繰り返される「人種差別」をなくすため、あなたも声をあげることが出来る?

2020年5月25日、アメリカ合衆国ミネソタ州ミネアポリス近郊にて、黒人男性であるジョージ・フロイドさんが亡くなりました。

彼は警察官により7分以上も首を膝で押さえつけられ、反応がなくなりようやく膝をどけられましたが、すでに脈はなく搬送された病院で死亡が確認されました。
 
関与した警察官たちは翌日解雇され、殺人罪やほう助・教唆などで起訴もされています。
 
警察官による、不祥事?
きちんと罪に問われているのだから、問題ない?
 
いいえ、この事件は繰り返される「人種差別」という問題を抱えています。
 
今こそ私たちはこの問題に正面から向き合い、考えていかなければならないのではないでしょうか。

「息ができない」必死に訴えたフロイドさん


フロイドさんは、当時偽ドル札の使用容疑により手錠をかけられていました。
 
近くにあった防犯カメラや、一般人による動画によって、フロイドさんが物理的な抵抗のできない状態であったことが証明されています。
それにもかかわらず、警察官はフロイドさんを、不要に、不当に首を膝で押さえつけたのです。
 
そして、フロイドさんは「息ができない…」そう必死に訴えました。
 
周りにいた一般人たちも彼を助けるよう警察官に語りかけていました。
 
しかし、フロイドさんの反応がなくなってさえ、警察官は膝を彼の首からどけませんでした。
救急隊が到着し、担架に移動させる時になり、ようやくどけたのです。
 
フロイドさんが首を押さえつけられることも、殺されなければならない理由も、見つかりません。
 

「Black Lives Matter」繰り返される人種差別に声をあげる人々


フロイドさんの事件の様子を撮影した動画が拡散され、アメリカでは「Black Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター)」という抗議活動が起こっています。
報道などでプラカードを掲げる人々の映像を見た方もいるのではないでしょうか。
 
「Black Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター)」とはどのような活動なのでしょうか。
 
2012年、フロリダ州でトレイボン・マーティンさんという黒人の少年が自警団であるヒスパニック系の青年に不審者としてみなされ、射殺された事件を発端に起こった活動です。マーティンさんは当時、銃なども所持していませんでしたが、射殺した青年は「正当防衛」が認められ無罪となりました。それに対し、とある黒人女性がSNSに「Black people. I love you. I love us. Our lives matter, Black lives matter」という文章を掲載し、それが拡散されました。

 
またさらに2014年には白人警察官により、不当に黒人の命が奪われるという事件が何件も起こりました。いずれも警察官は起訴されませんでした。
 
「Black lives matter」を日本語にすると「黒人の命は大切だ」となりますが、命はもちろんのこと、このような事件だけでなく、多くの場面において、人種差別による暴力や殺害、不平等が存在していることを訴えています。

日本には関係のない、遠い国のお話?


ここまで読んで、日本に住む私たちには関係のない、遠いアメリカだけの問題だと思っている方もいるかもしれません。
 
果たしてそうでしょうか?
 
日本人が諸外国において人種差別を受ける現実も存在しています。
そして、人種差別は日本においても存在しています。たとえば、特定のマイノリティ集団に対する人種主義に基づく差別や暴力を煽るヘイトスピーチもその一例です。
 
決して関係のない話ではなく、私たち日本人も一緒に考えていかなければならない問題ではないでしょうか。
 
抗議活動をしている彼ら・彼女らは「誰もが公平に扱われ、公平な生活を送る、当たり前の権利」を求めています。そして人種や国籍だけではなく、どのようなマイノリティであってもないがしろにされることのない世界を訴えています。
 
人種差別は、すべての人が持っている基本的人権を侵害しています。
また人種差別撤廃条約は、締約国に対して人種差別の撤廃および禁止の義務を課しており(条約第2条)日本もこの条約を批准しています。
 
世界にも、日本にも色々な理由で差別や暴力などに苦しむ人が大勢います。
私たちは、ひとりひとりすばらしい価値を持っています。
「人間らしく生きる権利」は誰もが持っており、誰かに奪われてはいけないものです。
お互いに尊重しあい、社会全体で守っていくために、私たちはどのようなことができるのでしょうか。

すべての人の権利や尊厳を守るために活動!国際人権NGO「アムネスティ・インターナショナル」とは?


人権侵害は世界各国が抱えている問題です。人権を守るべき法律が正しく使われずに、結果として人権を侵害している、さらには人権を抑圧するために作られた法律があるという現実もあります。
 
それに対し、すべての人の権利や尊厳を守るために活動しているのが「アムネスティ・インターナショナル」という団体です。
 
「アムネスティ・インターナショナル」は、イギリスの弁護士ピーター・ベネンソン氏による国境を越えた人権運動に始まり、1961年に設立されました。現在は約200カ国で活動し、サポーターは700万人を越える世界最大の国際NGOです。
 
アムネスティ・インターナショナルは、人権侵害の被害者に寄り添うことを第一に考えています。
 
そのため、政治や経済、宗教に縛られることなく、政府からの助成を一切受けずに、常に中立・独立した立場で調査や活動を行ってきました。このような自発的で国境を超えた活動が認められ、1977年にノーベル平和賞を受賞しました。

人種差別をなくし、人権を守るために私たちが今できること


 
人権侵害のない世の中を願う市民の輪は、年々大きく世界中に広がっています。アムネスティ・インターナショナルは少しでも早く、1人でも多くの人を救うために活動しています。
 
今、大きく抗議活動が行われているジョージ・フロイドさんの事件に関しても、米国司法長官に対し、警官たちに必ず法の裁きを受けさせること、そしてこうした警察の人権侵害が繰り返されることのないよう必要な改革を行うことを直接要請することが出来るオンラインアクション(6月30日にて署名活動は終了予定)など、気軽に参加できる仕組みがあります。
 
アムネスティに参加する人は世界で700万人以上。
ふつうの市民が、人権侵害を止めるために、国連や各国政府に改善を求める手紙やメールを送ったり、SNSを通じて訴えかけるなど方法はさまざま。
アムネスティはそうしたひとりひとりの声を集め、大きな力に変えて世界に変化をもたらしています

 
ここまで関心を持って読んで頂きありがとうございました。
 
「世界中にある不条理を無くしたい」
「人権侵害をこの世から無くしたい」
「自分にできることがあれば協力したい」
 
このように少しでも思った方は「世界中の人の権利を守り、その命を救う」ために、『ヒューマンライツサポーター』の一員になってみませんか?
 
あなたの1日約30円の寄付で、守られる権利、救われる命があります。
 

 

情報提供:公益社団法人 アムネスティ・インターナショナル日本