「産みたい」…誰にも頼れなかった19歳の彼女が、赤ちゃんを抱きしめるまで


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「もう、誰を信じていいのかわからない」

アパートの冷たい床の上で、19歳になったばかりのひとみさん(仮名)は声を殺して泣いていました。

部屋を借りたとき、光熱費を抑えるためにエアコンはまだ置いていませんでした。
寒さが厳しくなってきましたが、暖房もつけられない部屋で、お腹の奥に宿った小さな命の気配だけがやけに生々しく感じられました。

父の怒鳴り声が響く家から母と二人で逃げ出した幼少期。

家での食事は日によって違っていて、給食の時間が一番ほっとできることもよくあり、母がどれだけ無理をしているかを感じていたからこそ、ひとみさんはいつも母の表情をそっと探りながら過ごしていました。

小学4年生の時、その母が病気で倒れ、児童養護施設に入所することになったのです。
施設での生活は温かく、安全でした。

それでも、心の奥底に染み付いた孤独感や人を信じきれない不安は、18歳で施設を退所して社会に出た後も彼女の心に影を落としていました。
アルバイトでなんとか生計を立てる日々。

そんな中で出会った恋人は、初めて彼女のすべてを受け入れてくれました。
「気にしないよ」—その一言がどれほど嬉しかったことでしょう。

しかし、幸せは長く続きませんでした。

妊娠がわかった途端、彼は音信不通になりました。いつも会っていたのは彼女のアパート。彼がどこに住んでいるのかさえ知りませんでした。

貯金はない。病院に行くお金もない。

「どこに頼っていいのかわからない・・・」
「相談に行っても、どう伝えたらいいんだろう・・・」

お腹が大きくなるにつれ、不安だけが膨らんでいく。

「どうしたい?」と、静かに聞いてくれた人


途方に暮れていた、そんな時。
スマートフォンの画面に懐かしい名前が光った。

「河合さん(仮名)…」

施設にいた頃に出会って、施設を出てからも気にかけてくれていたアフターケア団体のスタッフです。

久しぶりに自宅を訪問してくれた河合さんは、ひとみさんの真っ青な顔を見てすべてを察したようでした。
堰を切ったように溢れ出す、これまでのこと。裏切られたこと、お金がないこと、そしてどうしようもなく怖いこと。

河合さんは、ただじっとそのすべてを受け止めていました。

ひとみさんが泣き止むのを待って、河合さんは「解決策」を提案しませんでした。
無理に「頑張れ」とも言いませんでした。

彼女は、ひとみさんの目をまっすぐ見て静かに尋ねました。

「…ひとみちゃんは、今、どうしたい?」
それは、一人の人間としてその尊厳と意思を尊重する問いでした。

「どうしたい」—。
流されるまま生きてきた彼女が、ゆっくりと、自分の心の中にある思いを手繰り寄せるように、言葉を紡ぎだしました。

「……わかんない。でも、赤ちゃん、産みたい」

その声はか細かったですが、彼女の「精一杯の」決意が込められているようでした。
言葉を受けた河合さんは小さくうなずくと、返事の代わりにそっとひとみさんの背中を優しくさすりました。

河合さんの姿勢が、ひとみさんの「自分で選ぶ力」をそっと引き出した瞬間でした。

その後、ひとみさんは河合さんと一緒に必要な手続きなど赤ちゃんを迎えるための準備を進めていきました。

命の誕生と、温かい涙


出産の日。

陣痛の波が押し寄せるたび、ひとみさんは病院のベッドの上で「もう無理、怖い」と呟いていました。
その手を、河合さんは固く、固く握りしめています。
「大丈夫、大丈夫だよ。」

どれくらいの時間が経ったでしょうか。元気な産声が、分娩室に響き渡ります。
無事に出産を終えたひとみさんを待っていたのは、涙を浮かべた河合さんでした。

いつも冷静な彼女が、声を震わせながら言いました。
「……がんばったね、ひとみちゃん。本当におめでとう」
その言葉に、ひとみさんは涙を流しました。

でも、それはアパートの冷たい床で流した孤独な涙とは違いました。
「ありがとう」
「ありがとう」

何度も繰り返すその言葉は、目の前の河合さんと腕の中にいる小さな命の温もりに向けられていました。

ひとみさんの未来も、見守り続ける


ひとみさんと赤ちゃんにとっても、
そして河合さんにとっても出産はゴールではなくスタートです。

河合さんは、少しでも安心してふたりが過ごせるよう、母子生活における支援の手続きや保健士との調整、面談なども、ひとみさんが主体となるよう配慮しながらサポートをしました。

ひとみさんも、頼れる部分は頼りながらも、「この子のために頑張ろう」という気持ちを持ち、前向きに子育てをしています。

今、あなたが読んでくださった、ひとみさんの物語。
これは決して、遠いどこかの特別な話ではありません。

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認定NPO法人かものはしプロジェクトは、このような若者たちを支える「アフターケア団体」を支援しています。 アフターケア団体が資金集めなどに奔走することなく、現場での若者たちのケアに集中できるよう、ネットワーク作りや政策提言など、いわば「縁の下の力持ち」として活動しています。 彼らが目指すのは、子どもたちが「生まれてきて良かった」と思える社会です。

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