日本では7人に1人。「貧困」が理由で勉強を諦める子どもたちがいる現実。

日本はアメリカ、中国に次ぐ世界第3位の経済大国です。

しかし、厚生労働省の2015年国民生活基礎調査、7人に1人の子どもが貧困状態にあり、母と子の世帯では半数以上(50.8%)が貧困にあえいでいるのです。

これは先進国の中で最悪の数字です。

貧困が子どもへ及ぼす影響は大きく、例えば家計が苦しいために塾や習い事へ通うができず、他の同級生と学力の差が生まれてしまうこともあります。

また学費の支払いが困難なために高校や大学への進学を諦め、就職する道を選ぶ人も少なくありません。

貧困は勉強の機会を奪うだけでなく、子どもの人生をも変えてしまうほど大きな問題であり、世代を超えて連鎖するためなかなか断ち切れません。

そうした問題を解決するために子どもの教育支援を行っているLearning for All 。代表である李さんの過去の生い立ちや経験が今の活動に活きています。

着替えは週に1回。虫歯の治療も受けられず、生活が乱れているみずきちゃん9歳


※本文と写真の子どもは関係ありません。

「東京都に暮らす小学3年生のみずきちゃん」のエピソードをご紹介します。

みずきちゃんの父親はほとんど家に帰ってきませんでした。また、母親は軽度な知的障害があり、みずきちゃんの成長とともに、養育する力が不足するようになってしまったのです。

その結果、基本的な生活習慣を身につけることが難しい環境にいたみずきちゃんは、さまざまな問題を抱えていました。

まず、1週間同じ服を着て過ごしており、下着や靴下はひどく汚れていました。お風呂に入る習慣もないので、髪の毛もクシが通らない状態です。きちんとした食事をとれるのは学校の給食だけ。そのため、学校のない夏休みには体重が減ってしまいます

また、家には時計が無いので時間を見ながら過ごす習慣がありません。なので、朝決まった時間に起きて学校に行くということができないのです。登校してこないみずきちゃんを先生が迎えにいくと、いつもベッドではなくカーペットの上で寝ています。

さらに、虫歯が3本もあり、学校から歯医者に行くよう通知を受けていますが、歯医者に連れて行ってもらうことができていませんでした。

※本文でエピソードを紹介した、子どもたちの名前は仮名です

みずきちゃんが出会った『居場所拠点』

ある日、そんなみずきちゃんの家のポストに、ある案内が届きました。それは、NPO法人が運営する無料で通える『居場所拠点』の案内でした。

生活習慣が乱れており、さらに人とのコミュニケーションが苦手なみずきちゃんには不安もありましたが、お母さんとの話し合いの末みずきちゃんはその居場所拠点へ行ってみることにしました

居場所拠点には、自分と似たような環境で育ち、困難な生活を送っている子どもがたくさん居ました。最初は緊張していたみずきちゃんでしたが、他の子どもたちやNPOスタッフやボランティアのお兄さん、お姉さんと次第に打ち解け、積極的におしゃべりするようになったと言います。

そこでは、他の子どもと目一杯遊んだり、栄養バランスのとれた温かいごはんを食べたり、歯を磨いたり、勉強をしたり…。

居場所拠点は、子どもたちが将来、自立して生きるために必要な”当たり前”のことが自然に身につく、みずきちゃんにとって「安心できる居場所」でした。

「居場所拠点」にやってくる子どもたちの現実

「歯磨きや入浴など基礎的な生活習慣が身についていない」

「感情のコントロールをすることが難しく、嫌なことがあると、友達を叩いたり、かんしゃくを起こしてしまう」

「経済的に塾に行く余裕がなく、学習が遅れている・・」

「Learning for All 」にやってくる子どもたちは、虐待を受けたり、不適切な養育環境に置かれている子も少なくありません。

そのため、心地よい環境で適切なケアを受ける、基本的な生活習慣を身につける、めいっぱい遊ぶ、といった子どもたちとって「当たり前」の機会が得られていません。

こうした状況では心身を成長させることができず、学習以前の段階でさまざまな課題を抱えてしまっています。

不安なことやしんどいことを相談する相手もおらず、自分を支えてくれる友人とのつながりもないため、孤立してしまっているのも容易に想像できます。

居場所拠点の活動内容とは?

「居場所拠点」では、以下のような活動をしています。

①平日週5回、14時〜20時に、小1〜小3の子どもたちを迎える
②遊びや宿題など、子どものやりたいことを実現するために一緒に考え、サポート
③手洗い・うがいや歯磨きといった/基礎的な生活基盤を身につける支援
④スタッフや他の子どもたちと一緒に夕食を食べる
⑤親身になって子どもや、保護者の話を聞いてくれるスタッフとボランティアがいる

こうした安心できる居場所の中で、個別の子どもの課題や強みに合わせた、また保護者や世帯の状況に合わせた個別の支援計画をもとに、一人ひとりに寄り添った支援を行なっているそうです。

拠点に居る時間だけではなく、家庭に居る時間にも目を向けた支援を行っているとのこと。

支援計画ではそれぞれの子どもが抱える背景にも踏み込み、生活全体の課題が解決されるように取り組んでいるそうです。

保護者との日々のコミュニケーションを通じて信頼関係を築き、家庭も含めた総合的なサポートを行なっています。

最後に、支援を受けた子どもたちからのメッセージをご紹介します!(※)

●小学3年生 ちふみちゃん
家だと1人で夕食をたべなきゃいけなかったけど、ここに来ると友達と一緒に食べられてうれしい!
●中学3年生 かつやくん
LFAの活動に出会わなかったら、受検の第一志望は違う高校だった。先生たちがこんなに熱心に関わってくれるのに、自分が頑張らなくてどうするんだ!と思った。
●小学2年生 ゆうやくん
外でたくさん遊べて楽しい!宿題も手伝ってくれるから、学校の勉強もわかるようになってきた!

私たちの小さな積み重ねが確かに子どもの笑顔に、子どもたちの未来につながります。

Learning for Allは、本当に信頼できる寄付先なのか?

 
最後に、「Learning for All」が寄付先として信頼できるか不安、、、という方もいらっしゃると思いますので、寄付アドバイザーの河合さんの視点で「Learning for All」の注目ポイントを解説してもらいました。
 

寄付アドバイザー :河合将生(まさお)さん
NPO組織基盤強化コンサルタント office musubime代表/関西チャプター共同代表・准認定ファンドレイザー
寄り添って伴走する第三者として、各団体(NPOなど)の支援に取り組んでいます。

 
Learning for All

Learning for Allは、さまざまな理由で生きづらさを抱える子どもたちに学習支援、居場所提供、食事提供などを行いながら、保護者たちのサポートも行っています。さらに、支援のノウハウを展開したり、ノウハウを共有するしくみを構築しています。

今まで、延べ6000人以上の子どもを支援、延べ2000人以上のボランティアが参加した実績を持ちます。自治体との連携は10か所です。

Learning for Allは、メディア取材や表彰歴が多数あり、さらに、多くの企業からの支援や協賛も受けています。

活動を通じて「すべての子どもが自分の可能性を信じ、自分の力で人生を切り拓くことのできる社会」の実現に貢献しています。

寄付アドバイザーが見た注目ポイント!

  1. 困難を抱えた子どもたちへの包括的支援、人材育成、普及啓発・アドボカシーの活動に特徴
  2. 寄付金でできることのわかりやすさ「月1,000円で一人の子どもに1時間分の勉強」「月3,000円で1日分」「月10,000円で高校進学」など
  3. 企業、自治体など子どもの貧困を本質的に解決するためのパートナー、学生ボランティアを経験したOB・OGのアラムナイ(同窓会)といったコミュニティの存在

 
『Learning for All』は寄付アドバイザーからも、信頼できるおすすめの団体のようです。
 
寄付を迷っている方は、この機会に支援をはじめてみるのもよいのではないでしょうか。

支援についてのよくある疑問

支援について寄せられるよくある質問をまとめてみました。

Q1:なぜ支援が必要なの?

寄付などの支援は、よりよい社会や困っている人の支援につながります。子どもの貧困や災害、世界の格差など多くの社会問題は、国や行政だけでは解決することは困難です。私たち一人ひとりが、自分事として考え、寄付することによってより良い社会になります。
またこのような社会問題は、明日明後日に解決することはありません。問題解決に取り組む団体は、長期的に事業を作ること必要になってきます。そのため継続寄付のように、長期的に安定したサポートがあることが解決のために大切です。

Q2:支援をする人はなんでするの?

寄付などの支援をする人にはさまざまな理由があります。困っている人を助けたいという人や社会や誰かのためという人、過去に自分も困っていたから恩返ししたいという人もいます。どんなきっかけや理由でも、困っている人の支援になれるのが寄付の魅力です。
 

 

情報提供:特定非営利活動法人 Learning for All
※子どもたちのプライバシーを守るため、実際にLerning for Allが接している子どもたちの事例から、一部内容を変えて掲載しています。
※記事中で使用されている写真はイメージ画像です。