記事提供:認定NPO法人カタリバ

認定NPO法人カタリバは、東北大震災後、「被災した子どもの復興を担うリーダーを育てたい」という想いから宮城県・岩手県に「コラボ・スクール」を設立し、子どもたちが安心して学べる場をつくることで、これからの東北の子どもたちを対象に学習支援や心のケアを行っています。

この記事は、元女川中学校教員であり、コラボ・スクール女川向学館のメンバーである佐藤敏郎先生が、教育現場を見てきた先生として、被災地の教育現場の現状を描く「被災地の教育現場」連載シリーズの1つです。

この文章から、中学生の彼女の”震災への思い”を感じてください。

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「復興絵はがき」




女川町には『復興絵はがき』というものがある。二枚一組で、はがきになった絵は、女川一中(現女川中)生が描いたものだ。

一枚は震災前の美しい海の絵。平成22年度の海の絵コンクールで入賞し、生徒会文集の表紙にも使われた作品だ。文集が配られた日が3月11日だった。
そして、もう一枚は別の生徒が震災後間もない頃に描いた絵で、がれきの山と化した町を子ども達が見ているという構図だ。





8割の建物が流され、人口の1割近い人々が犠牲になった町を見ている。子ども達は後ろ姿なので、どんな表情をしているか分からない。泣いているのか、歯を食いしばっているのか。描くのがつらくて、途中でやめようと思ったそうだ、でも「描かなくては」と筆をとり続け、この絵ができた。

題は「生きる」。

現在、大学生になった作者は「あの子達は、苦しんでいた私自身をイラスト化したものでした」とこの前教えてくれた。この絵を見たときの私もそうだ。巨大なガレキの山を前にすると、底なし沼のような悲しみ、無力感が襲ってきて、誰もが立ち尽くしていた。
この絵の子ども達に自分を重ねた人はたくさんいるはずだ。 
よく見ると、子ども達は手をつないでいて、ヘルメットをかぶり、スコップを背負っている。
私にとって、震災後の4年間は、この絵を抜きには語れない。

生きることは大変なことだ。 だけど、一人じゃない。

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東北の復興のため、あなたにできることは、なんでしょうか?



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