保全や再生を行うだけでなく、個体の繁殖促進などの事業を推進するため「保護増殖事業計画」を策定して、保護増殖の取り組みを行っています。
この保護増殖事業には地方公共団体や支援団体が協力し、取り組みを行っています。トキやシマフクロウ、ツシマヤマネコ、オガサワラシジミ、ハナシノブなど様々な動植物の繁殖への取り組みが進められており、少しずつですが個体数を増やしています。
このような取り組みを行う地方公共団体からは絶滅危惧種を保護するための寄付金や基金も設けられており、活動の資金として充てられています。
(出典:環境省「種の保存法の概要」)
(出典:外務省「ワシントン条約」)
(出典:環境省「二国間渡り鳥等保護条約」)
(出典:環境省「ラムサール条約とは」)
私たちにできる取り組みもある
私たちにできる取り組みは様々なものがあります。
寄付金や基金に協力し、生物の保護促進を行うのはすぐにでもできることです。
ただ保護活動を行われていない絶滅危惧種を守るためには根本的な原因を取り除くことも一つであることから、土地や河川の汚染を防ぐことために、農薬や化学薬品の使用、生活排水やゴミの排出量の抑制なども必要となります。
環境保全のために地域の清掃活動などに参加することも良いでしょう。
また地球温暖化や気候変動を抑制するために、温室効果ガスは二酸化炭素の抑制も効果的です。
電力消費は二酸化炭素の排出量を増やすことにもつながるため、節電を心がけることも大切です。
さらに通勤や通学、買い物などでは公共交通機関を利用して自家用車の使用を控えることや、自家用車を使用したとしてもアイドリングストップなどを行うだけで二酸化炭素の排出量は変わります。
(出典:環境省「日本の生きものたちをまもろう」,2017)
(出典:気象庁「地球温暖化を緩やかにするために私たちにできること」)
(出典:政府広報オンライン「海のプラスチックごみを減らし、きれいな海と生き物を守る!」)
陸の絶滅危惧種と共生していくために私たちができることとは
生物多様性は世界に住む動植物だけでなく、私たちにとっても必要な自然界のシステムになります。私たちは知らず知らずのうちにこの恩恵を享受していますが、その一方でその環境を壊しています。
これからの世界は環境に配慮した取り組みを行っていかなければ、いずれ享受していた恩恵は失われ、私たち自身にも大きな影響を及ぼす可能性は高いといわざるを得ません。
私たちにできることはたくさんあります。現在の環境について、絶滅危惧種について知ることは大切であり、今すぐ取り組める保護活動の一つでもあります。
できることからすぐにでも取り掛かり、絶滅危惧種を守りその数の減少を止められるように行動していきましょう。
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