「普通じゃなくなるんだ…」と感じたあの日の孤独を、「ひとりじゃない」に変える力


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真っ暗な部屋で、ひよりさん(仮名)は布団の中にうずくまっていました。
冷蔵庫の中は空っぽで、財布には小銭しか残っていません。

「…お腹、すいたなぁ…」
そうつぶやいた小さな声は、アパートの薄い壁の向こう側にある道路を走るトラックの音にかき消されていきました。

18歳で児童養護施設を出てから2回目の冬。
部屋にはエアコンはありません。
電気代がもったいないから夜は暗いまま過ごします。

16時を過ぎても、この日はまだ水道水しか口にしていませんでした。

「普通じゃなくなるんだ…」と感じた日


ひよりさんが児童養護施設に入ったのは、中学1年生の時。
家庭には、ひよりさんの居場所がどこにもありませんでした。

大人たちの話し合いの声を耳にしながら、自分のことなのになんだか他人事に感じられました。
施設に行けば、温かいご飯が食べられて安心して朝まで眠ることができる。
「今よりはマシなのかもしれない」とだけ、ぼんやりと考えていました。

そして、入所が決まったとき、ひよりさんは小さくつぶやきました。
「もうこれからは、普通じゃなくなるんだ」

親と暮らすことが「普通」。家に帰れば夕飯があって、相談できる人がいるのが「普通」。
みんながいう、「普通」が自分の中からすべて消えてなくなったような気がしたのです。

散らかった部屋の中で


ひよりさんの部屋には、片付けられないゴミや湿気で黒ずんだカビが広がっていました。

「掃除しなきゃ」と思っても、体が動きません。
人への不信感からアルバイト先にもうまくなじめず、家に帰るころには疲れ切っていました。少しずつ貯金もしていますが、今後一人で生活を続けていけるのか不安で、気持ちも前向きになりません。

「大丈夫?」
「早くご飯を食べたら?」

と、施設にいたときのように気にかけてくれる人もいません。今のひよりさんは、息をするだけで精一杯で、部屋を整える力は残っていなかったのです。

暗い部屋の中でスマホの光がまぶしく感じられます。
ひよりさんのスマホにはたった2つの電話番号が登録されていました。

一つは児童養護施設の番号。
もう一つは、「卒業後困ったら連絡しなさいね」と施設の職員さんに教えてもらった「アフターケア団体」の番号でした。

どちらに電話するかしばらく迷った末、「施設はいまから夕飯で忙しいよね…」と思い、アフターケア団体の番号に電話をかけました。

電話口の声は、想像していたよりもずっと明るいものでした。
自分の名前、施設の名前、今困っていることを、たどたどしくも伝えると…

「ひよりさん、〇〇の卒業生なんですね!うちにもそこの先輩が来ていますよ」
名前を誰かに呼ばれるだけで、心がすっと軽くなるような気がしました。
同じ施設出身の人も、こうやって頼ってるんだ…と肩の力が抜けていくようでした。

しばらく話をしたあと、アフターケア団体のスタッフさんである山本さん(仮名)が自宅を訪問してくれることになりました。
咄嗟に「部屋を片づけなきゃ」と頭によぎりましたが、やっぱり体が思うように動かず手が止まってしまいます。

自宅を訪れた山本さんは、部屋の散らかり具合を見ても驚いた様子はありません。
「ひよりさん、お腹すいているよね?今コンビニでご飯買ってきたから一緒に夕飯食べない?」と言ってお弁当を差し出してくれました。

しかも、コンビニで温めてきてくれていました。
温かいご飯を口に含むと、胸がいっぱいになります。

散らかった部屋も、ご飯をなかなか食べられないことも、頼る家族もいないことも、児童養護施設出身だということも、山本さんはひよりさんをそのまま受けとめてくれました。
そのことが何よりもうれしかったのです。

ひとりじゃないと気づいたから


その日をきっかけに、定期的に山本さんに会ったり、アフターケア団体の運営する居場所に顔を出すようになりました。

居場所では週3日ほど無料で夕飯を食べることができたので、ひよりさんは必ず利用していました。お腹が満たされる日が増えると、自然と気持ちも上向きになっていきます。

節約しなければならないことが多い中でも、食事はできるだけ摂るように心がけています。それでも家でひとりきりで食べるよりも、居場所で誰かと食べることが何よりもごちそうだと感じています。

部屋は今も相変わらず散らかっていますが、山本さんが来てくれる日に一緒に片づけをしてくれるようになりました。
カビだらけだったお風呂場も、専用の洗剤を買ってきてくれ、掃除の仕方を教わりました。

「あれ?換気扇回ってないね」
山本さんに言われて、実はひよりさんは換気扇を回さないといけないということに初めて気づきました。

児童養護施設では職員さんがいろいろやってくれていたんだなと思い「自分は何も知らない」と落ち込むこともありましたが、そのたびに山本さんは「いいのいいの!知らなかったら教えてもらえばいいだけのことだから!」と励ましてくれました。

居場所ではやはり自分と同じような境遇の人たちがいて、大変な話を聞くと「自分だけじゃないんだ」と思えました。
正社員を目指し就職活動をしているという人もいて、いつかは自分も目指せるだろうかと思えるようにまでなりました。

「自分なんて…」と自分に自信をもてずにいたひよりさん。

今もまだ生活は整っていると言える状況ではありませんが、
それでも、その暮らしの中に、そっと差し伸べられる手があることを知ってひよりさんは少しずつ前を向くことができています。

社会が「普通」という物差しで測り続ける限り、ひよりさんのような若者は生きづらさを抱えてしまいます。
けれど、そのまなざしが温かいものに変わったなら──。

彼らは「普通じゃなくなる」のではなく、「ひとりじゃなくなる」のかもしれません。

※本エピソードは、個人の特定を防ぐため実際の事例を複数参考に再構成しています。

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