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【わかりやすく】「生理の貧困」とは?原因や理解されない背景、取り組みを解説

最近「生理の貧困」ってニュースで見かけるけど、「結局、それって自己責任なんじゃないの?」と思っていませんか?

このような方に向けて、この記事では生理の貧困について以下を解説します。

  • ・生理の貧困とはなにか。なぜ起こるのか
  • ・生理の貧困が批判される背景
  • ・生理の貧困の解決に向けて行われていること、私たちができること

結論からいうと、生理の貧困は子どもの貧困問題と深いつながりがあり、社会全体で取り組む必要のある課題といえます。また、私たちも課題解決に関わることができます。

また、「女性の自立や幸せに関心がある」という方は、簡単30秒でできるアンケートに応えて、問題について理解を深めながら支援してみませんか?

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生理の貧困とは?

厚生労働省によると、生理の貧困とは「女性への健康支援の観点から、経済的な理由で生理用品を購入できない女性*」たちの状態のことをいいます。

2017年、国際NGOプラン・インターナショナルがイギリスでおこなった調査をきっかけに「生理の貧困(Period Poverty)」という言葉が広く知られるようになりました。

開発途上国では生理用品が入手できないだけでなく、衛生的なトイレや入浴施設が少なく衛生的な水も不足しているため、身体を清潔に保つことや生理用品の適切な廃棄が難しくなっています。この問題は途上国だけの問題ではなく、先進国でも問題となっています。

日本では、新型コロナウイルスの感染拡大により顕在化しました。

*出典:厚生労働省 「『生理の貧困』が女性の心身の健康等に及ぼす影響に関する調査」の結果を公表します

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生理の貧困はなぜ起こるのか?

生理の貧困が起こる理由は、大きく分けて以下の2つです。

  • ・経済的貧困
  • ・知識や人間関係の貧困

それぞれ解説していきます。

主な原因は経済的貧困

「生理の貧困」の主な理由は経済的な問題です。

日本で生理の貧困に注目が集まったきっかけは、新型コロナウイルスの感染拡大による収入格差の拡大です。

特に女性従業員の比率が高い小売業や飲食業、旅行業において失業や大幅な収入減が起き、多くの女性たちが追い込まれました。

また、感染拡大防止のための休校措置や育児施設の閉鎖によって子どもの在宅時間が増加し、仕事をセーブしたり休んだりしなければいけない親(特に女性)が増えました

女性がひと月にかける生理用品の購入金額は300〜700円程度。収入が下がれば、おのずと生理用品にかけられるお金も減ります。

厚生労働省の調査*によると、「新型コロナウイルス発生後(2020年2月頃以降)、生理用品の購入・入手に苦労したこと」が「よくある」「ときどきある」のは回答者の8.1%(244人)となっています。そのほとんどが、経済的な理由で生理用品の購入・入手に苦労していることがわかります。

また、自分で収入を得ていない子ども世代は、「家庭の貧困」といった背景から生理用品の購入に苦労している状況が伺えます。

厚生労働省の調査によると、2021年の子どもの貧困率は11.5%、9人に1人は貧困状態にあります。貧困状態の家庭では、わずか月300〜700円でも大きな負担になってきます。

このように生理用品を十分に購入できない女性は日本国内でも存在している増えているのです。

*出典:厚生労働省 「『生理の貧困』が女性の心身の健康等に及ぼす影響に関する調査」結果概要

背景には知識や人間関係の貧困などが挙げられる

経済的状況の他にも、家庭の環境も背景にあるとも言われています。

生理用品の購入時には紙袋に入れられるなど、日本社会の風潮として生理を「恥ずかしい」「隠すべき」ものだという固定概念があります。この考え方は海外でも見受けられており、イギリスでも、2017年のブラン・インターナショナルの調査によると、14歳から21歳の女性1000人のうち48%が生理を恥ずかしいものだと感じていると回答しています。

また、生理の経験を持つ大人の女性が側にいない家庭では、女性は父親に相談しづらい上、保護者側も何を教えていいかわからないといった状況に陥ります。

さらに、女性の保護者がいたとしても相談できる関係ではない場合やネグレクト、仕事などで保護者が家におらず十分に話せない場合、子ども側も相談を持ちかけることができずにいることも考えられます。

こういったことから、正しい知識を得られていないことが原因で子どもたちが生理の貧困に陥っています。

生理の貧困が批判される背景

厚生労働省が調査を行うなど「生理の貧困」が注目される中、この問題について「理解できない」という声もあります。 出典 厚生労働省 『生理の貧困』が女性の心身の健康等に及ぼす影響に関する調査

背景には生理に対する社会全体の理解不足があります。具体的には、性教育が不十分であったり、女性の体調の変化が激しいことについて知る機会がそもそもなかったりということです。生理の貧困は「個人の責任」として片付けられる問題ではありません。

そもそも生理について、男性側は適切な知識を得られる場所が少ないなど「性教育の問題」が挙げられます。生理について知ろうとすると「恥ずかしいこと」と思われる雰囲気も、問題に拍車をかけています。

また経済的な理由やネグレクトなどで、自分ではどうしようもできない子どもたちもいるのです。

15~24歳の女性2,000人を対象としたアンケートでは、約半数の女性が、生理(月経)前に発症する、月経前症候群(PMS)などで学校、職場に行けない、または早退・遅刻を経験したと答えています。

これは、女性の社会進出の機会だけでなく社会経済全体にも大きな損失を与えているのです。

生理の貧困の解決に向け行われている取り組み

「生理の貧困」は社会全体で取り組む必要のある問題です。

国や企業、民間団体は生理用品の無料配布や相談しやすい環境づくりなど、問題解決に向けて様々なアプローチを行っています。

詳しく紹介します。

国や地方自治体の取り組み

新型コロナウイルスの感染拡大による収入格差の拡大をきっかけに、生理の貧困問題が明らかになった日本。政府は「女性活躍・男女共同参画の重点方針2021」に「生理の貧困」への支援に関する項目を盛り込み、取り組みを進めています。

日本の取り組み事例として、地域女性活躍推進交付金や地域子供の未来応援交付金を活用した、生理用品の提供があります。居場所づくりなどの事業を行っている交付金で、女性や女の子たちへの寄り添った相談支援の一環として、取り入れられているのです。

地方公共団体でも防災備蓄や予算措置、企業・住民からの寄付などを活用し、生理用品の無償配布などを行う取り組みが広がっています。

海外においては、イギリス・スコットランドや、フランス、ニュージーランドにおいて生理用品を学校で無料配布するなどの取り組みが行われています。

企業の取り組み

企業も「生理の貧困」解決に向けて取り組んでいます。

ナプキンを製造する企業が、生理用品の入手で困っている学生に向けて、生理用ナプキンを1年間無償で配布する「奨学ナプキン」という活動を行っています。

また、生理用品の寄付に賛同する企業のスポンサーを募り、全国の自治体や社会福祉協議会へ生理用品を提供するプロジェクトを行っている企業もあります。

NPOの取り組み

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日本には、子どもの貧困支援や居場所提供活動を行う多くの民間団体が活動しています。

ここでは、これらの団体が行う、生理の貧困の根本的解決につながるよう、子どもの貧困支援や居場所提供活動を行う民間団体の活動を紹介します。

認定NPO法人 全国こども食堂支援センター・むすびえ:全国約5,000箇所の「こども食堂」と協働

全国のこども食堂を支援をする「むすびえ」は、こども食堂が行うひとり親家庭等の食支援等の活動を支援するための助成事業を行っています。

その中で、対象経費として生理用品を生活必需品として認め、支援しています。

>>むすびえについて詳しくみる

認定NPO法人 カタリバ:ナナメの関係で支援者と伴走

家庭環境などに課題をかかえる子どもたちを対象に、居場所・学習・食事を届ける活動を行う「カタリバ」は、学校や、スクールソーシャルワーカー、地域の福祉課など、様々なセクターと連携を取り、状況に応じた支援を行っています。

子どもたちに心の安全基地を届ける「アダチベース」では、子どもたちが安心できる居場所づくりを行い、相談しにくい生理の問題も相談しやすい環境を作っています。

>>カタリバについて詳しくみる

認定NPO法人 3keys:子どもが頼れる居場所を提供

子どもの権利を守るため、子どものセーフティーネットづくりをする「3keys」は、深刻な悩みをインターネットで相談できるサイト『Mex(ミークス)』の運営をしています。

『Mex』は、虐待・いじめ・自殺・こころの問題などを誰にも相談できずに抱えている子どもたちを、安心して頼れる大人や支援団体とつなぐためのサイトです。生理を始めとした身体のことも気軽に相談できる場となっています。

>>3keysについて詳しくみる

生理の貧困の根本解決に向けて私たちができること

「生理の貧困」の根本的な解決に向けて特に必要なのは貧困支援です。自分の力ではどうすることもできない子どもたちの支援はとても重要となっています。

また、生理に関する正しい知識を男女問わずより多くの人が身に着けることも必要です。

ここでは、今すぐに私たちができる以下3つの支援方法を紹介します。

  • ・正しい知識を持ち、家庭内で共有する
  • ・生理用品を寄付する
  • ・支援団体にお金の寄付をする

正しい知識を持ち、周囲と話す

まずは、今一度正しい知識を身につけることが大切です。

子どもがいる方は、家庭で話すのもおすすめです。小さい頃から生理について知識を教えることで、生理の貧困について「理解できない」と思われる機会を減らせます特に小さい頃であれば先入観もありません。

教える際には恥ずかしいことだと教えないよう心がけ科学的な事実を客観的に伝えることが大切で、恥ずかしいとか隠すべきといったフィルターをかけないように注意しましょう。会話が難しければ、絵本や冊子などを用いてみてください。

また、異性の保護者であっても女性と同じように取り組むのが理想です。もし子どもが大きくなっていてどうしても難しい場合には、祖母や友人女性などに相談するのもひとつの手です。

子どもがいない方でもできる取り組みはあります。

  • ・SNSなどで啓発活動を行う
  • ・異性(男性)にもツラいことだと話してみる

といったところから始めてみることがおすすめです。

生理用品を寄付する

NPO、自治体など、生理用品の寄付を受け付けている団体があります。

寄付できる生理用品の保管状態や種類の制約が設けられている場合もあります。事前に確認しましょう。

支援団体にお金の寄付をする

子どもの貧困支援を行うNPO団体に寄付をすることで、「生理の貧困」の根本的な解決に向けて貢献することができます。

寄付には主に単発、継続の2種類の方法があり、支払いはクレジットカードや銀行振り込みでできます。単発も継続も1,000円程度から始められるものがほとんどです。

子どもの貧困支援を行う団体はこちらの記事で紹介しています。ぜひご一読ください。

>> 日本の「子どもの貧困」問題をなんとかしたい!5つの寄付先や支援方法を解説

寄付先の団体を選ぶポイントはこちらで紹介しています。

>> 寄付してはいけない団体は本当にある?寄付先を選ぶときのポイントを3つ紹介!

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まとめ:生理の貧困は社会全体の問題!一緒に解決を目指そう

本記事では、生理の貧困とは何か、なぜ起こるのか、解決に向けて行われていることや私たちができることについて解説しました。

  • ・経済的貧困が生理の貧困の根本的な原因である
  • ・生理の貧困の問題の解決に向けて、行政や民間団体が様々な取り組みを行っている
  • ・私たちができることは、生理への正しい知識を持ち、生理の貧困をなくすために活動している団体を支援すること

 

生理の貧困は、子どもの貧困問題と深いつながりがあります。放っておいてはいけない社会全体で取り組む必要のある課題であり、私たちも課題解決に関わることができます。

貧困支援に限らず、子どもが安心して過ごしたり、相談できる場所を提供する活動を支援したい人はこちらもご一読ください。

>>日本国内の子どもに寄付したい!おすすめNPO団体と選び方を専門家が紹介

この記事を書いた人
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