美咲さん(仮名)にとって、実家は幼いころから「居場所」ではありませんでした。
気に入らないことがあると、父親は怒鳴り散らし、物が飛び交う。
家具や食器が壊れたり、壁に穴があくなんてことも日常の些細な出来事です。
怒りの矛先が母親や美咲さんに向かうことも少なくありませんでした。
母親は逆らうことができず、美咲さんとふたりで父親の怒りが収まるのをただただじっと耐えていました。
「うちは、ちょっと厳しいだけなのよ」
「おとなしくしてれば、痛い思いをしないで済むから…」
母親に言われると、幼い美咲さんはそれ以上何も言うことができませんでした。
高校までは進学させてもらったものの「大学なんて女がいくもんじゃない。金の無駄だ」と父親にいわれ、進学を諦めました。
いつしか美咲さんは、誰に対しても本音を話すことができなくなってしまっていました。
先生たちにSOSを出すことも、そしていびつな家庭環境にも誰にも気づいてもらえず学校生活が終わりました。
特に大人の男の人に対して苦手意識が強い美咲さんは、就職活動でも男性が面接官だとしどろもどろになってしまい、どこからも内定がもらえませんでした。
父親からは「お前がいるとお金がかかる。高校卒業したら早く出ていけ」と言われていたため、4月から弁当工場でアルバイトをはじめ、一生懸命貯めたお金で実家を出ていくことになりました。
それから父親からも母親からも連絡はありません。
はじめての一人暮らし、部屋探しもなにもかも誰にも相談することなくやってきました。
わからないことだらけ…美咲さんは不安でいっぱいでした。
一度だけ、美咲さんから母親に連絡した時には「…お父さんから連絡は取るなって言われてるから…」とすぐに電話を切られてしまいました。
体調はどう?困ってることはない?そんなことを聞いてくれるかもしれないという淡い期待は打ち砕かれました。
物価高騰により切り詰める生活…さらなる追い打ちとは
美咲さんのアルバイトでの収入は多くはなく、その日の暮らしで精一杯です。
最近は物価高騰により、光熱費や食費がかさむようになりました。
エアコンは使わないように、食事もできるだけ自炊を心がけ、切り詰めて生活をしています。
そんな中、働いているバイト先の工場長から美咲さんに声がかかりました。
「ごめんな、仕入れ価格があがってて…働いている人みんなにシフト減らしてもらわなきゃいけなくなったんだ。時間も短時間にしてもらいたいんだけど…大丈夫かな?」
今でも家賃と光熱費を払ったら、食費以外にはほとんど自由になるお金はありません。
工場長から打診されたシフトでは、月に4万円ほど収入が減る計算です。
ご飯を、減らせばなんとかなるかな…バイトを探せばなんとか…
でもようやく、半年かかってここの人たちにも慣れてきたのに…
美咲さんは、ぐるぐると頭の中で計算しては、厳しいであろう現実をなかなか受け入れられないでいました。
美咲さんの絞り出した返事は「大丈夫です…」の一言でした。
静かに崩れていく日常…出会ったのはスマホの向こう側の優しさ
シフトが大幅に減り、美咲さんはいよいよ食費が出せなくなってきました。
スーパーでは、見切り品のシールが貼られるのを待ちます。
お米は高く、1ヶ月近く食べてません。
ここ一週間は冷凍うどんばかり食べています。
電気代を気にして、電子レンジも使わず、コンロで少し温めたお湯に入れて、醤油を垂らします。
仕事ではお弁当を詰めているのに、自分は食べることができない。
そんな環境に情けなくなり、鼻の奥がツンとしました。
最近は、一日一食だからか、なんだか朝も寝起きから身体に力が入りません。
「そろそろ新しいバイトも、探さないと…」
そう思ってスマホを開くのですが、求人情報の応募フォームまでいったところで、手が止まります。
頭もぼんやりします。
電話をかけようとすると、指が止まってしまいます。
こんな私なんかが、どこかに雇ってもらえるのかな…
そんなネガティブな感情ばかりが浮かび上がります。
「もう、無理かも…」
何もかもに限界を感じた頃、スマホをぼーっと見ていると、ある広告が目に留まりました。
《親に頼れない若者に、30食のごはんとLINE相談》
ユキサキチャットという、相談サービスがあることを知った美咲さん。
不登校や中退、困窮など様々な困難を抱えている子どもや若者たちへの進路・就職相談をオンラインチャットで行っているらしい…。
美咲さんは半日考えてから、それでも「30食のごはん」という文字が気になり、勇気を出してチャットにメッセージを送ることにしました。
こんなの嘘で、だまされてるのかもしれない…それか決まった内容が定型文でくるのかも…
しかし、美咲さんの不安を打ち消すかのように、すぐに返ってきたメッセージは、美咲さんの今の気持ちや生活に寄り添ったあたたかい言葉でした。
「勇気を出して、連絡をくれてありがとうございます!」
「もし、話したいことがあれば、遠慮なく、どんなことでも話してください。」
「本当にたくさん頑張ってきたんですね。」
美咲さんはユキサキチャットでのやり取りを通じて、「今まで言えなかった自分の気持ちを聞いてくれるってこんなにうれしいんだ」とこれまでにない喜びを感じました。
面と向かってはすぐには言葉にできないことも、チャットなら考える時間もあることで、伝えたいことを言葉にでき、またその言葉を受け止めてくれることで少しずつ焦りなどがほぐれていきました。
さらに、すぐに食事の支援が決まり、数日後には自宅に段ボールが届きました。
開けてみると、思っていた以上にたくさんの食品が詰まっていて、思わず「こんなに…?」と声が出ました。
レトルトの親子丼、炊き込みご飯のパック、インスタント味噌汁、乾麺。どれも、料理に自信がなくても手軽に食べられるものばかりでした。
久しぶりにお米を口にした時、全身に温かさがじんわりと広がっていきました。
久しぶりにお腹が満たされると、心まで少し余裕が出てきたようにも感じました。
だんだんと、朝もスッキリ起きられるようになり、食事の大切さを痛感した美咲さん。
ユキサキチャットでは「無理しないで、できることから少しずつ」と声をかけてもらっていたこともあり、焦らずまずは目の前の仕事をこなし、身体を整えました。
2週間ほど経つと、「次」のことを考えられるように…。
ユキサキチャットに相談しては、自分で歩みだす…誰かが背中をそっと支えてくれるような心強さを感じながら、美咲さんは他のアルバイトを探し始めました。
2つのアルバイトを掛け持ちし、生活の不安が少し和らいだ頃…
ユキサキチャットからは「もし美咲さんがチャレンジしたい気持ちがあるなら、正社員を目指してみない?今の美咲さんならできると思うよ」と声をかけてもらいました。
実の両親にも、そんな気遣いのある言葉をかけてもらったことはありません。
ユキサキチャットでは丁寧なアドバイスを受け、また悩んだら些細なことでも聞いてくれることで美咲さんはしっかりと前に進みだすことができました。
「誰かが、見守ってくれている。そばに、頼ってもいい大人がいる。ユキサキチャットなら頼っていいんだって思えたから、がんばることができました。
今は、念願の正社員として働くことができています。それもユキサキチャットに出会えていたから…。私のように家族に頼ることができない子には、こんな風に頼れる場所があることを伝えたいです。」
スマホの向こうには、「頼れる大人がいない」美咲さんたちのことを本気で心配し、本気で寄り添う大人がいます。
食事など緊急で必要な支援は迅速に行い、なかなか伝えるのが難しい本音や相談は、話せるまでじっと待ちます。
ただその場しのぎの声掛けではありません。
背中を支え、時にはそっと押し出し、彼ら、彼女らが自分で前を向いて歩きだせるようサポートし続けているのです。
ユキサキチャットをきっかけに「10代をひとりにしない」
ユキサキチャットを運営しているのは、認定NPO法人D×P(ディーピー)、10代の孤立を解決したいと活動する団体です。
美咲さんのように、行政支援の規定上は虐待と認定されないかもしれない、貧しいとは言い切れないような状況下にいる子どもたちが存在しています。
お金のことや家族のことであれば、友だちや先生など身近な誰かには相談できないものです。
10代の子どもたちにとって役所や対面での相談窓口は大きなハードルがあるのもまた事実です。
行政支援を受けるために、収入がたったの千円多かっただけで支援を受けられなかったということも、また本来は支援を受けられるにも関わらず、間違った判断を受けそのまま受けられず行政に頼ることを諦めてしまったということも決して少なくありません。
行政は規定があれば、そこで区切りをしなければなりません。
行政も人が対応しているものであり、完璧ではありません。
特に10代の子どもたちは行政とのつながりは非常に薄く、社会にあるさまざまなセーフティネットにたどり着くのも難しいのが現実です。
そのような中で生まれたのが「ユキサキチャット」です。
2024年12月現在のユキサキチャット登録者数は1万5千人以上。
不登校や高校中退、引きこもり状態、困窮などの困難を抱えた10代がLINEで相談することができる窓口です。本人の望む状態を聞きながら、一緒にひとりひとりに合ったつながりと仕事を考えていきます。
相談員には、社会福祉士、精神保健福祉士、キャリアコンサルタント、教員免許保持者などさまざまな専門知識や経歴を持つ人がいます。緊急性の高い相談は、外部アドバイザーから対応方針のアドバイスを受けられる体制をつくっています。
そこから本人にとって必要な現金給付や食糧支援を届けたり、医療、福祉、就労などにつないでいっています。
「本当にすぐにたくさんの食品が届いて驚きました。1週間とかかかるかなと思っていたから…。お腹が満たされるだけでも、よし頑張ろうって思えたんです。考える余裕ができたというか。」
「就労支援を受けて、明日から仕事です。自分のお金で自分の欲しいものを買える…それが楽しみです。応援ありがとうございます」
利用された方からはこのような声が届いています。
実際に長期で支援をしている方の4割は学業継続、2割は社会保障制度につながることができています。
30秒で終わる「D×P」の活動に関するアンケートに答えて、無料でできる支援に参加しよう!
10代のどんな考えや価値観、在り方も否定せずに、なぜそう思うのかと背景に思いを馳せながら関わり、ひとりひとりと向き合い活動をする認定NPO法人D×P。
どのような環境にいる子どもたちも、自分の未来に希望をもっていきていくためにセーフティネットの存在は必要不可欠です。
「面と向かってはなかなか本音が言えない」「LINEだったら気軽に話せる」そんな今を生きる子どもたちに寄り添ったサービスのひとつが「ユキサキチャット」ではないでしょうか。
今なら、30秒で終わる3問のアンケートに答えていただくだけで、10円の支援金をD×Pさんに届けることができます。
支援にかかる費用は、サポーター企業であるgooddo(※)が負担するため、あなたには一切費用はかからず無料で支援ができます。また、個人情報なども必要ありません!
※gooddo株式会社は、株式会社セプテーニ・ホールディングス(東京証券取引所 スタンダード市場)のグループ会社
\かんたん3問!たったの30秒!/
▼「D×P」理事長 今井 紀明さんからいただいたメッセージ
D×Pは、10代の孤立を解決するNPOです。
若者が何か困った時に頼れる人とのつながりを社会のなかにつくりたいと考えています。
2030年度までに、さまざまな境遇で孤立している13-19歳・全国約50万人のうち30%の15万人がつながりを得れる状態を目指します。
D×Pの活動は、皆様からのご寄付のうえで成り立っています。ともに、10代を支えていただけないでしょうか?
アンケートは私たちの活動に関する3問で、すべて2択の簡単なものです。無料支援を通じて、ぜひ「ひとりひとりの若者が自分の未来に希望を持てる社会」を実現する仲間になってください。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
「そんな厳しい状況にいる子どもたちがいるなんて知らなかった…何かしてあげたい」
「様々なニュースを見ていて、10代の子たちに何かできないかと思っていた」
「子どもたちに希望の持てる未来を作ってあげたい」
このように思われた方は、ぜひアンケートに回答して頂けないでしょうか?
あなたのご支援が、10代の子どもたちの希望に、そして希望の持てる社会への第一歩となります。
\かんたん3問!たったの30秒!/
※本エピソードは、実際のエピソードをもとに再構成をしております
※すべての画像はイメージで本人とは一切関係ありません