日本では、家族に迎えられず殺処分されてしまう犬たちが後を絶ちません。2023年度には2,118頭が殺処分されました。そんな犬たちを救うため活動をしているのが保護犬ボランティアです。
「保護犬のために何かしたい」
「自分にもできるボランティアがあるか知りたい」
そんな思いを抱いているあなたへ向けて、この記事では以下の内容を紹介します。
- ・保護犬ボランティアの活動内容
- ・保護犬ボランティアの探し方と注意点
- ・保護犬ボランティア以外で支援できる方法
- ・保護犬を支援するおすすめの団体
あなたの行動が、保護犬たちの命をつなぎ、未来を変える力になります。まずは自分にできる支援のかたちを一緒に探してみませんか?
保護犬とはどんな犬?
出典:環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」
保護犬とは、飼い主がいない犬や劣悪な環境から救出されて保護された犬のことを指します。これらの犬は自治体や民間の動物保護施設、個人宅などで一時的に保護されて生活しています。
環境省によると、2023年度に動物愛護センターで保護された犬は合計19,352頭。そのうち、所有者不明の犬が17,342頭、飼い主から引き取られた犬は2,010頭でした。多くの犬たちが、限られた環境のなかで、新しい飼い主と出会える日を待ち続けています。
保護犬ボランティアの目的は殺処分から救うこと
保護犬ボランティアの最大の目的は、犬の殺処分を減らすことです。
環境省の調査によれば、2023年度に引き取られた19,352頭の犬のうち、2,118頭が殺処分されました。その中には388頭の子犬たちも含まれています。保護犬の殺処分数は減少傾向にはありますが、まだまだ多くの命が失われているのが現実です。
保護された犬たちは、殺処分されるのを震えて待っています。そのような保護犬たちを一頭でも救うために、支援団体やボランティアたちは、日々懸命に活動を続けているのです。
犬の殺処分の現状については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご一読ください。
>>【年間約2200頭】なぜ犬は殺処分される?現状とゼロの目指すために私たちにできること
保護犬ボランティアの活動例
保護犬を支援するボランティアの活動には、主に以下のものがあります。
- ・保護施設でのお世話
- ・一時的な預かり
- ・譲渡会・イベントのお手伝い
- ・保護犬・物資の搬送
- ・SNS発信・広報などの運営サポート
- ・災害時の救助活動や避難所での支援
それぞれの活動内容について詳しく見ていきましょう。
活動例①保護施設でのお世話
保護施設でのボランティアは、新しい飼い主が見つかるまで一時的に保護されている犬たちの世話をする活動です。主な仕事は以下のようなものがあります。
- ・餌やりや水やりの給餌活動
- ・犬を健康に保つための散歩や運動の手伝い
- ・ケージや施設の掃除
- ・健康状態のチェックや動物病院への送迎
特に子犬を対象とした「ミルクボランティア」では、数時間おきの授乳や排泄の世話など、より細やかなケアが必要となります。
活動例②一時的な預かり
保護犬を一時的に自宅で預かるのもボランティア活動の一つです。施設に馴染めない犬や、人になつかない犬が、新しい家族と暮らせるようにするための準備期間としての役割も果たします。
参加するには、十分な飼育経験や強い責任感が求められます。治療費などを自己負担する場合もあり、簡単な活動ではありません。基本的には里親が見つかるまで預かることになりますが、短期間であっても、正式な里親になるのと同じような条件が求められることもあります。
活動例③譲渡会・イベントのお手伝い
保護犬と里親候補者が出会う場となる譲渡会やイベントをサポートすることも、大切なボランティア活動です。
保護犬の譲渡会や啓発イベントの企画・運営には、多くの人手が必要です。保護犬のケアに専念するスタッフに代わって、ボランティアが運営をサポートします。具体的には、イベント当日の受付や案内、会場設営のほか、事前の広報・告知活動を手伝うこともあります。
活動例④保護犬・物資の搬送
搬送ボランティアは、保護犬や支援物資を必要な場所へ安全に届ける役割を担います。具体的には、保護施設から譲渡先や預かり先、譲渡会の会場、動物病院などへの移動をサポートします。
活動には、犬の扱いに関する基本的な知識と運転免許が求められます。
活動例⑤SNS発信・広報などの運営サポート
情報発信も重要なボランティア活動の一つです。SNSやブログで保護動物の情報を発信したり、里親希望者とのマッチングをサポートしたりします。
インターネットを活用した作業なので、離れた地域からでも参加可能な点が特徴です。
活動例⑥災害時の救助活動や避難所での支援
自然災害発生時に求められるのが、取り残された動物の救助や避難所でのペット支援です。避難所でペットを飼えない飼い主に代わって、一時的に犬を預かるボランティアもあります。
この活動は環境省や地方自治体の協力の下で行われ、高い責任感と迅速な行動が求められます。
保護犬ボランティアの探し方
保護犬ボランティアを始めるには、まず自分に合った活動先を見つけることが大切です。具体的には以下の方法があります。
- ・動物愛護団体の募集情報をチェックする
- ・ボランティア募集サイトから応募する
詳しく見ていきましょう。
動物愛護団体の募集情報をチェックする
保護犬ボランティアを探す際は、地域で活動している動物愛護団体の情報を確認するのが基本です。多くの団体では、保護や譲渡活動を支えるボランティアを随時募集しています。
団体の公式サイトやSNSでは、活動内容や募集条件、必要な手続きが掲載されていることが多いため、まずは情報をこまめにチェックしましょう。
気になる団体があれば直接問い合わせて、活動の詳細や参加の流れを教えてもらうと良いでしょう。
ボランティア募集サイトから応募する
インターネット上には、ボランティア募集に特化したウェブサイトもあります。例えば以下のようなサイトでは、動物関連のボランティア募集情報が掲載されています。
地域や活動内容で絞り込み検索ができるので、自分に合った活動を見つけやすいでしょう。
保護犬ボランティアをする際の留意点
保護犬ボランティアを始める前に、いくつかの留意点を理解しておきましょう。
保護犬のボランティア活動は、基本的に無償であることが多いです。交通費や活動に必要な物品を自己負担するケースもあります。特に預かりボランティアなどでは、犬の飼育経験や家族の同意、住宅の環境などが条件として求められることもあります。
なにより大切なのは、「ただ動物が好き」「試しにやってみたい」といった軽い気持ちではなく、命を預かる責任の重さを理解した上で活動に臨むことです。中途半端な気持ちで関わると、犬たちにストレスを与えることになりかねません。
犬の命を守り、生活を支える責任をしっかりと理解して、ボランティアに参加しましょう。
ボランティア以外で保護犬を支援する方法
現場のボランティア活動が難しいと感じる場合は、別のかたちで保護犬を支援する方法も検討してみましょう。
- ・保護犬の里親になる
- ・保護犬の支援団体に寄付する
詳しく解説していきます。
保護犬の里親になる
保護犬の里親になることは、犬の命を直接救う支援方法の一つです。心や体に傷を負った犬たちと向き合い、安心して暮らせる環境を提供するという、かけがえのない役割を担います。
ただし、譲渡元が定めた条件を満たす必要があり、誰でもすぐに迎えられるわけではありません。保護犬の中には、病気を抱えていたり、過去の虐待や放棄によって人間に不安や恐怖を感じている子もいます。そうした背景を理解したうえで、じっくりと向き合う覚悟が求められます。
保護犬の支援団体に寄付する
保護犬を支援する団体への寄付は、現場にとって欠かせない支えとなっています。寄付金は、フード代や医療費、ワクチン接種、施設の維持管理費など、犬たちの命と生活を守るために役立てられています。
また、団体によっては物資の寄付も受け付けており、使わなくなったケージやタオルなどの提供が助けになることもあります。ただし、継続的な活動を支えるには、金銭的な寄付のほうが効果的です。
保護犬を支援する団体の選び方については、以下の記事でも詳しく紹介しています
>>保護犬を寄付で救いたい!信頼できる団体の選び方とNPO団体3つを紹介
保護犬ボランティア募集・寄付を受け付けている団体3選
ここからは、保護犬を支援している団体を紹介します。ボランティア活動を希望する場合は、各団体の公式サイトで募集状況を確認してみると良いでしょう。活動が難しい場合でも、寄付というかたちで支援することが、保護犬たちの命をつなぐ大きな力になります。
あわせて、gooddoマガジン編集部が注目したポイントもぜひ参考にしてください。
ピースワンコ・ジャパン(認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン):支援者とのコミュニケーションを大切にしながら「犬の殺処分ゼロ」の実現を目指す
ピースワンコ・ジャパンは、「犬の殺処分ゼロ」の実現を目指し、犬の保護・譲渡活動を行っています。自然災害や紛争の被災地支援活動を行う、特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパンが運営しているプロジェクトです。
災害救助犬やセラピー犬の育成、正しい飼い方や動物福祉の考え方の啓発活動などにも取り組んでいます。
ピースワンコ・ジャパンは、今まで8,000頭以上の犬の命を救ってきました(2024年1月末時点)。
プロジェクトの運営母体であるピースウィンズ・ジャパンは、広島県より認定NPOの認証を受けています。また、優れたソーシャルビジネスの取り組みを表彰する、日経ソーシャルイニシアチブの受賞歴もあります。
ピースワンコ・ジャパンは「犬と人がひとつになり、豊かな未来をつくろう」というメッセージを発信しながら、活動に取り組んでいます。
gooddoマガジン編集部の注目ポイント3つ!
- 活動報告や今後の方針などのメールがこまめに配信されたり、YouTubeを始めとしたSNSでの発信も頻繁に行われている。団体とのつながりを感じながら支援できる
- 「日本での犬の殺処分ゼロ」を目指し、まずは広島県内で殺処分機を2016年4月から現在まで止めている。日本という大きな枠でのミッション実現に向け、まずは1つの県で達成できているのは大きな成果。
- ピースワンコ・ジャパンの毎月の継続寄付の会員「ワンだふるサポーター」は63,000人。多くの共感を呼ぶプロジェクトをしている、という実感が持てる。
ネットの口コミ評判を知りたい方はこちら
>>【怪しい?】ピースワンコ・ジャパンの口コミ評判は?専門家に詳しく聞いてみた
NPO法人犬と猫のためのライフボート:20,000頭以上の里親探しの実績あり
NPO法人犬と猫のためのライフボートは、保健所からの保護犬・猫の救命と譲渡を20年以上行う団体であり、今までに20,000頭以上の譲渡実績があります。
保護から医療、譲渡までを総合的にケアし、施設内には動物病院も併設。全国7か所の保健所と連携し、殺処分を防ぐ活動に取り組んでいます。
gooddoマガジン編集部の注目ポイント3つ!
- 動物病院の併設により健康面のサポートしている
- 長年にわたり里親探しの実績がある
- 幅広い地域で活動している
特定非営利活動法人 犬猫みなしご救援隊:行き場のない犬猫専用の「終生飼養ホーム」を運営
一般家庭では飼養が困難な、引き取り手のない犬猫たちを積極的に保護し、命が尽きる時まで責任を持って育てる「終生飼養」や猫の譲渡活動、野良猫の不妊手術などを行っています。
動物と人間が共生できる明るい未来の実現を目指しています。
- 障害や傷病を追っていたり、人になつかない野良犬や野良猫など、引き取り手のない犬・猫たちの受け皿として、犬猫専用の「終生飼養ホーム」を運営している
- 犬や猫だけでなく、ウサギ、鹿、ハクビシンなどの動物の引き取りも行っている
- オリジナルグッズの購入を通して、活動を応援できる。エコバッグ、Tシャツ、書籍、サーモスボトルなど種類豊富
あなたの行動が保護犬を救う力になる
本記事では、以下の内容をお伝えしました。
- ・保護犬ボランティアには、施設でのお世話や預かり、譲渡会のサポートなど多様な活動がある
- ・ボランティア先は、動物愛護団体や専門サイトを通じて探すことができる
- ・支援はボランティアだけでなく、寄付や里親になることでも可能
保護犬の命をつなぐには、現場で活動する多くのボランティアの協力が欠かせません。一方で、犬の扱いに関する知識や責任感が求められることから、ボランティアとして関わるのが難しい人もいるかもしれません。
そのような時は、動物愛護団体への寄付というかたちで支援することも、犬たちを救うための重要なアクションです。
あなたの関心や行動が、1頭でも多くの犬の未来を変える力になります。まずは、あなたにできることから始めてはいかがでしょうか?
▼おすすめの保護犬の支援団体
団体名 | gooddoマガジン編集部の注目ポイント |
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ピースワンコ・ジャパン | ・活動報告や今後の方針などのメールがこまめに配信されたり、YouTubeを始めとしたSNSでの発信も頻繁に行われている。団体とのつながりを感じながら支援できる ・「日本での犬の殺処分ゼロ」を目指し、まずは広島県内で殺処分機を2016年4月から現在まで止めている。日本という大きな枠でのミッション実現に向け、まずは1つの県で達成できているのは大きな成果 ・ピースワンコ・ジャパンの毎月の継続寄付の会員「ワンだふるサポーター」は63,000人。多くの共感を呼ぶプロジェクトをしている、という実感が持てる |