プラスチックごみ

海洋プラスチックごみの問題がもたらす自然への影響や行われている取り組み

私たちの生活においてプラスチックはなくてはならない存在です。身近なところで言えば、ペットボトルやビニール袋、容器に使われています。
プラスチックの多くは使い捨てとされていますが、手軽に使え、大量生産されるためごみとなる量も非常に多いのです。

そして問題になるのがプラスチックの処理ですが、適切にごみとして処理する分には問題ありません。
しかし、ポイ捨てや不適切な処分の仕方により、こうしたごみは風に飛ばされたり川などに流され、やがて海に行き着きます。このように海に流れ込んだり捨てられたプラスチックごみを海洋プラスチックごみと言います。
海洋プラスチックは地球規模で広がっており、その量は年間800万トンとも言われています。また、2050年にはプラスチックごみの量が魚の量を超すという推計もあり、各国が積極的に取り組まなけばいけない問題となっています。

プラスチックごみは海という大切な環境を壊すだけでなく、その生態系などにも影響を与えてしまいます。そして、海に生きる魚介類を食べる私たちの生活にも甚大な被害を及ぼすことになるのです。

(出典:政府広報オンライン「海のプラスチックごみを減らしきれいな海と生き物を守る!」,2019)
(出典:海上保安庁「未来に残そう青い海」)
(出典:環境省「第3章 プラスチックを取り巻く状況と資源循環体制の構築に向けて」)

海洋プラスチックごみ問題とは?日本や海外の取り組み、私たちができることを解説

「プラスチックごみ問題の解決に取り組む」
活動を無料で支援できます!

30秒で終わる簡単なアンケートに答えると、「プラスチックごみ問題の解決に取り組む」活動している方々・団体に、本サイト運営会社のgooddo(株)から支援金として10円をお届けしています!

設問数はたったの4問で、個人情報の入力は不要。あなたに負担はかかりません。年間50万人が参加している無料支援に、あなたも参加しませんか?

\たったの30秒で完了!/

プラスチックごみが海に与えている影響は?

プラスチックごみが海に与える影響は深刻です。

このプラスチックが海の生態系に深刻な影響を与えるだけでなく、海の産業にも影響を与えるため経済的な損失も免れません。

そして私たちの人体へも影響を及ぼす可能性も出てきます。

海の生命体に与える影響

プラスチックでできているビニール袋や容器、ストローなど私たち人間は便利なものとして使用しています。海に流れ込んだとき、海洋生物はそれらを誤飲してしまったり、プラスチック製の袋や網が体に絡まるなど、最悪の場合死に至ることもあります。

また、プラスチックごみが劣化などにより砕けて5ミリ以下に小さくなったものをマイクロプラスチックと言います。これも海洋生物が餌と間違えて誤飲することがあり、かなり小さいため取り出すことは難しく、海洋生物の体内に取り込まれることによって炎症反応や摂食障害にもなる場合があります。

マイクロプラスチックは北極や南極でも確認されており、日本では夏季の日本周辺や北太平洋中央部で浮遊量が多くなることが分かっています。このままプラスチックごみが増え続けるとこれらの海域のマイクロプラスチック重量濃度が2030年時点で2倍、2060年時点で4倍になることも予想されています。

環境省によると、2019年度に全国で回収した漂着ごみはおよそ3.2万トンでした。種類別では、プラスチックごみが最も多く、その製造国も多くは日本国内のものです。
私たちは自分たちの海を自分たちで汚しているのです。海洋汚染が広がり最も影響を受けるのは海洋生物であり、それらの生態系が崩れると海洋生物の恩恵を受けている私たち人間にも影響を及ぼします。

(出典:政府広報オンライン「海のプラスチックごみを減らしきれいな海と生き物を守る!」,2019)
(出典:環境省「第3章 プラスチックを取り巻く状況と資源循環体制の構築に向けて」)
(出典:環境省「令和元年度海洋ごみ調査の結果について」

海の産業に与える影響

先述したように、海洋生物への影響が広がることで本来取れるはずの海洋生物の漁獲量が減るという問題があります。
プラスチックごみが海洋環境を破壊し生態系が崩れ、プラスチックごみによって生物が傷を負ったり死んでしまったりして数が減るなどが原因です。

そして産業は漁業だけではなく、観光業にも影響を与えます。観光業の場合は、本来きれいな海を求めてやってくる人も多く、海水浴やダイビングなどを楽しむ人たちにとってはプラスチックにより汚染された海での観光を避けることでしょう。そうなると観光業での収入は減ってしまい経済的損失は大きくなってしまいます。

(出典:環境省「プラスチックを取り巻く国内外の状況」,2018)

私たち人体への影響

先述したように、海洋生物が体内に取り込んだマイクロプラスチックは細かな粒子であり、分解されないため体内に蓄積されている可能性があります。食用とされている海洋生物は漁獲され、市場に出回りますが、体内にマイクロプラスチックが残留しているかどうか、すべての魚介を調べることはできません。
そのため商品の中に紛れ込んでいる可能性もあり、そうした魚介類を口にすれば、私たちの体内にもマイクロプラスチックが入り込む可能性があるのです。

また、マイクロプラスチック(マイクロビーズ)は私たちが普段使っている歯磨き粉や洗顔、化粧品にも含まれており、洗面所などから海へと流れていきます。海洋生物にとっても私たち人間にとってもマイクロプラスチックは有害なものとなります。

(出典:海上保安庁「未来に残そう青い海」)

海洋プラスチックごみを減らすために世界で行われている取り組み

海洋プラスチックごみについては世界中で問題視されており、特に海に隣接する国にとっては深刻な問題となっています。

そのため地球規模の問題に対して取り組んでいるSDGsの目標14には「海の豊かさを守ろう」と掲げられています。

その中には「2025年までに海洋ごみや富栄養化を含むあらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する」などのターゲットが定められています。

この目標に対し、世界の組織や国々がどのような取り組みを行っているか、いくつかの例を取り上げてみます。

国連環境総会(UNEA3)

国連環境総会では「海洋プラスチックごみ及びマイクロプラスチック」に関する決議(resolution)が採択されています。

これにより世界中の海で問題となっている海洋プラスチックごみ及びマイクロプラスチックに対処するための障害やオプションを精査することとなりました。

そのため専門家のグループ会合を召集することを決定し、2018年5月には第1回会合が開催され、対処のための施策が話し合われています。

G7(ジーセブン)

G7ではシャルルボワで行われたサミット、ハリファックスで行われた会合でそれぞれ海洋プラスチックに関する議論がなされました。

その結果、2018年6月に行われたシャルルボワサミットではプラスチックなどによって汚染される海洋環境を保全するため、「健全な海洋及び強靱な沿岸部コミュニティのためのシャルルボワ・ブループリント」が承認されました。

さらにカナダと欧州各国が「海洋プラスチック憲章」を同時に承認しています。
また2018年9月に行われたハリファックス環境・海洋・エネルギー大臣会合では「海洋プラスチックごみに対処するためのG7イノベーションチャレンジ」を採択し、海洋プラスチックごみ問題に対しての今後の取り組みをまとめました。

この取り組みにはプラスチックの製品設計から管理、廃棄物の防止、市場や教育、普及啓発などの内容が盛り込まれています。

G20(ジートゥエンティ)

2017年7月に開かれたG20では首脳宣言において海洋ごみが初めて取り上げられました。その上でこれまでG7で取り組まれてきた内容を基礎とした「海洋ごみに対するG20行動計画」の立ち上げに合意しています。

これは海洋ごみの発生抑制から持続可能な廃棄物管理の構築、また海洋ごみの調査などを盛り込んだイニシアチブとなっています。

さらに、2019年に開催されたG20大阪サミットにおいて、2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減することを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が共有されました。これを受け、日本では「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組」が採択されました。

日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM20)

海洋プラスチックごみが深刻なアジアでは日本、中国、韓国の参加国の環境大臣による会合が2018年6月に行われました。

ここではマイクロプラスチックを含む海洋ごみの対策などを意見交換した上で、中国・韓国と海洋プラスチック問題がグローバルな共通課題であるとの認識を共有し、さらに2019年に開催されたG20に向けた連携と協力を確認しています。

(出典:環境省G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組と対策報告書

私たちにもできることを考えよう!

プラスチックごみは主に放置されたごみなどが問題となっています。
そのためこれを減らす1番の方法は私たち消費する側が気をつけることです。

普段から大量に使用するプラスチックを適切にごみとして処理することです。
ごみをゴミ箱へ捨てるだけでなく、プラスチックごみそのものを減らす行動も重要です。

プラスチックはリサイクルが可能で、再利用方法は今も研究が進んでおり、様々な製品に生まれ変わっています。

再利用と言う観点では商品によってはプラスチックで作られているものをすぐ捨てず、何度も利用するのも手でしょう。
例えばペットボトルは使ってすぐ捨てることもできますが、洗浄して容器として再利用することも可能です。
このように私たちがプラスチックごみを減らすためにできることはあります。

自分たちでできることを考え行動に移していくことが、この問題を解決する第一歩となるのです。

「プラスチックごみ問題の解決に取り組む」
活動を無料で支援できます!

30秒で終わる簡単なアンケートに答えると、「プラスチックごみ問題の解決に取り組む」活動している方々・団体に、本サイト運営会社のgooddo(株)から支援金として10円をお届けしています!

設問数はたったの4問で、個人情報の入力は不要。あなたに負担はかかりません。年間50万人が参加している無料支援に、あなたも参加しませんか?

\たったの30秒で完了!/

動画はこちら
この記事を書いた人
gooddoマガジンはソーシャルグッドプラットフォームgooddo(グッドゥ)が運営する社会課題やSDGsに特化した情報メディアです。日本や世界の貧困問題、開発途上国の飢餓問題、寄付や募金の支援できる団体の紹介など分かりやすく発信しています。 なお、掲載されている記事の内容に関する「指摘・問い合わせ」「誤字脱字・表示の誤りの指摘」につきましては、こちらの報告フォームよりご連絡ください。

- gooddoマガジン編集部 の最近の投稿