「共創から生まれる新しい国際協力」の実現を目指して、JICAが2019年に始めたオープンイノベーションの取り組み「JICA Innovation Quest」、略して「ジャイクエ」。
ここではJICAが実施するJICA Innovation Quest(ジャイクエ)について紹介します。
ジャイクエ(JICA Innovation Quest)とは?
ジャイクエは、途上国への国際協力を行うJICAがオープンイノベーションに取り組む事業です。JICA職員だけでなく、社会貢献事業に取り組みたい個人や企業、途上国からの留学生など様々な分野で活躍する人々も一緒になり、既存の枠組を超える革新的な国際協力のアイデアを共創する場となります。
具体的には、JICA職員と様々なバックグラウンドを持つ参加者が少人数制のチームを結成。何度かのプログラムや議論を重ね、途上国の課題を解決するための事業アイデアを考えていきます。
なぜジャイクエが必要なの?
私たちが住む世界には、貧困問題や環境問題といった高度化・複雑化した社会課題がいくつもあります。これらを解決し、持続可能な社会にするためには官民問わず、多様な分野で活躍する人々の力や新しいアイデアを結集させることが重要です。
実際に、海外でも活かせる優れた技術やノウハウ、アイデアを持っている人は多くいます。その一方で、国際協力に興味があるもののどのように行動に移せば良いのかわからない人も少なくありません。
ジャイクエは、そうした人々とJICAとの接点を増やすだけでなく、多様な人々が出会い、共に考える場を提供し、国際協力・途上国課題解決のための新しいアイデアを創るために、生まれたのです。
ジャイクエはどのように生まれた?
ジャイクエは、2018年度にJICA初の組織内新規事業コンペティションで勝ち残って実現した企画です。
立ち上げメンバーは、当時入構3年目だった若手職員5名。新しい企画のアイデアを考えているうちに、5人の中に「多様な人々と協力し新しい国際協力を創りたい」という共通の意識があることがわかったのです。
そして、世界で起こっている様々な社会課題に対し、「本当に必要な支援や協力とはどういうものか」ということを、JICAだけでなく外部の人も一緒になり探求することが必要だという考えから、この企画は生まれました。
ジャイクエでは、未発掘のアイデアの原石や新しい技術、個人の熱い想いを国際協力事業と繋ぎ、途上国のニーズに応える事業を創出・実現することを目指しています。
第1回ジャイクエで取り扱うテーマは「SDGsゴール2:飢餓・食・栄養・持続可能な農業×国」
初開催となる2019年度、参加者に考えてもらうテーマはSDGsゴール2にも取り上げられている「飢餓・食・栄養・持続可能な農業」です。
5つの対象国に対し課題の選定から解決策、新しい事業案までを考え、3ヶ月かけてアイデアを詰めていきます。
「食」はどんな人でも毎日関わるものです。特別な知識や背景がなくても議論しやすく、アイデアも生まれやすいのではないでしょうか。
テーマ:SDGsゴール2(飢餓・食・栄養・持続可能な農業)×「国」
対象国:スリランカ、ブータン、ペルー、マダガスカル、タジキスタン
チームの編成について
ジャイクエでは、JICA職員と一般参加者による少人数チームを形成します。
チーム毎に異なる国を担当し、対象国のSDGsゴール2に関する課題に対するアイデアを創出します。
チームメンバーは多様な企業に所属していたり、持っている経験が異なる人ばかり。
しかし、同じ志を持っているためきっと新しい出会いが刺激となるはずです。
協力企業・団体
ジャイクエのプログラムで新しいアイデア・企画を生み出すにあたり、以下の企業・団体が協力しています。
渋谷スクランブルスクエア株式会社
12月~2月のブラッシュアップ・タームでは週に1回程度チームで集まり、アイデアを詰めていきますが、その際にチームが集う場として、“SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)”の一部施設を利用します。
“SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)”は2019年11月にオープンしたばかりの産業交流施設。社会価値につながるアイデア・新規事業などを共創するために多様な人々・プロジェクトが集い、新たな出会いの場となります。
慶應義塾大学大学院システムデザインマネジメント研究科(慶應SDM)
SDMとは科学技術から社会システムまで、あらゆるものごと全体を俯瞰的に捉え、体系的に分析し、新しい解決策を創造的にデザイン・マネジメントしていく、新たな全体統合型学問です。
ジャイクエの1泊2日のキャンプ・プログラムではシステム×デザイン思考に基づいたアイディエーションなどについてノウハウを提供します。
ジャイクエはこんな人におすすめ!
ジャイクエは、より多くの人、色んな人が力を合わせて国際協力ができるようにするための新しい取り組みです。
以下のような気持ちがある人には特におすすめです。
・国際協力に興味がある人
・途上国が抱える課題に関心がある人
・途上国が抱える課題に対し、何かアクションを起こしたい人
・自分のアイデアや経験、ノウハウなどを途上国の役に立てたい人
・JICA・異業種との交わりにより新しいことに挑戦したい人
ジャイクエは来年度以降も実施予定です。
まずは2019年度に行われるイベントに足を運び、実際の雰囲気を感じてみてはいかがでしょうか。