2016年4月に起こった熊本地震。
マスコミでの報道もだんだんと少なくなっていますが、現地では今何が起こっているのでしょうか?


物資は足りている。避難所から仮設住宅へ

熊本県上益城郡益城町。

熊本地震の被害が最も大きかったこの町では、「住居倒壊率50%と」と多くの住民の家が崩れ落ちました。

今も過半数の住民が、自宅ではない避難所などでの生活を送っています。

提供:認定NPO法人カタリバ


地震から月日が経ち、この町でも、徐々に平穏な日常が戻りつつあります。

全国からの温かい応援によって、4月の段階で物資は充足。

仮設住宅の建設も進み、8月中には避難生活を送る約1,200世帯が仮設住宅へ入居されることが予定されています。

提供:認定NPO法人カタリバ


徐々に平穏な暮らしが戻りつつあるなか、町の復興にとって、見過ごされている課題はないのでしょうか?

自宅に「赤紙」が貼られ、家に住めなくなってしまった子どもたち

そんななか、心配されているのが子ども達の教育です。

新学期開始直後の震災は、子どもたちの新たな学校生活スタートの大きな妨げに。

学校再開まで約1ヶ月間を要したため、授業の進度も大きく遅れをとってしまいました。

多くの子どもたちが過ごすのは、狭い避難所や仮設住宅の一角。

勉強する場所は、決して十分とは言えません。

中学3年生の丸山大地さんも、自宅に「赤紙」が貼られた一人です。

丸山大地さん(中3)

提供:認定NPO法人カタリバ
“今は家の敷地内にある空手の道場に住んでいます。前は自分の部屋で静かに集中して勉強できたのが、今はテレビを見ている家族の横で、集中できない時もあるのですが、「テレビ消して」と言いにくいです。”

子どもたちは大人が考える以上に大人に気を遣っています。落ち着いて、安心して勉強できる場所と時間を確保することが求められています。

また震災のストレスで、「一人になるのが不安」「落ち着いて勉強ができない」と訴える子どもたちも。

礒部 晏さん(中3)

提供:認定NPO法人カタリバ
“前震の時は家にいて、本震の時は車中泊をしていました。家で地震を経験したから、少しの揺れでもビクッとしてしまって、家にいるのが怖いんです。”

震災や避難生活でストレスを溜めた心のケアをしていくこともこれからの課題です。

学習場所の確保と、傷ついた心のケアが課題に
そんな子ども達への教育支援では、県外から訪れたNPOが大きな役割を果たしています。

認定NPO法人カタリバは、被災した生徒が多い益城町内の中学校の教室で、放課後などの時間に中学1年生から3年生までの学習のサポートを開始。

自習を基本に、常駐するスタッフや地元の大学生を中心としたボランティアが、わからないところを個別に指導しています。


提供:認定NPO法人カタリバ
先ほどの礒部 晏さん(中3)も、放課後学校に通う受験生の一人。

“ここでは、質問したら一対一で教えてくれるのですごく理解できて、勉強がはかどります。”

特に高校受験を控えた中学3年生には、「学校は1ヶ月くらい休みになっていたし、勉強のペースが遅れているのが不安です。」(磯部さん)という不安も。

1学期の期末試験を控えた勉強会には、数多くの生徒が詰めかけました。


提供:認定NPO法人カタリバ
311の教訓を、熊本の子どもたちへ
放課後学校を運営する認定NPO法人カタリバは、2011年の東日本大震災以降、宮城県女川町・岩手県大槌町にて「コラボ・スクール」を運営してきました。


提供:認定NPO法人カタリバ
3,000名(延べ)を超える子どもたちへ学習機会と居場所を提供してきた経験を活かして、熊本の子どもたちのサポートを開始しました。

東北での活動では90%以上の生徒が第一志望校に合格するなど、学習面での支援と、心のケアを行ってきました。


提供:認定NPO法人カタリバ
当初は「家庭学習する場所と時間がない」「一人で勉強してもこれからのことが不安になってしまう」と心配していた先生方にも、徐々に期待が広がってきました。

益城町立木山中学校 校長 永瀨善久先生

提供:認定NPO法人カタリバ
“支援が始まって、子どもたちの表情が明るくなってきました。子どもたちは年齢が近い大学生のボランティアの方に、私たちに話す以外のこともたくさん、話したりしていて、大事なカウンセリングの場にもなってます。 ”

“この震災を言い訳に学力が落ちた、というのではなく、逆に震災に負けず頑張って勉強して学力が上がった、行きたかった高校に受かった、と言ってもらえるようにしたいです。”

一過性で終わらない支援のために、課題は資金
この放課後学校、少なくとも高校受験が終わる、来年3月までの支援を予定していますが、継続的な支援のための課題は資金不足だそうです。

震災直後は数多くの方が熊本へ募金を送ったものの、6月には、報道も減少。

「風化」もあり、活動資金が集まりにくい状況になっています。


提供:認定NPO法人カタリバ
新学期が始まって間もない震災で、家族や生まれ育った家、あたり前の日常を失い、余震の不安や避難 生活へのストレスを抱えた子どもたち。

「震災があったから夢をあきらめた」「志望校に合格できな かった」そんな悔しさまで味わってほしくはありません。

子どもたちが悲しみを強さに変えて未来を切り拓いて いけるように、一人ひとりができること、考えていきたいですね。

カタリバの担当者(本村ももさん)によると、「一度にたくさんの金額をご寄付いただけるのもありがたいですが、一番嬉しいのは継続的な応援。毎月1,000円からご支援いただく、マンスリーサポーターを募集しています。」とのこと。

あなたも熊本の、そして東北の子どもたちにできること、考えてみてはいかがですか?

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