「頼れる人なんていない…一人で生きていかなきゃ」
児童養護施設で暮らすコウタさん(仮名)は、中学1年生で入所した時からずっと、そう思い続けてきました。
唯一の味方だと信じた母からの”仕打ち”
両親はコウタさんが3歳のときに離婚。それ以来、母親とのふたり暮らし。父親の記憶はありません。
母親は仕事を転々とし、家計が苦しくなるほどに精神も不安定になっていきました。些細なことで怒鳴られ、食事すら用意してもらえない日も珍しくありません。
「仕事が続かないのは全部お前のせいだ」
「アンタがいなければ私はもっと自由だったのに」

※画像はイメージです。
その言葉は、棘(とげ)のようにコウタさんの胸に突き刺さります。
「自分にはお母さんしかいない」「良い子でいなきゃ」。それだけを必死に考えていた小学生時代でした。
中学に上がる頃、家で母親の姿を見ることはほとんどなくなっていました。
母親は「仕事だから」と言っていましたが、実際は男の人のもとに通っていたことを、コウタさんはうすうす感じていました。
机にあるのは、わずか数百円の現金だけ。
近所のスーパーで買った菓子パンをひとりで食べ、洗濯も掃除も、すべて自分自身でこなす毎日。
成長期の中学生にとって、その食事はあまりに質素でした。常に空腹を抱え、家庭環境への後ろめたさから周囲ともうまく話せず、学校でも孤立していきました。
そんなコウタさんの様子に違和感を覚えたのは、担任の先生でした。
ある日、コウタさんが給食の時間が過ぎ、残りをこっそり持ち帰ろうとしていたところを見かけたのです。咎めるのではなく「お腹空いているの?」と尋ねました。
コウタさんは慌てて戻し「いえ、大丈夫です、すいません」と小さな声で答えるだけ。普段の様子にも心配していたこともあり、先生は後日、コウタさんにスクールカウンセラーとの面談を勧めました。
面談を繰り返す中で、コウタさんの家庭環境が明るみになり、学校が児童相談所へ相談、しばらくして施設への入所が決まりました。
それが中学1年生の冬。寒さが強まり始めた頃のことでした。
「家を出るとき、寂しさはなかった。むしろ、“ここから出られる”って思った」
「あたたかいご飯と居場所」──でも、何かが足りない日々

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お腹いっぱいのご飯を食べられること。
誰かの顔色をうかがわずに、眠れること。
元の生活との違い、知らない人たちとの暮らしで入所当初は戸惑うことも少なくありませんでしたが、少しずつ慣れ、温かな日常が心の中がじんわりと広がっていくようでした。
しかし、居場所ができても、人を心から信じることはできなかったコウタさん。
「また見捨てられるかもしれない」「期待すると傷つく」
これまでの13年間で深く突き刺さった棘は、簡単には抜けることはありません。
ある時、学校では、クラスメイトが家族との思い出を無邪気に語り合っていました。
そもそも、コウタさんには、家族と遊園地に行ったり、海に行った思い出がありません。
もう、思い出を作ることのできる「家族」はいません。
施設に帰れば職員さんが優しく出迎えてくれますが、コウタさんだけをどこかに連れて行ってくれるわけではありません。
教室の隅っこで気配を消しながら、コウタさんは「…僕には、やっぱり家族がいないんだな。僕にはそんな思い出を作ることもできなんだな…」と現実を突きつけられていました。
他の子どもたちが職員さんに甘えたり、いたずらをして怒られたりする姿を見ても、幼い頃に染みついた「良い子でいなきゃ」という呪縛が、本音を出すことを阻んでいたのです。
「高校を卒業したら、ひとりで生きていくんだ」 進学なんて考えず、頑なな気持ちのまま高校生になりました。
頼ってもいいのかもしれない…大学生との出会い

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そんな時、職員さんに紹介されたのが大学生のタクミさん(仮名)でした。
児童養護施設の子どもたちを支援するプロジェクト「ピースワラベ」のボランティアとして施設を訪れていた彼は、コウタさんが想像していた「大人」とは少し違いました。
「好きなゲームある?」「アイスは何味派?」
勉強や進路の話よりも、そんな他愛もない会話ばかり。
ゲームが好きだと話せば「じゃあ今やろう!」と、本当に隣で一緒に遊んでくれました。
コウタさんの言葉に、心から興味を持って耳を傾けてくれる。横並びで、自分と同じ方向を見てくれる。そのことが、何よりもうれしかったのです。
いつしか「タクミさんに早く会いたいな」と思うようになったコウタさん。「この人なら、頼っても大丈夫なのかもしれない」 と、誰かを信じたいと思えました。
コウタさんが見つけた夢

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いつものように、楽しい何気ない会話の中でタクミさんは、コウタさんの”将来”について話してくれました。
「就職するって言ってたけど、選択肢の中には“進学”もあることを忘れないで。どんな未来でも、自分が納得できる道を選んでほしい。君は、自分で選べるんだよ」
これまで将来のこと、やりたいことなんて考えたことすらありませんでした。
自分に選択肢があると思ったこともありません。
けれど、タクミさんと過ごした数ヶ月が、彼の中に新しい思いを芽生えさせていました。
数週間後、温めた思いをタクミさんに打ち明けたコウタさん。
「俺も、タクミさんみたいに…施設で暮らしてる子の力になれる人になりたい」
自分と同じように、忙しい職員さんに甘えられず、本音を隠している子がいるはず。自分がタクミさんに救われたように、今度は自分が誰かの救いになりたい。 誰にも頼れなかった少年が、出会いを通じて「夢」を見つけたのです。
「そうと決まれば、進学に切り替えだな!勉強、一緒にがんばろう!」
「うん!…あ、でも…」
将来の夢を語り目を輝かせていたコウタさんですが、タクミさんから視線を外しながら、小さな声で続けます。
「…進学するにも、お金が…俺家族いないし…」
施設で暮らすための金銭的な負担はありませんが、進学となると別です。
希望の光が消えてしまいそうなコウタさんに、タクミさんは明るい声で答えました。
「俺が今やってるピースワラベのボランティア大学生って、奨学金がもらえるんだよ。実際の活動を体験しながらできるなんて、良い環境じゃないかな。本気なら、学ぶことに遠慮なんていらないよ」
そんなタクミさんの力強い言葉を支えに、コウタさんは施設の子どもたちを支えるための進学を目指しています。
あなたの30秒が、子どもたちの未来を変えるきっかけに

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施設では衣食住は守られていても、職員の多忙さから、一人の子にじっくり寄り添い続けることが難しい現実があります。
ピースワラベは、大学生ボランティアや社会人メンターを派遣。学習支援だけでなく、コウタさんとタクミさんのような「家族でも先生でもない、本音で話せる味方」として孤独に寄り添います。
さらに、留学や体験活動を通じた「社会との接点」を提供し、子どもたちが「自分で人生を選び取れる」ようになるまで、粘り強く伴走を続けています。
今なら3問のアンケートに答えるだけで、10円の支援金がピースワラベに届けられます。 支援にかかる費用はサポーター企業(gooddo株式会社)が負担するため、あなたに費用は一切かかりません。
「施設で暮らす子どもたちにも未来を選んで欲しい」
「信頼できる大人との出会いを届けたい」
そんな思いを、30秒のアンケートに託してみませんか?
※本エピソードは複数の事例をもとに再構成しております。