提供:公益社団法人 シャンティ国際ボランティア会

神戸の経験は教訓になるのか~孤立化と向き合う

提供:公益社団法人 シャンティ国際ボランティア会

1995年1月17日午前5時46分。

兵庫県南部を震源とするマグニチュード7.3の地震が起こりました。関連死を含めた死者が6,434人、住宅被害の約64万棟が倒壊するなど大きな被害をもたらした阪神・淡路大震災から2015年で20年を迎えます。

そして来年は東日本大震災から5年を迎えます。長期化する仮設住宅暮らし、空き室が増えてきた仮設団地に取り残される不安などその土地に暮らす人々の悩みは増しています。(※2015年10月時点)

災害公営住宅などへの引っ越しが本格化する中で、仮設団地では高齢者や障がい者の孤立化が懸念されています。

神戸新聞によると1995年から2000年まであった仮設住宅での孤独死は233人。その後震災復興住宅に移りながらも亡くなった方は824人と、2013年には1,000人をこえたと発表がありました。

「なぜ地震で助かってしまったんだろう」と孤独に打ちのめされ嘆く方もいると聞きました。

宮城県山元町の住民の方が「被災地は、今がいちばん、気持ちを強く持たないとダメだと思えます。再建や新しい挑戦は、パワーがいります。これから2年のハード整備が完了する期間が、一番不安で揺れ動く時期」とおっしゃっていました。

東北の復興はまだ終わっていないどころか、スタートラインすらも見えていません。

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人が借りる本は、人の心を映し出す鏡のようだ
提供:公益社団法人 シャンティ国際ボランティア会

私たちは、東日本大震災で公共図書館が壊滅的な被害を受けた東北3県の仮設住宅団地を、本をトラックに積んで巡回する移動図書館を2011年7月より行なっています。

仮設団地を中心に利用者が本を通じて安らぎや心地よい刺激を得たり、生きていくうえで必要な情報を入手するお手伝いをしています。

本は人の心や生活を映し出す鏡のようです。

飛ぶように借りられる料理の本も、仮設住宅の狭い台所に保存できる食材が限られる中でも家族のためにおいしいものを作りたいというお母さんの願いがあります。

奥様を震災で亡くし「料理をせねばいけなくなった」という男性もいました。

「手を動かさなければ、悪いことを考えてしまう」と園芸、編み物などの本が借りられます。

赤ちゃんを連れたお母さんが「育児書ありますか」と来られたことがあります。その本をシャンティのスタッフが探している時、他の女性が「私も最近赤ちゃんが生まれたの」と声をかけ、移動図書館の場で友達ができることもありました。

「まだ涙が出ないの。泣ける本ある?」という声もありました。利用者の方とゆっくり時間をかけてお話をしながら一冊、一冊選んでお渡ししています。

困難に立ち向かう主人公に自分を重ね合わせた時に、自然と涙がこぼれた、というお話もいただきました。

移動図書館は外で行なわれるので、お茶のみも大歓迎。皆さん、昔話はもちろん、これからの生活の悩みを話し合う場となっています。そしてその悩みに向き合う本を、移動図書館は用意しています。


「移動」して届けること
提供:公益社団法人 シャンティ国際ボランティア会

震災前の2010年にNHKが制作・放送した「無縁社会」という番組では、人と人との関係が希薄になっていく日本社会へ警告を鳴らしていました

震災は東北が抱えていた社会問題を加速させました。これからも高齢者の一人暮らしは増えていくことになるでしょう。

介護が必要な人、また介護をしている家族、小さい子どもを持っているお母さんや妊婦こそ、外に出るのが困難で社会との接点が希薄になっているのではないでしょうか。

そして図書館利用が困難な人こそ、病気の情報、闘病生活の本、子育てに関連する本など「情報」を必要としている人なのではないでしょうか

こちらから「本を届けていく」移動図書館は、それらの方との接触を可能とします。

これからも人々の困ったに答える情報を届けていきます。

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