日本には、野生鳥獣を保護するために設けられた「鳥獣保護区域」というエリアがあります。
この記事では、鳥獣保護区域とはどのようなものなのか、指定されている地域などを紹介します。
ぜひこの機会に鳥獣保護区域についての理解を深めていきましょう。
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鳥獣保護区とは
鳥獣保護区とは、「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)」に基づいて指定された、鳥獣保護のための区域のことを言います。
鳥獣保護区と規制の概要
鳥獣保護区は大きく分けて2種類あります。
1つ目は環境大臣が指定する国指定鳥獣保護区、2つ目は都道府県知事が指定する都道府県鳥獣保護区です。
鳥獣保護区とは、希少鳥獣をはじめとする鳥獣の保護が必要であると認められる地域のことを指し、鳥獣保護区では狩猟を行うことができません。
鳥獣保護区の存続期間は20年以内となっていますが、期間の更新を行うことが可能です。
また、鳥獣保護区内のなかでも、特に鳥獣の保護や生息地の保護を行う必要性が高い区域については、環境大臣または都道府県知事によって「特別保護地区」に指定されています。
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特別保護地区と規制の概要
特別保護地区とは、鳥獣保護区内において特に鳥獣の保護や生息地を守る必要があると認められた地区のことを指します。特別保護地区では狩猟が認められないだけではなく、一定の開発行為が規制されています。
このような特別保護地区で工作物の新築や改築、水面の埋立・干拓、木竹の伐採などを行う場合は、必ず事前に許可を得ることが必要です。ただし、1ha(ヘクタール)以下の埋立・干拓や住宅の設置など、鳥獣の保護に支障がない開発行為については、許可が不要な場合もあります。
また、特別保護区のなかでも特に保護が必要だと認められ、人や車両により鳥獣の生息や繁殖などに悪影響を与えかねないと認められた区域は、「特別保護指定区域」として指定されており、さらに厳しい規制が敷かれています。
※2021年1月時点
(出典:環境省「鳥獣保護区制度の概要」)
鳥獣保護区に指定されている地域はどこ?
日本において鳥獣保護区域に指定されている地域は一体どこなのでしょうか。
次に、鳥獣保護区域に指定されている地域について紹介します。
鳥獣保護区の指定状況
鳥獣保護区の指定状況は、2019年時点で国指定鳥獣保護区は86ヶ所、面積は59万3,000haです。そのうち特別保護地区は71ヶ所、16万4,000haで、特別保護指定区域は2ヶ所、1,000haとなっています。
対して都道府県指定鳥獣保護区は3,657ヶ所にのぼり、面積は293万6,000haと広大な土地が指定されています。そのうち541ヶ所、14万3,000haが特別保護地区、さらに3ヶ所6,000haが特別保護指定区域です。
国指定鳥獣保護区の位置図
86ヶ所の国指定鳥獣保護区の位置図は、環境省のホームページから確認することができます。また、環境省の国指定鳥獣保護区の位置図では、鳥獣の大規模生息地、集団渡来地、集団繁殖地、希少鳥獣生息地が一目で分かるようになっています。
都道府県における鳥獣保護区等位置図
都道府県における鳥獣保護区等の位置図は、各都道府県のホームページに「鳥獣保護区等位置図」が掲載されています。例えば、北海道や東京都、宮城県など各都道府県の鳥獣保護区等位置図では、鳥獣保護区・特別保護地区だけではなく、指定猟法禁止区域なども掲載されています。
また、鳥獣保護の観点から、狩猟対象の鳥獣や各都道府県における狩猟禁止の野生鳥獣、捕獲数の1日あたりの制限数なども掲載されています。狩猟を行う人は必携となるため、必ず目を通しておく必要があります。
※2021年1月時点
(出典:環境省「鳥獣保護区制度の概要」)
(出典:環境省「国指定鳥獣保護区の位置図」)
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鳥獣保護区でも有害鳥獣の捕獲は可能?
ニュースなどでシカやイノシシなどによって、農作物が被害を受けていることを見聞きしたことがある人も多いのではないでしょうか。日本では一部の鳥獣の急激な増加によって、鳥獣被害が深刻化しています。
次に、鳥獣保護区での有害鳥獣の捕獲は可能なのか、被害や現状なども含めて紹介します。
有害鳥獣による被害の現状
シカやイノシシをはじめとした野生鳥獣による2019年度の農作物被害は、約158億円と非常に深刻な金額にまでのぼっています。
また、有害鳥獣による被害は、農作物の被害金額によるダメージだけではなく、農作物を作る意欲を落としてしまう原因になりかねません。さらには、食べ物を探して町などに野生鳥獣が下りてくることで、人間や家屋、自家用車などに被害をもたらすこともあります。
(出典:農林水産省「鳥獣被害対策コーナー」)
狩猟の役割
狩猟とは、銃やわな、網など決められた道具を用いて、絶滅の危険性のない野生鳥獣を捕まえることです。
趣味として狩猟を楽しむ人もいますが、適正な狩猟を行うことで、農林水産業被害や生活環境被害を防ぎ、生物多様性の確保や生活環境保全を図るといった社会的役割を持つ行為です。
特に生活環境や農作物などに被害を与える鳥獣に対して狩猟を行うことは、有害鳥獣の個体数の増加を防ぎ、人々の生活への被害を防止する役割を担っています。
また、外来種の狩猟を行うことは、日本の在来種を保護にも結び付き、生態系の保全にも貢献することになります。
つまり、狩猟は増え過ぎた野生鳥獣の生息範囲や生息数の適正化を図ることにつながっているのです。
狩猟によって単に野生鳥獣の命を奪うのではなく、狩猟者は野生鳥獣の命に感謝をしたうえで、食や暮らしに取り入れています。最近は狩猟者の高齢化や人数の減少などが問題視されており、狩猟者として若者を育成することが望まれています。
(出典:山形県「狩猟に関すること」)
(出典:いわき市役所「『狩猟』について知ろう!」)
鳥獣保護区での有害鳥獣の捕獲について
鳥獣保護区では、原則として狩猟は禁止されています。
しかし、鳥獣被害防止や個体数調整のために特別に捕獲が許可される「特定鳥獣保護管理計画制度」によって、駆除対象となる種や期間(毎年11月15日~翌年2月15日、北海道では毎年10月1日~翌年1月31日)、許可の要件を満たすことで、狩猟を行うことが可能です。
また、鳥獣保護区における有害鳥獣の捕獲では、農作物への被害があれば、有害捕獲申請を行い、許可を得ることで鳥獣保護区での捕獲を行うことができます。
(出典:農林水産省「鳥獣の捕獲に関する制度」)
鳥獣保護区の規則を知り、人間と野生動物共存について考えよう
狩猟が禁止されている鳥獣保護区は、野生鳥獣の保護や生息地の環境保全を行ううえで重要な区域です。また、人間と野生鳥獣の適切な関係性を築くために、鳥獣保護や管理、狩猟における規則や社会的役割を私たち一人ひとりが知ることが大切になります。
ぜひこの機会に鳥獣保護区における規則を知り、私たち人間と野生鳥獣が共存できる持続可能な社会について考えてみてはいかがでしょうか。