熊本地震、被災した子ども達は今?

最近では報道を目にすることもほとんどなくなりましたが、現地の状況はどうなっているのでしょうか?

小さくなったとは言え未だに余震は続いています。

そして被災の最も激しかった益城町には、いまだに避難生活を送る子どもたちが多くいます。

彼らは今もなお、様々な課題に直面しています。

提供:認定NPO法人カタリバ
・避難生活のストレスで、心の健康を壊してしまう子ども

・狭い仮設住宅で、十分に勉強する環境がができない

・失業などの経済的困難で、進路や夢が閉ざされてしまう生徒

こういった課題が、熊本の子どもたちに出始めているのです。

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5年前、東日本大震災が起こった後にも、同じような困難が子どもたちに襲いかかっていました。

「家族との別れ」や「経済的な苦境」、「津波のトラウマ」・・・
さまざまな困難に苦しんだ子どもたちもいました。

2011年3月11日、岩手県大槌町で中学1年生だった吉田美涼さんは、この春に無事に高校を卒業。 大学へと進むことができました。

吉田さんは、ある「放課後学校」との出会いによって、困難をチャンスに変え、可能性を切り開くことができたと言います。

幾多の苦境を乗り越えて、希望する進路をつかみとるまでの道のりを語ってもらいました。

生まれ育った町も、家族も波にのまれてしまった


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東日本大震災が起こったあの日、私は中学1年生でした。その日は中学校の卒業式の前日で学校は午前授業だったので、友だちと遊んでいました。そんなとき、大きな地震がやってきました。

なんとなくだけど、でも絶対に、「津波が来る」と思いました。

それからすぐ、父に連絡をしました。父は、「山の上に登れ」と言いました。

その後、実家の祖父母に電話をかけました。でも、その時にはもう電話はつながりませんでした。

その後すぐ山に登ると、津波はやってきました。

見下ろす町がみるみる黒い波にのまれていきました。


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祖父母も、津波にのまれてしまいました。

私にとって2011年3月11日は、そんな日でした。

震災後、つらい現実を忘れさせてくれた居場所
震災から9ヶ月たった2011年12月、大槌にコラボ・スクール大槌臨学舎ができ、私はその次の年の春から、臨学舎に通うようになりました。


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臨学舎は、心の居場所でした。

町は津波によってほとんどすべてのものが奪われた、震災から1年近くたっていても、その現実が信じられず受け止めきれていなかったのだと、今になって思います。

そんな中、臨学舎だけはそんな現実を忘れさせてくれる場所でした。

行くと元気がわいてきました。


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震災が起こる前は、地元の高校に進学して、地元の企業に就職、地元で結婚・出産・・
ずっと地元にいるものだと感じていました。

でも、臨学舎と出会ったことで、視野がびっくりするくらいに広くなりました。

臨学舎は、私の知らない世界を見せてくれたり、出会ったことのない人と巡り会わせてくれました。


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そんな経験をして、私の考え方は変わりました。

実力のはるか上を目指し、結果、県で一番の成績を誇る進学校に入学することができました。

中学卒業後も、臨学舎の卒業生として、臨学舎で勉強を教えたり、相談に乗ったりするボランティアに参加しました。


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臨学舎との出会いは、私の人生を大きく変えました。

つらい経験をした以上に、たくさんの出会いや喜びをもらった
私は現在、東京の大学生です。都会の大学生活を満喫しています。

臨学舎、カタリバは、中学生の時もそうだったように、今の私にとっても心の居場所です。

このような辛い経験をした私は、他人から見ると辛くかわいそうな人間かもしれない。

でも私はそれ以上に、カタリバに出会ったり、新しい経験をしたり、こうして今の私の素直な気持ちを誰かに伝えられるということを本当に嬉しく思います。

熊本にも、あの時の私のように、私以上に大変な思いをしている子どもたちがたくさんいると思います。

私はその子達に、熊本コラボ・スクールで是非私のような幸運な出会いを経験してほしいです。

このような辛い経験をした私は、他人から見ると辛くかわいそうな人間かもしれない。

でも私はそれ以上に、カタリバに出会ったり、新しい経験をしたり、こうして今の私の素直な気持ちを誰かに伝えられるということを本当に嬉しく思います。

熊本でも子どもたちをサポート、課題は資金
吉田さんのインタビューに出てきた「大槌臨学舎」とは、認定NPO法人カタリバが岩手県大槌町に建てた放課後学校のこと。

東日本大震災で被災した子どもたちに、「落ち着いて勉強できる場所がない」というハンデを乗り越えるため学習指導をしたり、震災で傷ついた心のケアのため子どもたちが安心して集まれる居場所を提供したりしてきました。

これまで5年間で、3,000人以上の子ども達をサポートしてきたそうです。

この経験を活かして、熊本地震に際しても支援活動を模索。

教育委員会などからの依頼を受けて、熊本県益城町に同じ放課後学校を開きました。


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休校になってしまった小学校の教室を間借りして、現在は中学1〜3年生が通ってきています。

この放課後学校、少なくとも中3生の受験が終わる、来春3月までの支援を予定していますが、継続的な支援のための、課題は資金不足だそうです。

震災直後は数多くの方が熊本へに向けて募金を送ったものの、この学校が支援を始めた6月には、報道も減少。

しかし、子どもたちは確実にいまも支援を必要としています。

そこで、賛同した方々から寄付を受け付けて、運営資金を募っているとのこと。


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新学期が始まって間もない震災で、家族や生まれ育った家、あたり前の日常を失い、余震の不安や避難 生活へのストレスを抱えた子どもたち。

震災の経験を忘れずに、そして次の世代へと活かしていくために。

あなたも熊本の、そして東北の子どもたちにできること、考えてみませんか?

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