中学生の終わりごろから環境問題に関心を持ち始め、様々な世界の社会課題に目を向けるようになった今井紀明さん。
「自分と同じ年頃の子どもたちが、学校へ通うこともできずに働いている。こんな不条理な状況を変えたい。」
そう思った今井さんは、ボランティアに参加したり、情報を集め調べたり、自分でできる限りの行動を取りました。
2003年にはイラク戦争が勃発。子どもたちへ医療支援を行うという目的のため、所属していた市民団体内で話し合いの末、2004年の春、高校を卒業したばかりの今井さんが紛争地域であるイラクへ渡航することに決まりました。
イラクでの拘束、そして帰国後のバッシング

しかし、イラクでの活動中、今井さんはストリート・チルドレンへの緊急支援活動をしていた際に、武装勢力に拘束されるという衝撃的な事件に巻き込まれます。
いわゆる「イラク人質事件」です。
9日間の拘束の末に解放されるも、帰国後に待ち受けていたのは、社会からの激しいバッシングでした。
「自己責任」「税金泥棒」「非国民」「頼むから死んでくれ」──。
自宅には罵倒の手紙や電話が殺到し、街を歩けば罵声を浴びせられる。家族への誹謗中傷も増し、家族全員が仕事を失う事態にまで発展しました。
帰国直後は誤った報道もあり、誤解を解きたいという思いから講演を引き受けたり、書籍を出版したりと積極的に活動していた今井さん。しかし、次第に体調を崩し、対人恐怖症やパニック障害を発症。環境を変えるため渡英しましたが、イギリスでも今井さんのことを知っている人に出会うことがあり、体調は優れない日々が続きました。
手紙との向き合い──納得するための行動
「このままじゃ、体調は良くならない…。向き合わなきゃいけない。」
帰国した今井さんは、自宅に届いていた大量の手紙やハガキに目を通し始めました。
厳しい、攻撃的な言葉の数々に、体調を崩すことも少なくありませんでしたが、手紙に住所などの記載があるものに対してコンタクトを取るようになりました。手紙を返し、電話で話し、会える場合には会いに行く。
「今、他人にはまったく勧めないですけど…。あの時の自分の中で納得ができなかったんですよ。」
30分以上罵声を浴びせられることもありましたが、今井さんの思いや考えを伝えていく中で「お前のしたいことが、なんとなく分かったよ。がんばれ」と最後には応援の言葉をかけてくれる人もいました。
恩師の言葉が変えた未来

手紙と向き合う以外は、ほとんど家に引きこもっていた今井さん。体調の波は相変わらずでしたが、ある時高校の時の担任の先生が「とりあえず、大学へ行った方がいい」と、自宅まで願書を届けてくれました。
今井さんはその願書を受け取り、受験し、合格。18歳で帰国した今井さんは、20歳になっていました。
大学で出会った友人たちは、自分の過去について泣きながら話す今井さんのことを、否定することなくただ聞いてくれました。否定せず、ただ寄り添い、関わり続けてくれる人々の存在が、今井さんの心を少しずつ解きほぐしていきました。
若者との出会い──自分と重なる生きづらさ

大学卒業後、今井さんは通信制高校の生徒たちと出会います。不登校や中退を経験し、親や先生、友人から否定されてきた彼らの姿は、かつて社会から「自己責任」と否定された自分と重なりました。
「生きづらさを抱えた高校生のために何かできることはないか。」
その思いから、2012年にNPO法人D×P(ディーピー)を立ち上げました。通信制・定時制高校の生徒たちと対話を重ねるプログラムを通じて、若者たちが人とのつながりを得て、未来への可能性を広げられるよう支援を始めたのです。
新しいセーフティネットをつむぐ──D×Pの挑戦

D×Pが目指すのは、「ひとりひとりの若者が自分の未来に希望を持てる社会」です。
しかし、国のセーフティネットがあっても、そこにたどり着けない若者が多くいる現実を目の当たりにしてきました。
「困った時、ネットでつぶやくと相談窓口を教えてくれる人とつながることができる。そんな社会をつくりたい。」
そうした思いから、D×Pは無料相談窓口「ユキサキチャット」を立ち上げました。
現在、ユキサキチャットの登録者は17,585名にのぼり、これまでに多くの若者が相談を寄せています。
さらに、2020年からは経済的に困窮する若者たちへの現金給付や食糧支援を開始。
2023年度には、約1,725人からの寄付により約3,280万円を集め、物価高やコロナ禍で困窮する若者たちに食糧支援を届けました。
支援を受けた若者たちからは、「初めて誰かに頼ることができた」「生きる希望が少し見えた」という声が寄せられています。
また、2023年には大阪・道頓堀に「ユースセンター」を開設。週に2日、午後4時から10時まで開所し、15歳から17歳を中心とした若者たちが訪れています。食事の提供や相談対応に加え、助産師による健康相談や病院への付き添い支援も行い、若者たちの生活を幅広くサポートしています。
若者支援にかける思い──「生き残ってよかった」

「僕自身が『生きていて良かった』と感じられるようになるまでには、10年以上かかりました。」
あれから20年以上が経ち、40歳を迎えた今井さんは、自身の半生を振り返りながら、若者支援にかける思いを語ります。
「いつの時代も、制度からこぼれ落ち、国や企業から支援を受けられない子どもや若者がいます。そういう子たちを支える民間のセーフティネットを、皆さまと一緒に築いていきたい。」
今井さんにとって、D×Pの活動は単なる仕事ではありません。
それは、かつて感じた孤独や絶望を、次の世代に味わわせたくないという強い使命感から生まれたものなのです。
30秒で終わる「D×P」の活動に関するアンケートに答えて、無料でできる支援に参加しよう!

どんな10代の価値観も否定せず、その背景に耳を傾けながら寄り添う。
どんな環境でも、未来を信じられるように。
今井さんのこれまでの壮絶な経験から、立ち上がったDxP。
全国どこでもつながれるオンラインでの「ユキサキチャット」では、保護者に頼れず困窮する10代が、一時的に安心できる環境を整えるために食糧支援や現金給付を行っています。ユキサキチャットでの継続した相談サポートと食糧や現金での支援を掛け合わせ、相談者が他にも頼れる先を増やしていきます。
リアルでは、繁華街にユースセンターを構え、新しいセーフティネットをつくっています。ごはんを食べたり、ゆっくりしたり、仮眠をとったりと安全に過ごせる空間をつくっています。
10代の子どもたちが、世の中にある多様な社会的資源につながり、若者ひとりひとりが自分なりに生きていけるような環境をつくるために活動するDxP。
今なら、30秒で終わる3問のアンケートに答えていただくだけで、10円の支援金をD×Pさんに届けることができます。
支援にかかる費用は、サポーター企業であるgooddo(※)が負担するため、あなたには一切費用はかからず無料で支援ができます。また、個人情報なども必要ありません!
※gooddo株式会社は、株式会社セプテーニ・ホールディングス(東京証券取引所 スタンダード市場)のグループ会社
\かんたん3問!たったの30秒!/
▼「D×P」理事長 今井 紀明さんからいただいたメッセージ

D×Pは、10代の孤立を解決するNPOです。
若者が何か困った時に頼れる人とのつながりを社会のなかにつくりたいと考えています。
ともに、10代を支えていただけないでしょうか?
アンケートは私たちの活動に関する3問で、すべて2択の簡単なものです。無料支援を通じて、ぜひ「ひとりひとりの若者が自分の未来に希望を持てる社会」を実現する仲間になってください。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
「そんな厳しい状況にいる子どもたちがいるなんて知らなかった…何かしてあげたい」
「様々なニュースを見ていて、10代の子たちに何かできないかと思っていた」
「子どもたちに希望の持てる未来を作ってあげたい」
このように思われた方は、ぜひアンケートに回答して頂けないでしょうか?
あなたのご支援が、10代の子どもたちの希望に、そして希望の持てる社会への第一歩となります。
\かんたん3問!たったの30秒!/
※本エピソードは、実際のエピソードをもとに再構成をしております
※すべての画像はイメージで本人とは一切関係ありません