「私のような子は、どこに行っても“問題児”にされるんです」
そう語るのは、親や大人、どこにも頼れなかった経験を持つ、ハナさん(仮名・20代前半)。
家庭でも学校でも、大人たちに理解されることなく、「自分の感覚は、間違っているのかもしれない」と思い続けてきました。
そんな彼女が、ようやく“安心していられる場所”を見つけたのは、10代後半になってからのことでした。
「包丁を向けられる日常」。大人への信頼が崩れた原体験
幼い頃から、両親が激しい喧嘩を繰り返すのを見て育ったハナさん。
ただの言い争いではありません。ときには物が飛び交い、包丁が持ち出されるような修羅場もありました。
※画像はイメージで、エピソードとは関係ありません。
警察を呼ぶような事態になっても、「まあ、よくある夫婦喧嘩ですね」と軽くあしらわれるだけ。
助けを求めても、誰も本気では相手にしてくれない。
「大人って、見て見ぬふりをするんだ」
そんな感覚が、幼い心に刻まれていきました。
成長するにつれ、母親との衝突も増えていきました。
両親二人に馬鹿にされ、親と意見が食い違えば怒鳴られる。
家庭に味方はおらず、学校でも同級生とうまくいかず、教師に相談しようという発想すら浮かびませんでした。
ある日、母との取っ組み合いの末、首を絞められたハナさんは、警察に通報しました。
けれど、現行犯でないという理由で、今回も何もしてもらえませんでした。
「助けてって言っても、助けてくれないんだ──」
その瞬間から、「大人」への信頼は、崩れ落ちました。
「私の身体は、私のものじゃなかった」
高校生になる頃には、家にいることが限界になり、家出を繰り返すようになったハナさん。
けれど、頼れる場所なんてどこにもありませんでした。
頼れる場所もなく、ネットで知り合った大人の家を転々とする日々。
「泊めてあげる代わりに」と求められる行為を断れず、身体を預けるしかなかった夜。
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怖くて、嫌で、痛くて、でも逃げる場所がない。
ただ、何も考えずに、終わるのを待つしかありませんでした。
そのあとに来るのは、自己嫌悪と空虚さだけでした。
「私の身体も、感覚も、自分のものじゃない」
そう感じながらも、不安と孤独にすがってしまう自分が嫌で、そのたびに心も身体もすり減っていきました。
断れば怒鳴られたり、寒い夜に外へ追い出されることもありました。
帰る場所もないまま、真冬の公園で震えながら夜を明かしたこともあります。
本当は違うとわかっていても、不安と孤独から人に依存し、また傷つき、心も身体ももうボロボロになっていました。
「もうちょっと、人と話してみようかな」──そう思わせてくれた、“空気”
家も、人とのつながりも不安定な中で、「自分ひとりでどうにか生きていかなくちゃ」──そんな思いだけを支えに、ハナさんは必死に情報を探し続けました。
ある日、X(旧Twitter)でつながった人で、「夜の時間も開いてる居場所があるよ」と話してくれた人がいました。
何度もDM(1対1でやり取りするメッセージ)で相談に乗ってくれて、「自分もそこに通ってる」と。
その人が紹介してくれたのが、サンカクキチという若者のための居場所でした。
「行ってみようか」と迷うハナさんに、その人は実際にサンカクキチまで連れて行ってくれました。
ひとりでは踏み出せなかった場所に、誰かが寄り添ってくれた──それだけで、少しだけ心がほぐれたといいます。
数日後、初めての面談。
対応してくれた女性スタッフは、ハナさんの話をさえぎらず、最後まで聞いてくれました。
否定もせず、ただ「一緒に考えよう」と言ってくれました。
「話をちゃんと聞いてくれる人がいるんだ」
──それは、ハナさんが初めて体験した、“安心”の瞬間でした。
けれど、長年積み上げてきた不信感は、簡単には消えませんでした。
「無理だと思ったら、また別の場所に移ろう」
心のどこかでそう思いながら、慎重にサンカクシャとの関係を築いていきました。
通い始めたのは、若者の居場所「サンカクキチ」。
テレビやゲームが置かれたスペースで、夜は無料の夕食がふるまわれる。
スタッフや他の若者たちと、なんでもない話をして、少し笑って、黙っていてもいい──そんな空間。
「ここにいる時だけ、あの息苦しさが消える」
まるで“空気”のような、あたたかい雰囲気に触れる中で、ハナさんの心のバリアは少しずつ溶けていきました。
「努力が報われる感覚」──“安心できる空気”が、人生を立て直す土台になった
サンカクシャと出会ってから、ハナさんの生活には少しずつ変化が訪れました。
「サンカクキチ」と呼ばれる居場所では、黙っていてもいい、笑っていてもいい。
怒られない。見張られない。誰かの“評価”にさらされることのない、空気のような安心感がそこにはありました。
無料の夕食を食べながら、何気ない会話を交わす日々。
スタッフや他の若者との距離が、少しずつ、でも確実に縮まっていきました。
「ここにいるときだけ、息ができる感じがする」
ハナさんはそう語ります。
また、住まいのことで困っていることを相談して、サンカクシャのシェルターを利用できるようにもなりました。
※画像はイメージで、エピソードとは関係ありません。
誰のことも気にせずに、安心し過ごせる場所があることは、ハナさんにとっては願ってもない場所でした。
今までは、今日一日をどうやって凌げばよいのだろうかと思っていましたが、シェルターで、疲れた心と体を休ませながら、スタッフと一緒に、これからどのようにして生きていくか考えられるようになりました。
「努力しても意味ないって思ってた。でも、ちょっとずつ“やったことが形になる”って思えてきたんです」
“居場所”と“住まい”の安定が、壊れかけていた心を支える土台になったのです。
サンカクシャの「居場所」が、人生を変える小さなきっかけに
サンカクシャは、親や家庭に頼れない15〜25歳の若者の「居場所・住まい・仕事」を支えるNPO法人です。
運営する「サンカクキチ」は、テレビやゲーム、漫画もある、のんびりできる場所。
無料の夕食がふるまわれたり、大人との交流もできる、若者のための安心できる拠点です。
※画像はイメージで、エピソードとは関係ありません。
「ここは空気があたたかい」
「つらい人や困っている人に手をさしのべられる大人になりたい」
と語るのは、別の支援を受ける若者。
若者たちの声に応えたい──。
サンカクシャのもとには、連日多くの相談が届いていますが、そのすべてに対応するには人手も資金も足りていません。
サンカクシャのように、若者の「居場所・住まい・仕事」を支える団体は全国に数えるほどしかなく、地域によってはそもそも相談先がないエリアもあります。
また、制度のはざまにいる10代・20代の若者たちに支援を届けるには、行政の枠組みだけではカバーしきれないケースが多く、NPOによる草の根の支援が不可欠です。
しかし、NPOの多くは限られた人員と資源の中で、現場対応に追われているのが現実です。
若者の声を社会に届け、支援が「特別なこと」ではなく「当たり前」になるような仕組みづくりが求められています。
そこでサンカクシャは、目の前の若者を支えるだけでなく、支援の仕組みそのものをより良い形に変えることにも力を注いでいます。
※こども家庭庁に「親を頼れず孤立する若者支援に関わる提言」を提出
豊島区・東京都の若者支援に関する協議会等への参画、他団体とのネットワーク連携、こども家庭庁への提言などを通じて、社会全体で孤立する若者を支えられる未来を目指しています。
若者たちが「困ったとき、頼れる場所がある」と感じられるように──
そして、支援者側にも「つながり」と「継続できる環境」があるように──
サンカクシャは、社会全体で若者を支えられる未来を見据えて活動しています。
住まいだけじゃない。サンカクシャが届ける“包括的支援”
サンカクシャが手を差し伸べているのは、「親や家庭に頼れず、社会からも孤立しがちな若者たち」です。
支援の現場では、虐待・ネグレクト・家庭からの断絶・貧困など、複雑な背景を抱えた10代・20代の若者が少なくありません。
はじめは「住む場所がない」「所持金がない」「連絡手段がない」といった“緊急支援”から始まるケースもあります。
でも、実はその背景には、「安心できる人間関係がない」「誰にも頼れない」という“孤立”の問題が潜んでいます。
サンカクシャでは、そうした若者一人ひとりの状況にあわせて、以下のような支援を提供しています。
- 住まいの支援
緊急的に保護が必要な若者には、シェルター型の住まいを提供。安定した環境で休養をとり、生活を立て直す土台をつくります。
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居場所の提供
誰にも気をつかわず過ごせる、フリースペース「サンカクキチ」では、テレビやゲーム、漫画などもあり、無料の夕食も提供。スタッフや地域の大人との関わりを通じて、“人を信じる力”を取り戻していくきっかけになります。
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就労・チャレンジのサポート
「働きたいけど、ブランクがある」「まずはやってみたい」──そんな若者に対しては、カフェ運営や動画編集など、挑戦できる就労体験プログラム「サンカククエスト」を用意。自信やスキルを少しずつ育てていきます。
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個別伴走支援
一人ひとりの背景や想いに向き合いながら、生活再建・進学・就職・メンタル面のケアまで、スタッフが継続的に伴走。必要に応じて支援機関や制度とも連携し、制度のはざまに落ちないよう支えています。
サンカクシャの支援は、「困っている若者を保護する」ことだけが目的ではありません。
「困ったときに頼っていいと思える関係性」を育み、「また一歩踏み出してみよう」と思えるように支える、“包括的支援”を大切にしています。
30秒で終わる「サンカクシャ」の活動に関するアンケートに答えて、無料でできる支援に参加しよう!
親や家庭に頼れず、「今夜寝る場所がない」「頼れる人が誰もいない」──
そんな状況に置かれた10代・20代の若者たちが、今この瞬間も社会の片隅で孤立しています。
でも、ひとりの大人との出会いや、安心して眠れる住まい、温かい食事、気軽に立ち寄れる居場所があれば──
“生きててよかった”と思える未来は、きっとつくることができる。
NPO法人サンカクシャは、困難な状況にある若者たちに対し、住まい・居場所・仕事・個別伴走支援などを通じて、社会との“つながり”を取り戻すサポートを行っています。
そして今、そんなサンカクシャの活動を“あなたの30秒”で応援することができます。
それは、サンカクシャの活動に関する3問のアンケートに答えるだけ。
今なら、30秒で終わる3問のアンケートに答えていただくだけで、10円の支援金をサンカクシャさんに届けることができます。
支援にかかる費用は、サポーター企業であるgooddo(※)が負担するため、あなたには一切費用はかからず個人情報なども必要ありません!
※gooddo株式会社は、株式会社セプテーニ・ホールディングス(東京証券取引所 スタンダード市場)のグループ会社

サンカクシャは、家が居場所ではなく、安心できる場がない、そして頼れる人がいない若者と向き合ってきました。
こうした若者を支える活動はありますが、自立だとか、支援の費用対効果だとか、そうしたことが求められ、比較的手間や時間がかからない人は救われるものの、回復に時間がかかる若者や、働く手前のサポートが必要な若者、関わりが難しい若者がこれまで支援から取りこぼされてきました。
サンカクシャはそうした若者にこそ手を差し伸べたいと思っています。
回復するのに時間がかかる若者にとことん向き合い、一緒に悩み、たくさん失敗して、なんとか生き抜いていけるようなサポートをしたいと思っています。1人が自立していくことは相当な時間とたくさんの人のサポートや葛藤が必要です。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
「親に頼れず孤立してしまう若者に何か手を差し伸べたい」
「困難を抱える若者のために何かしたい!」
「若者を支える現場の声をしっかり国に届けてほしい!」
このように思われた方は、ぜひアンケートに回答して無料支援に参加してみませんか?
あなたのご支援が、苦しんでいる若者の未来を変える力となります。
※情報提供:NPO法人サンカクシャ
※本エピソードは、実際のエピソードをもとに再構成をしております