■失明率の高い国ミャンマー。アイケアメーカーの老舗として“見える喜び”を届けたい。
東南アジアのインドシナ半島西部に位置するミャンマー。
この国は、世界的にも失明率の高い国である
白内障の手術は、濁った水晶体の代わりに眼の中に眼内レンズを挿入するというもので、日本でもよく行われています。白内障は、手術をすることで治療できる病気ですが、手術せずに放置すると失明に至ります。
ミャンマーでは、白内障という病気自体の認知が低く、くわえて、医師不足、手術機器の不足、眼内レンズの不足ということもあり、約45~60万人が白内障により失明している
■ミャンマー人の瞳を担う医師たちの熱意
今回のプロジェクトの大きな目的は、ミャンマーにおける眼科医の研修施設の拠点である国立ヤンゴン眼科病院において、世界でも最高峰と言われている付加価値の高い日本式白内障診療を導入すること。 プロジェクト達成のため、具体的には、以下の3つをミッションとして定めました。 1.ヤンゴン眼科病院で日本人眼科医による白内障診療研修での技術移転 2.白内障手術のための医療機器と眼内レンズの提供 3.ミャンマー人医師を日本に招き、白内障手術の技術移転 今回のプロジェクトでは、ベトナムで1万人以上の患者に無償で眼科手術を施した実績で名高い服部匡志(はっとりただし)医師にご協力いただけました。現地ではインドネシアで実績のあるロート製眼内レンズと日本製の白内障手術用医療機器をヤンゴン眼科病院へ提供しました。 ミャンマーの優秀な若手眼科医に対しては、日本に招いて手術見学などによる技術移転を行いました。繊細な技術が必要とされる白内障の手術。余すところなく日本の技術を学んでもらうためにも、有名な病院や眼科医、施設をできる限り訪問することに。とてもタイトなスケジュールとなりましたが、ミャンマー人の医師たちは全く疲れた様子を見せず、むしろ、ずっと質問がやむことがなく、その場にいた日本人医師からは「熱心さがすごい!」と驚かれるほどだったそうです。 この訪日プランをコーディネートし、訪日中同行したロート社員も、その熱心さ、勤勉さに驚き、母国の白内障治療をもっと発展させたい、技術を得たいという熱意と姿勢に心を揺さぶられたそうです。
■持続可能な支援へ向けて。ミャンマーでの眼科クリニック開設を目指します。
今回のプロジェクトのためヤンゴン眼科病院に服部匡志医師が来院された当日は、彼が病院に来る日をどこから聞きつけたのか、名医に失明を治してもらおうと国内各地から白内障患者が押し寄せました。 地方から何時間もかけて患者が来なければならない、こんな事態になる前に、とにかく、手遅れになる前に病院に来てもらうようにすることが何よりも大事なこと。 ミャンマーは貧しい国の一つと言われていましたが、近年は急速に経済発展し、ある程度の富裕層がいることも確かです。 今回のようにロートとJICAが組んで、白内障手術の技術移転、眼内レンズ、医療機器提供を続けていくことも大切ですが、ロートとしては、ゆくゆくはミャンマー国内に眼科クリニックを開設し、そこで診察料を得て、それを循環させて治療費が払えない人たちに対しても診療を施せる持続可能な事業を実現したい、と考えています。 単発的な支援で終わりではなく、事業を成立させることがミャンマー人の瞳を持続的に支援できると考えて、今後もミャンマーで活動を続けていきます。
PTロート・インドネシア社 ロート・メンソレータム・ミャンマー 独立行政法人 国際協力機構(JICA) (編集:gooddo、文、写真提供:ロート製薬)
公式Webサイトへ