「誰か助けて…」── 誰にも言えず、パン一つでしのいだ夜

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「助けてって言えないんです。頼ったら負けだと思っていたから」
そう語るのは、リクさん(仮名・18歳)。
 

親からも、学校からも距離を置かざるを得なかった彼は、ひとりきりで生きていくこと決めました。

しかし、なんとかなると思っていた考えは甘かった。
ご飯が食べられない日が続くなか、リクさんの最後の頼みの綱となったのは──

「家にいたくない」──そう思って飛び出した先に、現実が待っていた

リクさんが家を出たのは、16歳で高校を中退してすぐのことでした。

リクさんが幼いころ、父親の不倫が原因で両親は離婚し、父親は家を出ていきました。
それ以来、どこにいるのかも知らない状態。父親との思い出もほとんどありません。

物心がついた時には、母親と二人っきりの生活でした。
離婚直後の母親は優しかった記憶があります。しかし、生活のために水商売の仕事を始めてから、次第に余裕を失っていきました。
 

日中は寝ていることが多く、リクさんが学校であったことを話そうと声をかけても、「今は疲れてるから後にして」と冷たく遮られる。

そうしたやり取りが繰り返されるうちに、リクさんも次第に話しかけるのをやめ、二人の間には深い溝ができていきました。

さらに、母親が機嫌を損ねると物を投げつけられたり、怒鳴られたりすることも。

リクさんにとって、家は安心できる場所ではなくなっていきました

中学に上がる頃には、学校でも浮いた存在になっていきました。

服や靴がボロボロだったことをからかわれ、給食費の滞納を陰で言われているのを耳にしたこともあります。

耐えきれなくなったリクさんは、思い切って担任の先生に相談しました。その後、他の先生方も動いてくれました。
 

しかし、学校だけでは家庭内の問題に十分な対応ができず、「家庭の事情には立ち入れない」という結論に至りました。児童相談所や福祉機関への連携も検討されましたが、具体的な支援にはつながりませんでした。

「先生を困らせてしまった」
「自分が悩んでること自体が、誰かにとって迷惑なんじゃないか」
そう思い込むようになりました。

もう他に頼れるところはない──

次第に、服や靴がボロボロなことを理由に、“汚い”とクラスメートから仲間外れにされるようになりました。グループでの活動では意図的に無視されたりと、どうしてもクラスに溶け込むことができませんでした。

そうした日々が続くうちに、いつしか学校に行くこと自体が苦痛になり、家でも学校でも、自分の居場所はないと思うようになりました。

「もう誰も信用しない」だから、ひとりで生きていくと決めた

その後、なんとか高校に進学できました。
しかし、勉強どころではなく、生活を立て直すためにアルバイトを詰め込む日々。

1年の終わりごろには、ついに出席日数が足りなくなり、留年が確定しました。

留年すれば、その分お金がかかります。学校は、楽しい場所でもなければ、居心地のいい場所でもなかった。

「辞めよう」

リクさんは退学を決めました。
 

しばらくはアルバイトをしながら、母親と暮らしていたリクさん。

しかし、母親は仕事のストレスや生活の苦しさから次第に感情を爆発させることが増えていきました。
ある日、些細なことで口論になった際、「なんで生まれてきたの?」

長年、母親との間に深い溝があったとはいえ、そんな言葉を投げつけられたのは初めてでした。

今思えば、母も感情的になっていただけで、本心ではなかったのかもしれない。

しかし、実の母親から浴びせられたその言葉は、16歳のリクさんにとって、まるで心臓を握りつぶされるような衝撃でした。

「もう誰も信用しないし、頼らない」

このとき、リクさんは母親と離れて一人で生きていくと決めました。

その日のうちに、リュックひとつに少しのバイト代とスマホを持って家を出ました。
 

でも、待ち受けていたのは、想像以上に過酷な現実でした。

「詐欺でもいい。ごはんが食べられるなら」 野宿の日々、最後にすがった一通の投稿

行くあてもなく、ネットカフェを転々とする日々。

最初は「一人でも、なんとかなる」と思っていました。
実際、家を出た直後は、かろうじて続けていたバイトがあったため、「しばらくは食いつなげる」と思っていたのです。

けれど数日後、店長からこう言われました。
「学校辞めたって聞いたけど、保護者の確認とれないなら、ちょっと難しいかな」
名目は“ルール上の都合”だったけれど、「もう来ないで」という空気を感じました。

「家がないんです、助けてください」

そんなことは言えるはずもなく、制服を返却しました。
 

「どこにいても、自分は邪魔者みたい」
家にも、学校にも、バイト先にも、リクさんの居場所はなくなりました。
 
「人に頼るのは負けだ」
「なんとかひとりで生きていかなくちゃ」
バイト代の残りを数えながら、これからどうすればいいのか、全く見えなくなっていました。

ネットカフェで転々とする生活は、思った以上にお金が必要でした。
「このままでは、すぐに底をつく…」
そう悟ってからは、公園のベンチで夜を明かすようになりました。

食事は、1食100円ほどのパンやカップ麺を1日2回。育ち盛りのリクさんにとっては、とてもじゃないけど足りない量でした。
 

半月もすると、所持金はあっという間に数千円に。このままでは本当に飢え死にしてしまう。恐怖に駆られ、食事は1日1食に減らしました

それは節約というより、空腹に身体を慣らすための、必死の訓練でした。

コンビニの前を通りかかるたび、温かい肉まんや弁当が目にちらつきましたが、「これを買うより、横になって寝ていた方がマシだ」と唇を噛みしめる。
眠ってしまえば、空腹も時間も忘れられる。それが唯一の抵抗でした。
 

しかし、そんなささやかな抵抗も虚しく、とうとうポケットの小銭をかき集めても、一番安いパンすら買えない日がやってきます

そして、何も食べられないまま二日、三日が過ぎたとき、意識が遠のくほどの空腹の中で、の心はついに限界を迎えました。
誰にも頼らないと決めていましたが、もはやそんなことを考えている余裕はなかった。
「誰か助けてほしい…」頭の中はその思いでいっぱいでした。

最後の気力を絞り、充電が切れそうなスマホで「10代 家出 家がない」と検索していました。

そこで、X(旧Twitter)でたまたま見かけたのが
「若者のための居場所」
「無料のごはんあります」
NPO法人サンカクシャの投稿でした。

「ご飯が食べたいです」

詐欺かもしれない──いや、詐欺でもいい。ご飯が食べられるなら。
藁にもすがる思いで送ったLINE。

期待はしていませんでした。けれど、返信はすぐに届きました。

「ここにいていいんだ」──小さな声を受けとめてくれた“誰か”がいた

「ご連絡、ありがとうございます。まずは一度お話ができればと思うのですが、ご都合の良い日はありますか?」

返事が来て、リクさんはすぐにその場所を訪れました。

そこはサンカクシャが運営する若者の居場所「サンカクキチ」
テレビやゲームが置かれたスペースで、夜は無料の夕食がふるまわれる。

「来てくれてよかった!」
迎え入れてくれたスタッフと、今の状況について面談をしました。
スタッフは、何一つ否定をすることなく、ただただリクさんの話を頷いて聞いてくれました。

面談が終わると「ごはん食べていく?」

その言葉を聞いたとき、張り詰めていたものが、一気に崩れて涙があふれそうになりました。
けれどリクさんは、それを必死に堪えて、うなずきました。

この日食卓に並んだのは、彩り豊かなサラダと湯気の立つカレーライスでした。じっくりと煮込まれた豊かな香りがふわりと漂い、鼻をくすぐる。
ただ目の前の光景を、リクさんは信じられない思いで見つめていた。
最後に肉や野菜の入った温かい食事にありつけたのは、一体いつのことだっただろう。

しばらく呆然と眺めていましたが、意を決しておそるおそるスプーンを手に取りました。
カレーを一口運ぶと、久しぶりに味わう肉の確かな食感と、野菜の溶け込んだ優しい甘さが口いっぱいに広がる。そのじんわりとした温かさに、思わず胸が詰まりました。

「…美味しい?」 「……はい。すごく…」

かろうじて絞り出した声は、自分でも驚くほど震えていた。

「そっか、よかった。育ち盛りなんだから、遠慮せずたくさん食べてね。おかわり、いっぱいあるから」

その言葉に、ふと公園で過ごした日々の記憶が蘇る。ポケットの小銭をかき集めても、たった一つのパンすら買えなかったあの日の絶望。ただひたすらに、空腹に耐えた数日間。
 
忘れかけていた温かい味を噛みしめる。その一口ごとに、ずっと平気なふりで固めていた心が、じんわりと解かされていくようでした。
そして、張り詰めていた何かが、ついにプツリと切れた。堪えていた涙が溢れ出す。それは孤独や不安で冷え切っていた心を、じんわりと解かしていくような、温かい涙でした。

 

それからリクさんは、サンカクキチへ通うようになりました。
誰かと食卓を囲むこと。他愛ない会話を交わすこと。それが、空っぽだった心を満たしていくのを実感していました。

ここは、ただお腹を満たすだけの場所じゃない。凍えた心を解かしてくれる、自分の居場所なのだと、リクさんは思い始めていました。

その後、面談を重ねる中で、サンカクシャが運営するシェルターで暮らせることも決まりました。

「ここにいていいんだ」──そう思える場所ができたことは、リクさんにとって、大きな救いでした。
 

何より、温かいご飯とベッドがある。
「やっと、“普通の生活”ができる」
そんな当たり前のことが、どれだけありがたいものなのかを、身にしみて感じるようになったといいます。

 

「自分にもできるかも」──食事と住まいの安定が、人生を立て直す土台になった

サンカクシャとの出会いは、リクさんの暮らしと心に、少しずつ変化をもたらしました。

テレビやゲームがある「サンカクキチ」の空間は、誰にも気をつかわず過ごせる場所。
無料の夕食を食べながら、スタッフや他の若者と交わすたわいもない会話。

サンカクキチには、リクさんのように居場所のない若者たちが集まってきます。
 

最初は会話に入るのが怖かったけれど、ゲームをしたり、テレビを眺めたりするうちに、少しずつ笑えるようになっていきました。

食事と住まいが安定したことで、生活のリズムも少しずつ整っていきました。

「これからどうやって生活していこう」

そんなことを考える余裕も出てきた頃、サンカクキチでの面談の中で、スタッフさんがふとこう声をかけてくれました。
 

「リクくん、サンカククエストに参加してみる?今度コーヒー屋で仕事体験できる機会があるよ」

サンカククエストとは、働く自信がない15〜25歳ぐらいの若者が、周りと協力しながら仕事を体験して自信につなげる、サンカクシャが行っているプログラムです。
企業や個人から依頼された仕事をクエストと呼び、クリアすることで、若者は誰かの役に立つ喜びを感じながら、少しずつ成功体験を積んでいくことができます。
 

リクさんは、戸惑いました。
高校も中退し、まともに勉強もしていない。そんな自分が働くことはできるんだろうか。
「やめとく…」
「そっか。じゃあ、当日お客さんとして行ってみる?」

それなら自分にもできるかも。そう思ったリクさんは、当日お客さんとしてコーヒー屋へ足を運ぶことにしました。

最初はすぐに帰るつもりでした。でも、思いのほか居心地のいい空間に、つい長居をしている自分がいました。

それに、働いている他の若者の姿をみて「自分も、挑戦してみたい。変わりたい」
そんな想いが溢れてきたのです。
 

後日、今度はサンカククエストに体験者として参加したリクさん。

「本当にできるかなんて分かんないけど……」
「自分も社会で、“働けるかも”って思うことができた」
あの日、温かいごはんと「来てくれてよかった」という言葉に救われたリクさん。
少しずつ、自分のペースで「これからどう生きていくか」を、自分の言葉で考えられるようになってきています。

サンカクシャの「居場所」が、人生を変える小さなきっかけに

サンカクシャは、親や家庭に頼れない15〜25歳の若者の「居場所・住まい・仕事」を支えるNPO法人です。
 

運営する「サンカクキチ」は、テレビやゲーム、漫画もある、のんびりできる場所。
無料の夕食がふるまわれたり、大人との交流もできる、若者のための安心できる拠点です。
 

※画像はイメージで、エピソードとは関係ありません。

「ここは空気があたたかい」
「つらい人や困っている人に手をさしのべられる大人になりたい」

と語るのは、別の支援を受ける若者。
 

若者たちの声に応えたい──。
サンカクシャのもとには、連日多くの相談が届いていますが、そのすべてに対応するには人手も資金も足りていません。
 

サンカクシャのように、若者の「居場所・住まい・仕事」を支える団体は全国に数えるほどしかなく、地域によってはそもそも相談先がないエリアもあります。
また、制度のはざまにいる10代・20代の若者たちに支援を届けるには、行政の枠組みだけではカバーしきれないケースが多く、NPOによる草の根の支援が不可欠です。
 

しかし、NPOの多くは限られた人員と資源の中で、現場対応に追われているのが現実です。
若者の声を社会に届け、支援が「特別なこと」ではなく「当たり前」になるような仕組みづくりが求められています。
 

そこでサンカクシャは、目の前の若者を支えるだけでなく、支援の仕組みそのものをより良い形に変えることにも力を注いでいます。

※こども家庭庁に「親を頼れず孤立する若者支援に関わる提言」を提出

豊島区・東京都の若者支援に関する協議会等への参画、他団体とのネットワーク連携、こども家庭庁への提言などを通じて、社会全体で孤立する若者を支えられる未来を目指しています。

若者たちが「困ったとき、頼れる場所がある」と感じられるように──
そして、支援者側にも「つながり」と「継続できる環境」があるように──
サンカクシャは、社会全体で若者を支えられる未来を見据えて活動しています。
 

住まいだけじゃない。サンカクシャが届ける“包括的支援”

サンカクシャが手を差し伸べているのは、「親や家庭に頼れず、社会からも孤立しがちな若者たち」です。
支援の現場では、虐待・ネグレクト・家庭からの断絶・貧困など、複雑な背景を抱えた10代・20代の若者が少なくありません。
 

はじめは「住む場所がない」「所持金がない」「連絡手段がない」といった“緊急支援”から始まるケースもあります。
でも、実はその背景には、「安心できる人間関係がない」「誰にも頼れない」という“孤立”の問題が潜んでいます。
 

サンカクシャでは、そうした若者一人ひとりの状況にあわせて、以下のような支援を提供しています。

  1. 住まいの支援

    緊急的に保護が必要な若者には、シェルター型の住まいを提供。安定した環境で休養をとり、生活を立て直す土台をつくります。

  2. 居場所の提供

    誰にも気をつかわず過ごせる、フリースペース「サンカクキチ」では、テレビやゲーム、漫画などもあり、無料の夕食も提供。スタッフや地域の大人との関わりを通じて、“人を信じる力”を取り戻していくきっかけになります。

  3. 就労・チャレンジのサポート

    「働きたいけど、ブランクがある」「まずはやってみたい」──そんな若者に対しては、カフェ運営や動画編集など、挑戦できる就労体験プログラム「サンカククエスト」を用意。自信やスキルを少しずつ育てていきます。

  4. 個別伴走支援

    一人ひとりの背景や想いに向き合いながら、生活再建・進学・就職・メンタル面のケアまで、スタッフが継続的に伴走。必要に応じて支援機関や制度とも連携し、制度のはざまに落ちないよう支えています。

 

サンカクシャの支援は、「困っている若者を保護する」ことだけが目的ではありません。
「困ったときに頼っていいと思える関係性」を育み、「また一歩踏み出してみよう」と思えるように支える、“包括的支援”を大切にしています。
 

30秒で終わる「サンカクシャ」の活動に関するアンケートに答えて、無料でできる支援に参加しよう!


親や家庭に頼れず、「今夜寝る場所がない」「頼れる人が誰もいない」──
そんな状況に置かれた10代・20代の若者たちが、今この瞬間も社会の片隅で孤立しています。
 

でも、ひとりの大人との出会いや、安心して眠れる住まい、温かい食事、気軽に立ち寄れる居場所があれば──
“生きててよかった”と思える未来は、きっとつくることができる。
 

NPO法人サンカクシャは、困難な状況にある若者たちに対し、住まい・居場所・仕事・個別伴走支援などを通じて、社会との“つながり”を取り戻すサポートを行っています。
 

そして今、そんなサンカクシャの活動を“あなたの30秒”で応援することができます。
それは、サンカクシャの活動に関する3問のアンケートに答えるだけ。
 

今なら、30秒で終わる3問のアンケートに答えていただくだけで、10円の支援金をサンカクシャさんに届けることができます
 
支援にかかる費用は、サポーター企業であるgooddo(※)が負担するため、あなたには一切費用はかからず個人情報なども必要ありません!

※gooddo株式会社は、株式会社セプテーニ・ホールディングス(東京証券取引所 スタンダード市場)のグループ会社

 

▼「サンカクシャ」代表理事 荒井 佑介さんから頂いたメッセージ

サンカクシャは、家が居場所ではなく、安心できる場がない、そして頼れる人がいない若者と向き合ってきました。
 
こうした若者を支える活動はありますが、自立だとか、支援の費用対効果だとか、そうしたことが求められ、比較的手間や時間がかからない人は救われるものの、回復に時間がかかる若者や、働く手前のサポートが必要な若者、関わりが難しい若者がこれまで支援から取りこぼされてきました。
 
サンカクシャはそうした若者にこそ手を差し伸べたいと思っています。
 
回復するのに時間がかかる若者にとことん向き合い、一緒に悩み、たくさん失敗して、なんとか生き抜いていけるようなサポートをしたいと思っています。1人が自立していくことは相当な時間とたくさんの人のサポートや葛藤が必要です。

 
ここまで読んで頂きありがとうございました。
 
「親に頼れず孤立してしまう若者に何か手を差し伸べたい」
「困難を抱える若者のために何かしたい!」
「若者を支える現場の声をしっかり国に届けてほしい!」
 
このように思われた方は、ぜひアンケートに回答して無料支援に参加してみませんか?
 
あなたのご支援が、苦しんでいる若者の未来を変える力となります。
 

 

※情報提供:NPO法人サンカクシャ
※本エピソードは複数の事例をもとに再構成しております。
※画像は本文エピソードに出てくる本人とは関係ありません。