世界で貧困に苦しむ「貧しい人」とはどのような人や状態なのだろうか? と思ったことはありませんか。本記事では、まず国際機関が定義する貧困について説明し、貧困について理解を深めるための下記の内容を紹介します。
- ・貧しい人の数と貧困の現状
- ・貧困が生まれる原因
- ・国連や日本政府が実施している支援
近年では貧困は海外だけの問題ではなく、日本でも貧しい人は存在するのです。
では、なぜ貧困問題が生じてしまうのでしょうか。その原因や、解決するための取り組みを記事内で詳しく解説していきます。
また、貧困問題に関心があるという方は、簡単30秒でできるアンケートに応えて、問題について理解を深めながら支援してみませんか?
約30秒のアンケートに回答いただくと、貧困解消のために活動する団体に10円の支援金が届きます。記事を読み進める前にぜひお試しください!
\たったの30秒!/
貧しい人とは?どれぐらいいる?
世界の貧困の現状
現在、世界中には7億人以上の人々が貧困状態にあり、そのうち約1億2千万人が極度の貧困状態にあるとされています。
特に、アフリカ南部やサハラ以南のアフリカ地域、南アジアなどの途上国において、貧困層の割合が高くなっています。一方で、先進国でも貧困層が存在し、その割合は年々増加しています。
国際通貨基金(IMF)が公開しているデータによると、一人あたりGDPが一番低い国は南スーダンです。
南スーダンは2011年に独立直後の2012年にスーダンとの国境紛争が激化。2013年にはクーデター未遂事件が発生するなど治安が安定していませんでした。
2016年に国内統一暫定政府が樹立されるも、国内の混乱は続いています。度重なる内戦で開発は進まず、経済は崩壊状態のため、国民の約62%が食料不安に陥っており、約550万人が国内外で避難民となっています。
食料や安全な水、教育など日本では手に入る基本的サービスが不足し、足りていない状況です。南スーダン共和国には、人道支援を必要としている人々が多くいるため支援ニーズは増加し続けています。
出典:IMF
ハンディキャップのあるクリエーターの商品に特化した通販サイト。お買い物で障がい者福祉や作り手を応援
日本の貧困の現状
日本でも貧困層が存在しており、2019年の厚生労働省の調査によると、世帯の貧困率は16.3%でした。
特に、単身世帯や子育て世帯、高齢者世帯などが貧困層になることが多く、その割合は年々高くなっています。
また、ひとり親世帯の子どもの貧困率が高いといわれています。特に、シングルマザーの世帯は、収入が少ない、子育てと仕事の両立が難しい、給与や待遇面が充実していないなどの理由で貧困率が高いと言われています。
そのため、政府から児童扶養手当などの補助があるものの、それだけでは十分な支援とは言えず支援団体などの継続した支援を必要としています。
出典:厚生労働省
貧しい人の定義とは?
貧しい人とは、貧困に苦しんでいる人のことを指します。では、「貧困」とはどのようなことでしょうか?定義や指標は期間や団体によってさまざまです。
貧困の一例として、国際機関のUNDP(国連開発計画)では「教育、仕事、食料、保険医療、飲料水、住居、エネルギーなど最も基本的な物・サービスを手に入れられない状態のこと」を貧困の定義としています。
例えば、世界で最も貧しいと言われている南スーダン共和国でも、基本的なサービスが不足している状態です。IMFでは国際貧困ラインという指標を設けています。
2011年の購買力平価(PPP)に基づき、1日1.90ドル*が指標です。以前は2005年のデータに基づき1日1.25ドルと定められていました。
「SDGsの目標1」でも貧困の定義について解説されています。1日に1.25ドル未満で暮らす人たちを「極度の貧困」と定義し、2030年までに定義に当てはまる人をゼロにする、という目標を掲げています。
「SDGsの目標1」について詳しく知りたい方は、下記の記事でも紹介していますのでご覧ください。
>>持続可能な開発目標・SDGsの目標1「貧困をなくそう」のターゲットや現状は?
今回「一人あたりGDP」に注目した理由は、下記の記事にもある「絶対的貧困」に関係するからです。
絶対的貧困とは、食料や衣類など人間らしい生活の必要最低限の基準が満たされていない状態をいいます。 一人あたりGDPが低い国では、生活の必要最低限の基準が満たされていないことが多いのが現状です。
絶対的貧困と相対的貧困について、詳しく知りたい方は下記の記事もあわせてご覧ください。
>>「貧困」の定義は?絶対的貧困と相対的貧困とは。子どもの貧困問題解決のためにできること
*出典:令和2年版通商白書2第4節 世界の発展と残された課題|経済産業省
なぜ抜け出せない?途上国で貧しい人がいる原因
なぜ途上国は貧困から抜け出せないのでしょうか?途上国で貧困が続く原因について解説します。貧困に陥る要因としては、下記の3つが挙げられます。
- 社会的な要因
- 経済的な要因
- 政治的な要因
社会的な要因
社会的要因とは、社会的な状況や構造、関係性に起因する要素のことを指します。社会的要因は、個人の生活や経済的な状態に大きな影響を与えることがあります。
以下、貧困の社会的要因の一部の例です。
- ・教育の格差:教育の機会や質の格差が貧困を引き起こす要因となります。十分な教育を受けられず得られる仕事が限られ、結果的に経済的に苦しい状況を生む原因となるのです。
- ・就業機会の不足:高い失業率、低い賃金水準、労働市場の不安定さなど、就業機会に恵まれていないことは貧困の大きな要因となります。
- ・社会的排除:人種、民族、性別、障がいなどの要因による差別や偏見によって、個人・グループやマイノリティが社会的に孤立することで、経済的な機会にアクセスできないことがあり、その結果貧困が生じることがあります。
- ・住居環境:立地や衛生環境、家賃など住宅環境の悪化があります。貧困に苦しむ人は、住環境が悪いところにすまざるを得ないなど、住環境は貧困の原因に関連していることがあります。
貧困の問題を解決するためには、これらの社会的要因への対策や社会的包摂(ソーシャル・インクルージョン)を促進する取り組みが重要となります。
経済的な要因
経済的要因は、個人や世帯の所得、雇用、経済的な資源の不足、経済成長の停滞などに関連して貧困を引き起こす要因となります。
以下、貧困の経済的要因の一部の例です。
- ・低所得:所得水準が低く、十分な経済的な安定性を確保できない低賃金労働や非正規雇用が貧困を引き起こす要因です。十分な所得が得られないことで、基本的な生活必需品やサービスの購入や貯蓄が困難になります。
- ・経済インフラ:貧弱な経済インフラ(例:交通、通信、エネルギーなど)は、経済的な活動や雇用の機会に制約をもたらし、貧困の促進につながります。
- ・経済の不安定性:経済の変動や不安定性は、失業や収入の減少、ビジネスの倒産などのリスクを高めることがあります。不安定な経済状況下では、個人や世帯の経済的な安定性が脅かされ、貧困リスクが増大する可能性があります。
貧困問題を解決するためには、経済的要因への対策や経済成長の促進、雇用創出、貧富の格差への対策実施などが重要とされています。
政治的な要因
政治的な状況や政策、制度などの政治的要因は、貧困の発生や拡大に影響を与えることがあります。
以下、貧困の政治的要因の一部の例です。
- ・不平等な政策:不公正でかつ不平等な経済政策や制度がとられた場合、富や資源の偏在が生じ、貧困が拡大する可能性があります。特に利益集約型の政策や制度がとられた場合、一部の富裕層のみが恩恵を受けることがあります。
- ・腐敗した政治:腐敗や貪欲な政治は、公共資源や社会的なサービスの不正な分配や乱用につながり、貧困を増大させる可能性があります。結果、その国の一部の人しか社会サービスにアクセスできない、不平等な社会構造になってしまいます。
これらの要因が複合的に作用することで、貧困が生じるとされています。
貧困が発生する原因については、下記の記事でも詳しく紹介しています。アフリカの貧困の原因について詳しく知りたい方は、ぜひご覧ください。
>>アフリカの貧困の原因は?子どもたちの暮らしや教育事情、私たちにできる支援とは?
国連や日本政府が実施している貧しい人への支援
国連と日本政府が実施している支援にはどのようなものがあるのでしょうか。国連と日本政府、それぞれの支援について紹介します。
【国連】
貧困問題を解決するため、下記の国際協定を締結しています。
- ・世界人間開発報告書
- ・国際人権規約
- ・国際労働機関(ILO)の貧困削減に関する取り組み
「貧困をなくそう」をテーマに、あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせることを目的に貧困支援を行っています。
参考:貧困をなくそう|国際連合広報センター
【日本】
ODAを通じて途上国の支援を行っています。
令和5年度の予算は828.1億円*で、JICA出資金やアジア開発銀行等の拠出金、二国間技術支援経費などに使われる予定です。
国連や政府の支援は規模感が大きく、重要な取り組みです。一方で、現地のニーズに応じた柔軟な活動を行いにくい側面もあります。だからこそ、NPOなどの民間の支援団体への寄付が必要とされています。
貧しい人を支援するために私たちができること
貧しい国を支援するために私たちができることについて紹介します。まずは、できるところから始めてみましょう。
支援団体への寄付
貧しい国を支援するためにできることのひとつが、支援団体への寄付です。
ここでは、gooddo編集部がおすすめする貧しい国へ支援を行っている団体を、『寄付アドバイザーの河合さんの注目ポイント付き』で3つ紹介していきます。
公益財団法人 日本ユニセフ協会:知名度の高さが信頼に
ユニセフはこんな人にオススメ!
- ・子どもが笑顔でいられる社会になってほしい
- ・世界の色々な国で多くの問題があるので、どこを支援したらいいかわからない
- ・活動歴が長い団体には安心を感じる
ユニセフは190の国と地域で子どもたちの命と健やかな成長を支えるため、保健、栄養、水と衛生、教育、児童労働などからの子どもの保護、緊急支援・人道支援の分野で活動しています。
子どもたちが教育を受けられるよう、「子どもにやさしい学校」を目指して校舎の建設から教員研修などさまざまな支援を行っています。
活動を通して「すべての子どもの権利が実現される世界」を目指しています。
寄付アドバイザー河合さんの注目ポイント3つ!
- 国連機関ならではのスケールの大きな質の高い支援ができる。2019年のワクチンの供給数は24億回
- マンスリーサポートでできることが具体的に示され、支援の成果の報告が充実
- 著名人、企業・団体などユニセフの多くの支援者の存在が活動を支えている
ネットの口コミ評判を知りたい方はこちら
>>【実際どう?】ユニセフの気になる評判は?寄付先として信頼できるかを徹底解説
認定NPO法人ワールド・ビジョン・ジャパン:子どもと繋がりを感じられる
ワールド・ビジョン・ジャパンはこんな人にオススメ!
- ・寄付をした効果が継続して実感できる方が良い
- ・子どもの顔が見える関係で支援したい
- ・具体的な数字があるとわかりやすく感じる
ワールド・ビジョン・ジャパンは、約100カ国において保健、水衛生、生計向上、教育、栄養の分野での開発援助や緊急人道支援を通して、困難な状況で生きる子どもたちのために活動しています。
アフリカの子どもたちを取り巻く環境を改善し、一人ひとりが健康や幸せを享受できることを目指し、地域社会全体に継続的な支援を行っています。
国連機関に公認・登録された世界最大級の子ども支援専門の国際NGOです。
寄付アドバイザー河合さんの注目ポイント3つ!
- 途上国の子どもと心のつながりを持ちながら支援する「チャイルド・スポンサーシップ」が特徴
- 「何もかもはできなくとも、何かはきっとできる」などのメッセージから団体が大切にしていることが伝わる
- 「極度の栄養不良にあった子どもたちの89%が完全に改善」など、活動の影響を具体的な数字で示している
ネットの口コミ評判を知りたい方はこちら
>>【実際どう?】ワールド・ビジョン・ジャパンの気になる評判は?寄付先として信頼できるかを徹底解説
公益財団法人プランインターナショナル・ジャパン:世界70か国で女の子や女性を支援
世界70カ国以上で、女の子や女性への支援などを行う国際NGOです。
「子どもの権利を推進し、貧困や差別のない社会」を実現するために活動しています。
寄付アドバイザーが見た注目ポイント!
- 1972年に創立された日本の国際協力NGOの草分け
- 寄付以外にも「クラフトリンク」(フェアトレード)、「ステイナイ生活」(不用品の寄付)など、多様な支援メニュー
- 会員は1,000人を超え、マンスリーサポーターも約1,000人、役員もNGOや国際協力分野を代表する人物が参加する
このように考えている方は、この機会に遺贈寄付を考えてみませんか?
生前に手続きを済ませるだけで、自分の遺産を支援団体に寄付(遺贈寄付)できます。
遺贈寄付先の選び方をチェックする
ボランティア活動への参加
時間と場所がマッチすれば、ボランティア活動への参加もおすすめです。
日本国内からでも参加できる、海外の貧困支援ボランティアもあります。支援団体の公式ホームページを確認してみましょう。ネット検索で支援団体のボランティアを探すのもおすすめですが、なかには怪しい団体もあるので注意が必要です。
支援団体を選ぶときのポイントを知りたい方は、下記の記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
>>寄付してはいけない団体は本当にある?寄付先を選ぶときのポイントを3つ紹介!
フェアトレード製品を購入する
途上国の経済的社会的に弱い立場にある生産者と経済的社会的に強い立場にある先進国の消費者が対等な立場で行う貿易の仕組みです。適正な賃金を支払い、労働環境を整備するなど生産者の生活向上を図り、生産者の自立も目的の1つです。
フェアトレード製品を購入することで、経済格差の是正につながります。フェアトレードの製品は認証ラベルも貼られているので、どの製品が対象か見分けられます。
>>SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」に関連してフェアトレードについて学ぼう
ハンディキャップのあるクリエーターの商品に特化した通販サイト。お買い物で障がい者福祉や作り手を応援
まとめ
貧困は、単に所得水準だけでなく、教育、健康、居住環境、社会的地位などの要素も含みます。世界中には7億人以上の人々が貧困状態にあり、その割合は年々増加しています。
国連や政府、NPOなど、様々な団体が貧困対策に取り組んでいますが、私たち一人一人も、寄付や支援、ボランティア活動などを通じて貢献することが大切です。