2014年1月19日、南スーダン。
当時、政府軍と反体制派側が激しい戦闘を行っていました。
地域の住民は、逃げ場と保護を求めて、国連南スーダンの施設に押し寄せました。
当時、施設長を務めたケン・パユーモさんが当時のことを振り返りました。
1万2000人を超す人々を施設内に迎え入れ保護したといいます。
しかし、政府軍の要人がすぐに施設にやってきました。
ケンさんは会ってすぐにこういわれました。
「お前の施設にいる連中は政府軍か?それとも反政府側か?」
「区別していません。来た人を助けたまでです。」
そう答えると、要人は
「また来る」
とだけ言って去っていきました。
しかし、その日の午後にその要人は、約80人の武装兵士を施設に連れてきました。
ケンさんは、施設内に入れるように要人から命じられましたが、必死で回答しました。
「武装していない人、制服を着ていない人なら入って構いません。メディア以外は。」
しかし、彼はこう答えます。
「ここは私たちの国で私たちの政府だ。指示されるいわれはない。」
兵士にライフルを向け、施設内にに入れろと強引に求められました。
しかし、彼は施設にいた全ての人が国連を頼りにしていることを理解していました。
「数千人もの人々です。彼らの最後の避難場所だったのです。他に行き場がなかったし、交渉の余地はなかった。」
何度も断り、要人との押し問答が続いた結果、ケンさんの動じない態度を見た要人はやる気を失い、車に乗り引き上げていったといいます。
こうして、国連施設内の1万2000人は生き延びることができました。
これほどの圧力をかけられ、自らの命すら脅かされながらも住民達の身の安全を守った、施設長のケンさんに賞賛の声が上がっています。