「犬の殺処分ゼロ」を目指し、保護犬のトレーニングおよび譲渡活動を行うピースワンコ・ジャパン。
かつて全国で最多の殺処分数だった広島県において、2016年に「殺処分ゼロ(※1)」を実現し、現在も県内では殺処分機が稼働していない状態を築き上げました。
今回は、ピースワンコ・ジャパンのプロジェクトリーダー 安倍誠さんに、どのようにして広島県で殺処分ゼロを実現したのか、またピースワンコ・ジャパンへの寄付方法のひとつである「ふるさと納税」について話を伺いました。
※1: ピースワンコ・ジャパンの『殺処分ゼロ』とは、動物愛護センターに持ち込まれる犬のうち、安楽死や病死以外の殺処分をなくすことです。
【安倍 誠】ピースワンコ・ジャパン プロジェクトリーダー。大学卒業後、食品製造販売会社を経て、故郷の北海道で乗馬インストラクター、競走馬の育成繁殖業務に従事。2013年にピースワンコ・ジャパンの活動に共感し、入職。
「殺処分ゼロ」を実現するために入職
〈聞き手=工藤まおり(gooddoマガジン編集部)〉
「殺処分ゼロ」を実現するために、ピースワンコジャパンで精力的に活動している安倍さんですが、元々は会社員として働いていたんですね。
はい、大学卒業後は東京で会社員として働いていました。ただ、私自身、北海道の本当に自然しかないような環境で生まれ育ってきたこともあり、身近な存在だった動物に関わっていたいという思いが強くあったんですね。そこで、Uターンして乗馬インストラクターや競走馬の育成牧場で働くことになったんです。
ある時、競走馬の一頭に疾患が見つかったんです。その馬は私が生まれたころから可愛がっている子だったんですが…いろいろな事情もあり会社の方針で「殺処分」の決定が下りました。私はその方針に従うしかなく、どうすることもできませんでした。
その時の無力感から“馬の殺処分をなくしたい”という思いが芽生えたのですが、馬の世界は本当に複雑で私ひとりの力では難しいと感じました。 そこで、まずは日本人にとって身近な動物である犬や猫の殺処分問題から解決して、その流れから馬の殺処分問題に応用できないだろうかと思い、いろいろな団体でボランティア活動をしている時に、本気で殺処分ゼロを目指しているピースワンコ・ジャパンに出会い入職しました。
動物の殺処分問題に向き合い始めた頃の安倍さん
2016年に広島県で「殺処分ゼロ」を実現
「殺処分ゼロ」と言っても、魔法のような方法はないんです。
動物愛護センターなどで殺処分対象となっている犬たちを引き出し、ピースワンコのシェルターで健康管理や人馴れ訓練を行い、里親さんにつなげる…そんな現場の業務をひとつひとつ地道にやっていく、それだけの積み重ねです。
ピースワンコ・ジャパンのシェルター
累計、8000頭以上保護してきました。
特に2016年からの3年間は、動物愛護センターで殺処分になる犬の数が多く、毎月100頭から200頭を保護して、一時期最大収容頭数は3000頭近くでした。
流石にその時は譲渡が追いつかない状況だったので、支援者様からいただいた資金で、シェルターを増設して、またそれと同時に譲渡センターを全国に増やしていきました。
今は譲渡センターが全国9店舗、それにプラスしてシェルターでも譲渡活動を行って、現在はようやく保護する犬の数よりも、譲渡される数が上回り、シェルターで保護している犬の数も減ってきました。
全国的に譲渡センターを増やせたというのも大きいですが、もうひとつの理由として、日本全体で保護犬に対する意識が浸透してきたというのも大きいと思います。10年前は犬を迎える選択肢はペットショップしかなかったと思いますが、ようやく保護犬という選択肢があるということを知っていただくようになりました。
安倍さん自身もSNSで保護犬について発信をしている
支援者さんも殺処分ゼロを本気で目指す仲間
もちろんありました。保護犬の数が突然増えた2016年は、動物愛護センターの衛生環境の問題で、保護する犬が全て感染症にかかっている状態でした。その時は特に大変でしたね…。
でもどんなことがあっても、私たちは“犬目線で犬を助けて幸せにする”という気持ちは変わることなく、その都度最善策を行って何とか乗り越えてきました。
ずっと活動を続けていく中で、当初から変わらない「殺処分をなくしたい」という私たちの想いに共感してくださる方々に支えていただいています。
はい。私も元々、民間の会社に勤めながらボランティア活動していたという過去もあるので、立場が違うだけで支援者さんも殺処分ゼロを本気で目指す仲間だと思っています。
でも、日本全国ではまだ年間の殺処分が、2434頭(2024年12月現在・環境省)。全国殺処分ゼロを本気で目指していきたいと思っているので、まだまだこれからです。
本気で全国で「殺処分ゼロ」を達成するためにも、殺処分頭数の半数以上を占めている四国と九州に力を入れて活動をしていきます。今年は福岡県にも拠点を開設しています。
ピースワンコ・ジャパン 福岡譲渡センター
ふるさと納税での寄付のおかげで活動できる
保護犬の飼育に関わるものだけでも年間10億円以上の資金が必要です。
高齢犬や持病のある犬は、なかなか譲渡につながりにくいのも現実としてあります。その場合には、施設で私たちが家族となって愛情を持って寄り添い最期まで看取っていますが、医療器材や治療費など一頭数十万円以上もの費用が必要となります。
現段階では保護犬に関する公的な助成金や補助金が一切ないんです。なので、ピースワンコ・ジャパンは寄付だけで成り立っている状況です。
毎月ご寄付いただける「ワンダフルサポーター」という仕組みと、「ふるさと納税」という仕組みの2つがあります。
実は、ピースワンコ・ジャパンの資金の半分はふるさと納税で全国からご支援いただいてるんです。
ふるさと納税は広島県神石高原町への納税という形になりますので、神石高原町の特産品をお楽しみいただきながら、ピースワンコジャパンへの寄付を選択し、ご支援いただける形になっています。
支援者さんの約半数が返礼品不要にされてるのですが、返礼品不要の中でも「ワンコにフードプレゼント」という、お礼としてフードを食べてる保護犬の写真やお礼をお送りするものがあります。
あとは、水餃子、こんにゃく、コーヒー、お米も美味しいと人気なので、ぜひ受け取っていただけたらと思います。
もちろん返礼品不要でもありがたいのですが、ピースワンコ・ジャパンは神石高原町でのお付き合いが長いですし、活動自体助け合っている部分も多いので、ぜひ返礼品も楽しんでいただけると嬉しいです。
2023年8月に広島県の動物愛護センターがリニューアルしたのですが、殺処分機がない施設に変わっていました。私たちの取り組みにより、自治体側も殺処分機は必要ないという認識にたどり着けたのだと思います。これは10年以上活動してきて、支援者様と共に歩んだ実績のひとつだと思います。
そうですね。私達がなくなってしまったら殺処分がはじまってしまう可能性も高いですが、今では行き場のない保護犬がいた場合は行政(動物愛護センター)から我々にすぐに連絡をしてくだるような関係性も築けていますし、動物愛護センター内で譲渡活動を開始してくださったりもして、自治体や地域自体も変わってきている気がします。
年末の冬にかけて、神石高原町も結構冷え込むので暖房や病気で闘ってる犬の医療ケアに緊張が走ります。
神石高原町で過ごす保護犬にとって、冬を乗り越えることがとても大切になってくるので、もし神石高原町や、ピースワンコ・ジャパンの活動の想いに共感してくださった方は、年度末のご支援として、ふるさと納税という方法でご協力いただけたら大変ありがたいと思います!
安倍さん、ありがとうございました!
ピースワンコ・ジャパンの「殺処分ゼロを目指す」という想いに共感した方は、今年のふるさと納税の選択肢の一つとして神石高原町やピースワンコ・ジャパンへの寄付を考えてみてはいかがでしょうか。
「殺処分ゼロ」を本気で目指すピースワンコ・ジャパンとは?
けいこさんがふるさと納税で寄付をしたピースワンコ・ジャパンは全国の犬の殺処分ゼロを目指し活動しています。
かつて殺処分数が全国で一番多かった広島県ですが、2016年以来2024年現在まで一度も殺処分機は稼働していません。
『ドリームボックス』と呼ばれる殺処分機ですが、冷たい鉄製の箱にゆっくりと二酸化炭素ガスを注入され、恐怖と苦しみのなか窒息して死んでいくため、苦しんだ爪あとが無数に残っています。
動物たちの苦しみだけではありません。対応する職員たちにとってもその精神的負担は計り知れないものです。
ピースワンコ・ジャパンは2016年から「全頭引き取り」という前例のない取り組みを開始。
広島県は捨て犬だけでなく野犬が多い地域ということもあり、動物愛護センターに保護されたあと、人馴れをしないといった理由から殺処分の対象となってしまう犬が多くいました。
ピースワンコ・ジャパンは「どんなワンコも命の選別をしない」という強い決意のもと活動しています。
引き取った犬たちは、まずは獣医師の元で健康管理を行います。ケガや病気があれば適切な治療を施します。
そしてスタッフたちは愛情を込めて犬たちのお世話、人馴れ訓練を行い、譲渡センターにて新しい里親さんとの出会いにつなげます。
「これまで人に馴れなかったワンコはいません。技術よりなにより愛情をただ注いでいく、それだけです」
ピースワンコ・ジャパンのプロジェクトリーダーである安倍誠さんは力強く話します。
施設の拡充、譲渡センターの全国展開(現在9箇所)、殺処分の実態や保護犬を飼うという選択肢についても発信し続けてきたピースワンコ・ジャパン。
これまでに8500頭の犬の命を救い、新しい里親さんや元の飼い主さんにつなげた犬は4600頭を超えました。
持病やケガなどを抱え、譲渡が難しい犬の場合にはピースワンコ・ジャパンのスタッフたちが家族となって最期まで寄り添い続けています。
それでも、今現在も年間2,434頭もの犬が殺処分によってその命を奪われています。
ふるさと納税が「殺処分ゼロ」への大きな後押しに!
※ピースワンコ・ジャパンのシェルターにて
広島県では、2023年に新しい動物愛護センターができましたが、殺処分機自体が設置されませんでした。
これは行政や地域の方々が「殺処分ではなく、命をつなげていこう」という意識の変革の表れだと言えるでしょう。
しかし、ピースワンコ・ジャパンがその足を止めてしまえば、殺処分はまた行われてしまいます。
そして、殺処分ゼロを本気で達成するため、現在の殺処分数の半数以上を占めている四国と九州にて引き取り活動を開始しています。
譲渡につなげやすいよう、2024年福岡県に譲渡センターも開設しました。
施設の維持や譲渡センターの開設、犬たちのエサ代や治療費等、飼育に関るものだけでも10億円以上の膨大な費用が必要となります。
ピースワンコ・ジャパンでは公的な助成金はないため、その活動費は寄付によって成り立っています。
「ニュースで殺処分の現実を知って、なんとかしたいと思った」
「環境で飼うことができない代わりに何かできないか」
そんな風に思っていらっしゃる方も少なくないでしょう。
そんな想いを受けて、実際に目の前にいる犬に向き合い活動しているのがピースワンコ・ジャパンです。
ふるさと納税の目標金額は「400,000,000円」です。
2024年12月16日現在、183,768,583円と目標の半分ほどご寄付をいただいています。
安倍誠さん
「ふるさと納税でたくさんのご支援をいただき、本当に感謝しています。ご支援をいただいた方も、直接犬と触れ合う私たちと同じ“犬を幸せにしたいと思う仲間”だと思っています。ふるさと納税では、返礼品なしでご寄付いただく方も多いのですが、広島県神石高原町のいろいろな特産品があり本当にすてきなものばかりですので、ぜひ返礼品でも楽しんでいただきたいです」
一頭でも多くの命を救い、一頭それぞれを幸せにしていくため、「ふるさと納税」という形でピースワンコ・ジャパンを応援していただけないでしょうか?
あなたのその勇気ある一歩が、殺処分から犬たちを救います。