「この犬たちがお父さんのところにいられる日にちは、7日間。その間に、新しい飼い主さんを見つけてあげんといかん。」

「飼い主が見つからんかったらどうすると?」

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2013年に公開され、堺雅人さんが主演した映画「ひまわりと子犬の7日間」という映画をご存じでしょうか。

この映画は、宮崎で支援活動をされている山下由美さん書かれた実話「奇跡の母子犬」をもとに製作されました。


せっかく作られた保護施設に入れるのは、選ばれた犬猫だけ

左の犬は判定に落ち殺処分。右の犬は判定に合格し幸せに生きている
提供: いのちのはうす保護家

2008年8月、宮崎県が民間団体に運営委託をする犬猫譲渡推進サポート事業「ひまわりの家」がスタートし、山下さんは、施設責任者として勤務する事となりました。

しかし翌年2009年10月、責任者を辞任しました。

それは、「ここに来ている犬猫は検査で合格している子たちだけ。それ以外の子は殺処分されている。選ばれなかった命を1つでも多く救いたい」という想いからでした。

実は、ひまわりの家には譲渡適性検査「判定」に合格した犬猫しか来ることができない決まりがあったのです。一方で、「判定」に落ちた犬猫は、収容されて一度も太陽の下に出ることなく、真っ直ぐガス室に向かい、即殺処分されていました。

現在でも、宮崎で保護される犬や猫3800匹のうち2500匹もの犬猫が殺処分されているのです。

そして10年間、山下さんは仲間とともに合格できなかった犬猫を保護し、そのような犬も救えるように宮崎県に訴え続け、ついに2017年、愛護センターの設置が決定しました。しかし・・・


愛護センターにも入れない?!また、選ばれない命が生まれてしまうことに・・・

県の計画では、冷暖房完備、パドック付の檻に一匹ずつ、保護期限なし・・・と、一見とても素晴らしい建設内容。しかし、またも持ち込まれた犬猫みんなが入れる愛護センターではありませんでした。

その犬や猫がどこに住んでいたか、どこで捕獲されたかによって、愛護センターには入れないことになっています。そして入れなかった場合、現在の冷暖房もなく、冬には凍死するような檻、感染症が出たら蔓延する環境、陽に当たることもできない収容所「管理所」にこれまで通りに収容されていくのです・・・

宮崎県北部管理所。陽はほとんど入らずいつも真っ暗です
提供: いのちのはうす保護家

1月の真冬、冷たい檻の中で衰弱死した犬
提供: いのちのはうす保護家

保護された地域によって命の格差が起こってしまう現状を変えたい。

「ひまわりと子犬の7日間」原案者、保健所犬猫レスキュー団体「いのちのはうす保護家」代表の山下由美さん
提供: いのちのはうす保護家

山下さんは今新たに、今まだ救えない全ての犬猫を救うための愛護センターの設立を目指していらっしゃいます。

現在は啓発イベント開催したり、現在運営している施設をより多くの犬猫が安全に暮らせるように活動をしています。

今のままでは、全ての犬猫を救うことはできず、殺処分され続けしまうのです。この状況を変えるには、みなさんの力が必要です。