「iPSを細胞で新しい医療を患者さんに届けたい」
ノーベル賞受賞後も山中伸弥さんが挑戦し続ける理由

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医療は日々進歩し、私たちはその恩恵を受けながら生活しています。
その影には、研究者たちによって費やされた途方もない時間と努力があります。
 
世界ではじめてiPS細胞の作製に成功し、その後も研究を続け、医療への応用を進めている山中伸弥さんもそのような研究者の1人です。
そんな山中さんは、「iPS細胞を使って新しい医療を患者さんへ届ける」ため、研究者として、また組織の運営者として、挑戦を続けています。
一体どのような挑戦なのか、また山中さんを突き動かしているものとは…?

山中伸弥さんが作製した、iPS細胞とは?

山中教授

山中伸弥さんはiPS細胞の研究・普及を進める研究者のひとりです。国立大学法人京都大学iPS細胞研究所の教授でもあり、2020年年4月に公益財団法人として活動を開始した京都大学iPS細胞研究財団(iPS財団)では理事長を務めています。
 
iPS細胞とは、分化多能性と増殖性を持っている、人工的に作られた幹細胞のことです。
体の細胞に少数の遺伝子を導入し培養することで、ほぼ無限に増殖し、あらゆる細胞に変化できる状態になった細胞です。
「人工多能性幹細胞」を英語で「induced pluripotent stem cell」と表記するため、その頭文字をとってiPS細胞と呼んでいますが、その名付け親も山中さんです。
 
海外でも同じような細胞の研究は進められていましたが、iPS細胞の樹立に世界で初めて成功し、2006年にマウスの、2007年にiPS細胞について論文発表したのが山中さんの研究グループでした。
 
iPS細胞は再生医療や新しい薬の開発などに活用できると期待されています。
 
この発見により山中さんは、2012年にノーベル生理学・医学賞をイギリスの生物学者であるジョン・ガートン博士と共同受賞しました。
 
山中さんは現在もiPS細胞研究所とiPS財団を中心に、この細胞のさらなる研究や医療への普及を第一線で行っています。
そんな山中さんの医療との出会い、そして研究者としての原点とはどのようなものだったのでしょうか。

山中さんと医療との出会いとは?

山中伸弥さんは大阪府東大阪市で育ちました。
 
両親はミシンに使われる部品を製造する小さな工場を営み、父親は経営者であると同時に技術者でもありました。
“新しい部品を作りだす”その背中を見て育ちました。
 
山中さんが数学や理科が大好きな少年だったことから、中学生の頃から父親に、「医師の道へ進め」とよく言われるようになりました。
 
山中さんが高校生の頃、父親は仕事中のケガで輸血を受けることになったのですが、それによってC型肝炎にかかり、その後、肝硬変を患うことになりました。
当時は原因不明の病気でしたから、治療もできないまま体調は悪化するばかりでした。
 
山中さんは高校卒業後、医学の道に進みます。
自身も柔道部やラグビー部に所属していたことからケガの多い学生生活だったそうで、整形外科医になるべく、研修医として日々研磨することになりました。

研究者への方向転換のきっかけとは?

しかし、山中さんが研修医として奮闘する中、治療のなすすべもなかった父親は、58歳という若さで亡くなりました。
医師として父にしてあげられた医学的処置は点滴だけだったこと、そして実際に多くの患者さんを診療する中で、治せない病気やケガに向き合う時間が増え、医師として限界を感じたと言います。
 
目の前の患者を救えずとも、研究を通じてたくさんの人を救えるかもしれない
 
自身の人生をじっくり考えた末、山中さんは、研究者としての道を歩むことにしました。
 
研修医時代の父の死、そして病気やケガで苦しむ患者さんたちとの出会いは、ノーベル賞を受賞した後も山中さんがiPS細胞の実用化を目指し続ける原動力となっています。

先端的な医療の高額化、1人の患者さんにかかる薬価が1億円!?

山中さんの父親が患っていたと思われる病気の研究が進み、亡くなった翌年に、原因となるウイルスが発見されました。
その後、特効薬が開発され、治せる病気となりましたが、C 型肝炎ウイルス発見後から25年も経ってからのことでした。
 
このように、病気の原因がわかり、そこから世界中の多くの研究者が日夜努力したとしても薬の開発には、とても長い年月が必要となります。
また、新しい医療を開発するための研究には、多額の費用や優秀な人材が必要で、製薬会社などの企業は開発のために莫大な資金を投入します。
 
それに加えて、近年は科学技術の発展によってバイオ医薬品など先端的な医療が実用化されており、これには多大な費用がかかります。
 
そうすると、新しい医療が実用化された際に、薬や治療法にかかる費用が高額になる可能性があります。
実際、ある病気では、患者さんの治療にかかる薬価が1億円以上という治療法もでてきています。
 
日本のように医療保険制度が整っている国の場合、個人負担は少なくて済むかもしれませんが、先端医療の高額化によって国の負担がどんどん大きくなると、現在のような医療保険制度は維持できなくなるかもしれません

「iPS財団」が目指すものとは?

山中さんは難病やケガで苦しむ患者さんに新しい医療を届けるため、研究者人生のほとんどをiPS細胞研究に捧げています。
しかしiPS細胞によって生まれた再生医療や薬がもしも高額化し、お金を持っている人しか命が助からない、国の医療保険制度を脅かすようになってしまうのであればその目標は達成したとは言えません。
 
iPS細胞技術を「みんなが受けられる医療」にするため、山中さんを理事長とし、公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団が2020年4月から活動を開始しました。
 
iPS財団は、主な事業として、再生医療用のiPS細胞を製造・保管・品質評価し、それを良心的な価格で提供しています。その他、専門的な技術の情報提供や生産技術開発なども行っています。
 
iPS細胞のように、大学で生まれた研究成果や技術を実用化するには、知的財産の権利化、ライセンス先の開拓など、多くのハードルがあります。こうした困難を乗り越えられず、実用化されない研究成果も多数あります。

iPS財団は、立ちはだかるハードルを乗り越えられるように、大学と産業界をつなぐ橋渡し役となって、iPS細胞研究の実用化を目指しています。また、iPS財団が、良心的な価格で再生医療用のiPS細胞や情報を提供することで、企業が参入しやすい状況を生み出し、iPS細胞を使った治療法開発の活性化を目指すなど、先端医療の高額化を避けられるような仕組み作りにも力を入れています。
 
最近では、iPS財団の細胞調製施設で製造された細胞が、患者さんを対象とした臨床研究や治験で使われることも多くなっています。また、海外への細胞提供も増えています。
 
将来、iPS細胞による医療が実用化された時、必要としている全ての患者さんが享受できるようにするため、山中さんをはじめ、職員のみなさんは日々奔走しています。

iPS細胞による再生医療を「みんなの手が届く医療」にするために、あなたにもできることとは?

iPS財団は、が患者さんのためのiPS細胞を製造している細胞調製施設では、国の大型プロジェクトから多大なご支援をいただいてきました。
現在のプロジェクト(約14億円/年)での支援は、2022年度末で終わります。
 
iPS細胞を研究機関や企業に公平かつ適正な価格で提供し、着実に進展しているiPS細胞研究を実用化するには、iPS財団のような、大学と産業界への橋渡し役となる組織が必要不可欠です。
 
新しい医療の開発には、20年、30年という長い時間がかかります。
iPS財団が安定した体制で活動を続けるためには、ひとりひとりのご寄付が大きな支えとなります
 
iPS財団によると、寄付を募り始めた2020年の夏からの約2年間で、すでに約2万人の方が継続的な寄付者になっています
しかし、より安定した運営を長期にわたって続けるためには、さらに多くの方々のご協力が必要です。
 
病気やケガは、いつでもだれにでも起こりえます。
私たちが当たり前のように受けている医療も、過去の研究によって生み出されたものです。
あなたの支援が、誰かの、また未来の私たち自身を笑顔にすることができるとしたら。
 
iPS細胞による新しい医療を、誰もが受けられる時代をつくるために
 
ぜひ、iPS財団への毎月のご寄付を検討してみてはいかがでしょうか?
 

情報提供:公益財団法人 京都大学iPS細胞研究財団