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“見える喜び”を届けたい!持続可能な白内障診療の実現を目指して

■失明率の高い国ミャンマー。アイケアメーカーの老舗として“見える喜び”を届けたい。

東南アジアのインドシナ半島西部に位置するミャンマー。 この国は、世界的にも失明率の高い国である※1いうことをご存じでしょうか? ミャンマーでの失明の7割は白内障によるもの※2。白内障は、眼の中のレンズの役割をする水晶体が濁ってしまい見えにくくなる病気で、ミャンマーでは、強い紫外線や喫煙率の高さ、米食文化による糖尿病が白内障を誘因していると考えられています。 日本で白内障というと高齢者の病気と捉えられがちですが、ミャンマーでは40代の比較的若い世代での発症が多くなっています。※3  当然、働き盛りの世代なので、社会的・経済的にも大きな負担となってしまいます。ですので、白内障対策はミャンマー政府としても取り組むべき課題と捉えられています。

白内障の手術は、濁った水晶体の代わりに眼の中に眼内レンズを挿入するというもので、日本でもよく行われています。白内障は、手術をすることで治療できる病気ですが、手術せずに放置すると失明に至ります。 ミャンマーでは、白内障という病気自体の認知が低く、くわえて、医師不足、手術機器の不足、眼内レンズの不足ということもあり、約45~60万人が白内障により失明している※4という、患者が手術を受けられない実情があります。 病院にすぐ行かない、行けないことも問題です。病院で手術をする際に泣き叫んで嫌がる人もいるほど、病院や手術に対する知識がない人も多く、ちょっと見えないくらいなら病院に行かず、結果失明してしまう、というのも白内障による失明率が高い要因の一つと言われています。 白内障の手術に必要な眼内レンズ。実は、ロートは、子会社のPTロート・インドネシア社で眼内レンズの製造・販売をしており、 インドネシアでの眼内レンズの市場シェアは約50%強を誇ります。ミャンマーでは、2012年にロート・メンソレータム・ミャンマーを設立し、目薬の販売、化粧品の製造・販売をしています。 眼内レンズの実績とミャンマーでの商売の実績をもとに、また、アイケアメーカーの老舗として、失明率の高いミャンマーの人たちのお役に立てるのでは?と考え、2015年4月にロートがJICAの民間技術普及促進事業にて白内障診療プロジェクトをスタートしました。 ※1 出典):2005年The South Australian Institute of Ophthalmology (SAIO)による調査 ※2 出典):2008年Cataract in rural Myanmar: prevalence and risk factors from the Meiktila Eye Study ※3 出典):Unofficial data, Mount Popa Taung-Kalat Blindness Prevention Project protocol 2006 ※4 出典):Unofficial data, Mount Popa Taung-Kalat Blindness Prevention Project protocol 2006

■ミャンマー人の瞳を担う医師たちの熱意

今回のプロジェクトの大きな目的は、ミャンマーにおける眼科医の研修施設の拠点である国立ヤンゴン眼科病院において、世界でも最高峰と言われている付加価値の高い日本式白内障診療を導入すること。 プロジェクト達成のため、具体的には、以下の3つをミッションとして定めました。 1.ヤンゴン眼科病院で日本人眼科医による白内障診療研修での技術移転 2.白内障手術のための医療機器と眼内レンズの提供 3.ミャンマー人医師を日本に招き、白内障手術の技術移転 今回のプロジェクトでは、ベトナムで1万人以上の患者に無償で眼科手術を施した実績で名高い服部匡志(はっとりただし)医師にご協力いただけました。現地ではインドネシアで実績のあるロート製眼内レンズと日本製の白内障手術用医療機器をヤンゴン眼科病院へ提供しました。 ミャンマーの優秀な若手眼科医に対しては、日本に招いて手術見学などによる技術移転を行いました。繊細な技術が必要とされる白内障の手術。余すところなく日本の技術を学んでもらうためにも、有名な病院や眼科医、施設をできる限り訪問することに。とてもタイトなスケジュールとなりましたが、ミャンマー人の医師たちは全く疲れた様子を見せず、むしろ、ずっと質問がやむことがなく、その場にいた日本人医師からは「熱心さがすごい!」と驚かれるほどだったそうです。 この訪日プランをコーディネートし、訪日中同行したロート社員も、その熱心さ、勤勉さに驚き、母国の白内障治療をもっと発展させたい、技術を得たいという熱意と姿勢に心を揺さぶられたそうです。

(今回訪日したミャンマー人眼科医とロート社員。全員女性。)
(白内障手術用医療機器の技術指導者の手元をじっと見るミャンマー人医師たち)

■持続可能な支援へ向けて。ミャンマーでの眼科クリニック開設を目指します。

今回のプロジェクトのためヤンゴン眼科病院に服部匡志医師が来院された当日は、彼が病院に来る日をどこから聞きつけたのか、名医に失明を治してもらおうと国内各地から白内障患者が押し寄せました。 地方から何時間もかけて患者が来なければならない、こんな事態になる前に、とにかく、手遅れになる前に病院に来てもらうようにすることが何よりも大事なこと。 ミャンマーは貧しい国の一つと言われていましたが、近年は急速に経済発展し、ある程度の富裕層がいることも確かです。 今回のようにロートとJICAが組んで、白内障手術の技術移転、眼内レンズ、医療機器提供を続けていくことも大切ですが、ロートとしては、ゆくゆくはミャンマー国内に眼科クリニックを開設し、そこで診察料を得て、それを循環させて治療費が払えない人たちに対しても診療を施せる持続可能な事業を実現したい、と考えています。 単発的な支援で終わりではなく、事業を成立させることがミャンマー人の瞳を持続的に支援できると考えて、今後もミャンマーで活動を続けていきます。

PTロート・インドネシア社 ロート・メンソレータム・ミャンマー 独立行政法人 国際協力機構(JICA) (編集:gooddo、文、写真提供:ロート製薬)

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ロート製薬は、人々の豊かなウェルエイジングライフに貢献することを目指し、創業以来『こだわり』と『挑戦』の企業努力で目薬、胃腸薬、外皮用薬をはじめヘルス&ビューティにかかわる広範な商品の開発と新市場の開拓に力を注いでまいりました。 近年ではヘルス&ビューティが生み出される源となる「食」事業への参入も果たし、お客様の美と健康を根本から支え、お客様の期待以上の『驚き』と『喜び』を提供し続けることを目指してまいります。 さらに、事業活動の発展だけではなく、「社会の公器」としての社会的責任を果たすことこそが企業としての使命であると考え、「次世代支援」活動を1つの柱として積極的に取り組んでまいります。

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