提供:公益社団法人 シャンティ国際ボランティア会

女性や子どもの笑顔広がるシェルター

提供:公益社団法人 シャンティ国際ボランティア会

4月25日11:56(日本時間3:11)にネパールの首都カトマンズ北西約80キロを震源としたマグニチュード7.8の地震が発生しました。

ヌワコット郡のサムンドラデヴィ村をシャンティスタッフが初めて訪れたのは、4月25日の地震から1週間後。

食糧や毛布などの配布をしたその時には、地震のために道路が岩で塞がれており、村の中心地区まで入ることが出来ませんでした。アクセスの悪さから、政府や他の団体からの支援が届かず、私たちの配布は小規模だったにもかかわらず、村の人たちからとても感謝されました。

緊急支援活動を行ううちに、被災地域には多様な民族が暮らしており、一部の地域は最低カーストに分類されるJanajati(先住民族)、Dalit(多民族)の人々が暮らしていること、また、最低カーストの中でも女性は更に虐げられている状況があることがわかりました。私たちの活動地、ヌワコット郡の僻地地域では、震災以前よりこのような貧困・差別等の課題を抱えていたのです。

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女性たちの苦悩
提供:公益社団法人 シャンティ国際ボランティア会

この村に限らず、ネパール全国で世帯主である男性が海外へ出稼ぎに行っているため、女性(奥さん)が家計のきりもり、家事、子育てと一人何役もこなさなければならない状況が発生していました。また、旦那さんと一緒に暮らしている場合でも家庭内暴力などの問題もあり、女性たちが一時的に避難したり、生活の相談をしたりする場が求められていました。

このような社会環境の中で地震が発生したのです。地震により家屋は倒壊し、それまでの生活は一変しました。

長引くテントでの避難生活は生活の苦しさだけではなく、母親や女児にとっては決して安全とは言えない環境となりました。彼女たちにとって、夜半安心して過ごすための場所、暴力などから避難できる駆け込み寺のような場所が生活再建の相談をする場所と同じく必要とされていました。

特に、ヌワコット郡のように女性の非識字率が高く、ネパール語を話すこともままならない女性たちの声は行政や支援団体に届くことは難しく、彼女たちのサポートが急務の課題となっていました。

地震以前より女性たちの活動を主導しているニールマラさん(35歳)によると、「ネパールは男性社会で、家のことの多くは男性が決めることが多い現状があります。女性たちに女性グループの活動に参加を促しても、旦那さんが外へ出ることを許してくれない例もあり、説得に苦労することもあります。地震前は、家庭内暴力や女性・女児の人身売買などが大きな問題になっていましたが、地震後はそれらに加え、家や家畜の被害からどう生活を再建するかという大きな課題を抱え、子育てにも手が回らない状況となっています。」


瓦礫の中に咲いた笑顔の花
提供:公益社団法人 シャンティ国際ボランティア会

このような状況を見た私たちは、現地NGOと協力し、子どもの遊び場を併設した、女性のシェルター建設を行うことを決めました。

このシェルターは、被災した村の女性たちが協力し合って今後の生活を再建していくための施設であり、協力して子育てができる場所を目指しています。

「今まで、女性のための支援シェルターに子どもの施設を併設することは考えていませんでした。多くの女性が避難を求めてシェルターに来る際には、必ず子どもたちも一緒です。

その子どもたちの教育を一緒に考えることは、女性たちの教育への意識向上にもつながると思います。他の地域にもこの活動を広げたいです。」と活動パートナーであるネパールのGO(WHR)プログラムオフィサー・ラジン女史が語ってくれました。

私たちは、シェルター、子どもの遊び場で働く女性ボランティアや近隣の学校の教員向けに、さまざまなおはなし読み聞かせ活動や子ども向けの教材を紹介しました。

地震で被害を受けた5つの郡から生徒代表含めて、57名が参加しました。参加者の中には、研修に参加するのは初めての人も。最初は緊張気味でしたが、いつの間にか講師の紹介する様々なレクリエーション活動に引き込まれていました。

「これならできる!」研修参加者の声です。

土砂崩れによる道路決壊の影響で立ち往生を余儀なくされた移動。その中で開催された研修会でしたが、子どもたちの笑顔に悪路での疲労も忘れて、研修に熱心に参加する女性たちの力強い姿がそこにはありました。

自分たちのために、子どもたちのために。立ち上がった女性たちの凛とした表情を見つめながら、私たちは引き続き、シェルター建設、そして子どもの遊び場を通した支援を継続していきます。

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